「増税分をすべて価格転嫁する」企業は約5割、消費増税の「準備をしている」は3割弱
東京商工リサーチが実施した「消費増税に関するアンケート」によると、2019年10月に消費税率が10%に上がった際に、増税分すベてを商品・サービスの価格に転嫁する予定と答えた企業は約5割だった。
調査対象の7611社に対し、「今回の消費増税(8%から10%)の商品・サービスへの価格転嫁を行う予定ですか?」と質問した。
その結果、「増税分すべてを販売価格に転嫁する予定」と答えた割合は54.3%だった。「増税分の一部を販売価格に転嫁する予定」と答えた13.9%と合わせ、約7割が価格転嫁を予定している。
「転嫁しない予定」は13.9%、「わからない、転嫁する必要がない」は16.4%。
「増税分すべてを販売価格に転嫁する予定」と答えた企業の割合を企業の資本金別で見ると、資本金1億円以上の企業では49.3%だったのに対し、1億円未満の企業は55.3%で6ポイント高い。
2014年の消費増税のときと比べ、「増税分すべてを販売価格に転嫁する予定」と答えた割合は増加している。特に、資本金1億円未満の企業は8.5ポイント上昇。この結果について東京商工リサーチは、「消費税転嫁対策特別措置法」の効果が出たとみることもできるとしている。
軽減税率の影響は?
軽減税率を実施した場合の「プラスの影響」と「マイナスの影響」について質問した。
「プラスの影響」は「特にない」が66.7%で最も多い。「軽減税率の実感に伴う消費者の需要喚起」は12.5%、「内食商品の需要増」は11.8%となっている。
「マイナスの影響」は「複数税率対応のための事務負担増」が53.0%でトップ。次いで「複数税率に対応したシステムへの買い替え・改修」が37.5%だった。
「準備をしている」は28%
「消費増税の準備を行っていますか」という質問では、「準備している」が28.1%、「準備していない」が59.8%、「わからない、必要ない」が12.2%。
「準備している」と回答した2248社のうち、実際に行っていることで最も多いのは「会計・経理システム変更の見直し」で75.3%。
次いで、「既存の商品・サービスの内容見直し」が12.3%だった。
東京商工リサーチは、軽減税率の導入で事務作業の煩雑化が予想されることから、企業は経費を先行負担しながら会計・経費システムの見直しなど、準備を進める必要があるとしている。また、増税分のすべてを価格転嫁すると答えた企業が5割にとどまったことに注目。価格転嫁への理解を深めることが最低限、必要としている。