渡部 和章 2018/9/14 7:00

農林水産省が9月5日に公表した農産物の流通に関する調査によると、国内の食品販売流通額に占める「通販・宅配」の割合は8%だった。「宅配」は生協の食品供給事業を含む。

業態別の商品販売シェアは「スーパー」が27%、「コンビニ」が21%、「専門小売店」が9%、「通販・宅配」が8%、「パン屋」が7%、「百貨店」「酒屋」がそれぞれ5%。

日本の業態別食品販売シェア
日本の業態別食品販売シェア(試算、農水省公表資料からキャプチャ)

青果物などの仕入先を流通経路別に見ると、全般的に卸売市場経由の割合が高いことに特徴があるという。特に青果物は全体の約60%、国産に限れば約80%が卸売市場を経由している。

集荷や分荷、価格形成、代金決済などの機能を持つ卸売市場が食品流通の核として機能しているため、食品小売が大規模化しても卸売市場を介した取引が主流という。

日本の流通構造
日本の流通構造(2011年度、農水省公表資料からキャプチャ)

ただ、近年はネット通販やネットスーパーなど販売チャネルが多様化。食品の「通販・宅配」は成長市場で、近年多くの事業者が参入している。農水省は近年の食品流通構造について、次のようにまとめている。

日米共に、食料品流通の統合・全国化が進む一方で、大規模な流通ルート以外にも、小規模生産者や、有機農産物など多様な消費者ニーズに対応するための流通経路として、ファーマーズマーケットや生鮮食料品分野でのインターネット通販など、多様な販売チャネルの構築に向けた動きも進んでいる。 

食品通販市場は約3.6兆円(2017年度見込み)

矢野経済研究所が2018年7月に公表した「2018年版 食品の通信販売市場」によると、2017年度の食品通販市場(小売金額ベース)は前年度比3.0%増の3兆5985億円の見込み。2021年度には4兆135億円に拡大すると予測している。

食品通販市場の推移
矢野経済研究所が発表した食品通販市場の推移

2017年度の市場概況について、矢野経済研究所な見解を示している。

特にインターネット通販を中心に、通信販売で商品を購入するという購買行動が一般化する中、本来は実際に自分で商品を確かめて購入したいというニーズが底堅い食品においても、通信販売で購入するというケースが年々定着してきていると考える。

日本では、少子高齢化に伴う人口減少で、内需縮小が避けられない中、食品通販、ならびに通販市場は数少ない成長市場であることから、新規参入企業が後を絶たない。通信販売で食品を購入することへの抵抗感が弱くなってきているとはいえ、食品小売市場全体から見たら、現状ではまだほんの一部に過ぎず、更に拡大していく見通しである。

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