夏休みは日本科学未来館に行こう! お父さんのための「デザインあ展」ガイド
NHK Eテレで放送中の「デザインあ」という番組をご存知でしょうか? 身近なものを題材に、デザインの基本をわかりやすく紹介する番組なんですが、子どもだけでなく大人が見ても楽しい番組です。日本科学未来館では10月18日まで「デザインあ展」が開催されています。触って楽しめる体験型の作品も多く、フラッシュを使用しなければ撮影もOKなので、ご家族やグループで出かけるのにピッタリな展示会です。
オシャレな紹介記事はオシャレなサイトにたくさんあると思いますので、当サイトでは思いっきりベタに、鑑賞のポイントをわかりやすくご紹介します。お子さんと一緒に見るときの参考にしてください。もちろん、ECビジネスを考える上でのヒントにもなるはずです!
「観察のへや」でいろんなものを観察しまくろう
メインの展示室のテーマは「観察」です。「おべんとう」「マーク」「容器」「からだ」の4つのジャンルの作品で構成されています。
たまごの変身
茹でたり焼いたり炒めたり、卵のポテンシャルが一目瞭然になっている作品。しかも、ここにあるのはお弁当箱の中の姿だけ。卵って……すごいですよね。
梅干しのきもち
お弁当の梅干しを体験できるステキな展示です。写真の男性のように、中に入ってみましょう。梅干し目線の風景はどんな感じでしょうか?
マークだけの群れ
見覚えのあるパッケージですが、マーク以外の情報が消されています。元は何の容器でどんな意味のマークなのか、わかるでしょうか?
抽象度のオブジェ
リアルな人間の姿からおなじみのトイレのマークまで、グラデーション状に並んでいます。抽象化される過程でどんな風に感じ方が変わるのか、1つずつ観察してみましょう。真ん中あたりの人形をじっと見ていると、なんだかちょっと変な気持ちになりますよ。
マークをつくる
テーブルに置いてあるいろんなパーツを自由に組みわせ、手前の箱に重ねて入れてみましょう。色の情報が排除され、シルエットだけのマークになります。出来上がったマークの意味を考えてみましょう。
いれもの二十面相
ペットボトル、目薬、しょうゆ差しという、用途が同じ容器の共通点や違いを観察します。回転しているとアニメーションのように見える「ゾートロープ」という手法が使われています。
なかみのかたち
牛乳パックやハンドソープなどの容器から、液体が出てくる瞬間が立体になっています。それぞれの液体が役割にふさわしい出方をするのにも、デザインが関わっていることを確認できる作品です。
器のモンタージュ
木でできた1000ml、500ml、200mlの容器のパーツが並んでいます。自由に組み合わせて どんな機能を持った容器なのか、考えてみましょう。新しい容器を発明できるかもしれません。
あの手 この手
テーブルの上に手が出ていていろんな作業をしている映像です。道具だけを抜き取ると、無意識に行っている手のさまざまな動作がわかります。手だけのシーンを見て、何をしているところか当ててみましょう。
アン・ドゥ・トロワ
普段行っている動作を3つの瞬間で表しています。何をしているところでしょうか? 答えは裏側に書いてあります。美しい人形は博多人形師に制作を依頼したそうですよ。
○回の動作
モニターの前で手を叩くと、同じ回数の動作の絵が表示されます。同じ回数でもいろんな動作が出てきます。
全国名字かずくらべ
日本の名字の96%、約8万の名字を、人口に比例させて表示したという力作。全国で10名しかいない珍名さんまで網羅しているそうです! 少数派の名字は備え付けの虫めがねで見るか、スマホで撮影して拡大して見ましょう。
わたくし内山と申しますが、内田さんにこんなに差を付けられているとは知りませんでした。なんかショック……。
目には「め」を歯には「は」を
遠くから見ると普通の教室の風景なんですが、
近づいてよーく見てみると……
タイトルの通り、目には「め」と、もみあげには「もみあげ」と書かれています。 どこかに「すずめ」がいるそうですよ、探してみましょう。
かんばん「あ」
街中で発見した看板の文字。誰がいつデザインしたのかわからない文字を収集しているのが「のらもじ発見プロジェクト」。収集するだけでなく、看板からフォントを作ってフォントとして配布したりもしています。展示室には彼らが作った「あ」が集まっています。
名は顔をあらわす
これ絶対おすすめ。モニターの前に座って名前を入力してみましょう(最大4文字。ひらがなかローマ字)。
あなたの名前があなたの顔に合わせて動くんです! なんかスゴい!
デッサンあ
番組の名物コーナーを体験できます。モチーフをじっくりと観察して描いてみましょう。作品をスキャンすると、Webサイトにリアルタイムで公開されます。
もんどころ
難しそうな家紋ですが、動画を見ると意外と描けるかもしれません。複雑なデザインも単純な要素の組み合わせなのです。
2つ目の展示室は「体感のへや」。作品の世界に入ってみよう
四方をスクリーンで囲まれた大きな部屋です。番組でおなじみの『「あ」のテーマ』『解散!』『森羅万象』『ガマンギリギリライン』を、360度の映像と大音量で体験できます。大迫力!
最後の展示室は「概念のへや」。時間や空間を体験してみよう
「空間」「時間」「仕組み」の3つのテーマで構成されています。体験型作品が多いので、自由に遊んでみましょう。
オリジナルグッズの売店もありますよ!
「あ」になろう
「あ」の縦の棒になれる写真スポット。ちょっとだけ斜めになって立ってみましょう。
みらいの「あ」/かがくの「あ」
ここは無料のエリア。マジックや鉛筆が置いてあるので、下絵の「あ」をもとに、オリジナルの「あ」を描いてみましょう。優秀な作品は会場に展示されたり番組で紹介されたりするかもしれません。
反対側に回ると『かがくの「あ」』。未来を考える際に必要な基礎知識が書かれています。
「デザインと関わりのないものは1つもない」
この楽しい展覧会を作った中心部人物はこのお三方です。
デザインと関わりのないものは1つもない。何かが人に届くとき、そこには必ずデザインがある。だから、子どもの頃からのデザイン教育が必要なのではないか、という話で番組が始まった。(佐藤 卓氏)
「デザインあ」は、ただ映像と音楽が流れているような番組。こちらから何かを伝えるというよりは、見ている人がそこから何かを感じたり見出したりすることを主眼としている。展覧会においても詳しい解説が書いてあることはほとんどなく、見た子どもたちが自由にそこから何かを読み取ったり感じたりしてほしい。(中村勇吾氏)
オープングセレモニーには、日本未来科学館 館長の毛利 衛氏も登壇しました。
この日本未来科学館は科学技術を文化として捉え、共に語り合い考え、未来社会を作っていきましょうというコンセプトです。
文化というのは先人の知恵の総称です。例えばスマートフォン。スマートフォン自体は科学技術の塊ですよね。それが使いこなせない、まだ文化になっていないと私は感じているんですが、そのスマートフォンを使いやすくするために、背後でデザインをどうするべきか、懸命に考えている人たちがいると思います。
「科学の心」と「デザインの心」には共通点があります。デザインの力によって、言葉ではなく直接難解な科学を伝えることができます。 世界の科学館に先駆けてデザイン展を開催できたことを、とても誇りに思います。(毛利 衛氏)
個人的に面白かったのは『全国名字かずくらべ』と『名は顔をあらわす』。『目には「め」を歯には「は」を』もスゴいなあと思いました。でも、作品の前で「うーーん」と考えてしまったのは、ここに写真を載せなかった(撮り忘れたとも言う)「観察のへや」の最初の作品『つめられたもの』です。
『つめられたもの』はおにぎりとか幕の内弁当とかます寿司とか、タイプの違うお弁当の材料がずらりと並んでいる作品です。「お弁当」とひと言で言っても、「みんなで楽しみたい」「急いで食べたい」「ぜいたくな食材をじっくり食べたい」など、目的はさまざまで、中身に合わせていろんなタイプのお弁当箱があり、素材の選び方や盛りつけ方も千差万別、予算だってピンキリ。バリエーションは無限大です。
当たり前だと思っているものでも、見せ方や切り口を変えたら、今とぜんぜん違う人たちに喜んでもらえるかもしれません。同じように、何度も繰り返している日常の作業や仕事のフローの中に、「まだ作っていないお弁当」があるんじゃないか? 『つめられたもの』は、そんな気がする作品なのです。ぜひ、日本科学未来館に行って観てください。
「デザインあ展 in TOKYO」は10月18日(木)まで。2019年4月から山梨県立美術、2019年6月から熊本市現代美術館に巡回します。
デザインあ展 in TOKYO
http://www.design-ah-exhibition.jp/tokyo/
会場:日本科学未来館(新交通ゆりかもめ「テレコムセンター駅」下車、徒歩約4分)
会期:2018年7月19日(木)〜10月18日(木)
アクセス、開館時間、チケットなどの情報は公式サイトをご覧ください