STORY of BACKYARD 08

大阪に拠点を持つECショップ「壁紙屋本舗」は、シンプルなものからグラフィカルなものまで、幅広いラインナップと手頃な価格に加え、壁紙の貼り方などを丁寧に紹介するなど、きめ細かいサービスで人気を得ている。「全人類職人化計画」というスローガンのもと、自主企画のマーケットやワークショップなど、さまざまな取り組みをおこなっている。今回は、大阪・大正区にあるショールーム兼本社を訪れ、バックヤードの方にお話をうかがった。

お客様の声を企画に届ける役割

さまざまな壁紙が貼られた本社オフィスで最初にお話をうかがったのは、EC企画運営チームの久木さん。久木さんは入社4年目。以前はロジスティック部で出荷と受注と顧客対応を担当していたが、企画部に異動し、現在はメルマガやSNSなどの発信を担当している。

壁紙屋本舗が運営しているECサイトは、自社公式サイトと楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonの4店舗。

楽天市場とYahoo!ショッピングでは客層が違います。楽天は30代〜40代のハンドメイドが好きな女性が多く、可愛い壁紙を好む方が多いんです。Yahoo!ショッピングは比較的男性が多いので、男性が好きそうなものを打ち出しています。床材はYahoo!ショッピングの方を充実させていたりします。(久木さん)

壁紙屋本舗 EC企画運営チーム 久木佐奈恵さん
壁紙屋本舗 EC企画運営チーム 久木佐奈恵さん

久木さんの朝は打ち合わせから始まる、デザインチームのミーティングに参加して予定を共有し、その後メルマガの作成や、商品のページチェックを行う。SEO施策やタグ、紹介テキストなども久木さんの仕事だ。その後は資料作りやミーティングで1日が過ぎる。壁紙屋本舗では、販売サイトごとにSNS担当が違うので、その情報共有も必要だ。

壁紙屋本舗のメルマガの登録数は14万人。かつてはデザインチームのメンバーがオリジナル漫画を掲載して人気を集めていた。現在は久木さんがメルマガを担当している。

私は漫画が描けないので文体で勝負しています。オタクっぽいタイトルにしたり、時事ネタを入れたり、年代や性別などでセグメントして、より響くようなメルマガを心がけています。(久木さん)

ちゃぶ台に座っておしゃべりしてから、ひたすら壁紙を貼る……という内容のライブ配信をやったこともある。「お客さまからもコメントをいただけて、電話とは違うコミュニケーションが取れたのが嬉しかったですね」(久木さん)。

社内では、部署の垣根を越えて話し合う機会が持たれている。久木さんも毎週、受注チームと「ああだこうだ会」を開いて1時間ほど話す。

他店のECサイトを見て見つけた良い点について意見交換をしたり、お客様からどんな意見が寄せられたのかを聞いたり、進行中の企画について話したりします。受注チームから吸い上げた意見はデザインチームに投げています。私たちは、お客様の声を企画に届ける伝書鳩の役割をしているんです。(久木さん)

じっくり話すことでわかることがあるから、対面でのミーティングを大事にしている。

壁紙屋本舗 社内風景

6割以上の賛同を得た「おもろい企画」は商品化

壁紙屋本舗には「おもろいことを全力でやる」という精神がある。全社員の前でアイディアを発表する会議が定期的にあり、社員の6割以上の賛同を得た「おもろい企画」は商品化できる制度がある。

久木さんのアイデアで発売されたのが、「シャウエン」という水性ペンキ。青色の建物群で有名なモロッコの都市・シャウエンをイメージした、壁紙の上から塗れる青いペンキだ。

夏にぴったりな涼し気なペンキを出そうということで企画しました。いろんなペンキを集めて、納得いくまで混ぜて色を決めました。デザインチームの助言ももらい、撮影にはスタイリストさんにも来てもらって、雰囲気のある写真を撮影しました。

EC企画はお客さんの声が聞こえないのが悩みだったんですが、自分で企画して発売してみると「こういう色がほしかった」といった反応をいただいて、それがすごくやりがいになりました。

みんな面白いことを探し求めているんです。パートも社員も関係なく、良い企画があれば商品化に向けて進められます。みんながゼロから作った商品が売れていくのを見ると、もっとがんばろうと思います。(久木さん)

壁紙屋本舗では、体験型イベント「大正クラフトライフマーケット」を主催している。アウトレット商品やDIY用品などの販売、スペシャルゲストを招いたトークイベント、ワークショップや飲食店など、盛りだくさんの企画を予定している。

テントをいっぱい並べてボルダリングしたり、大人も子どもも楽しめるイベントになっています。準備は大変だけど、毎年すごくたくさんの方が来てくれて、社員みんなが楽しみにしているイベントなんです。(久木さん)

社員だけでなくお客さんも巻き込んで楽しむ。壁紙屋本舗の社風がうかがえるイベントだ。

熱が冷めないうちに商品を届ける

続いてお話をうかがったのはロジスティックと印刷を担当する高橋さん。印刷担当は現在3人、ロジスティックは20人ほど。

壁紙屋本舗 プリンティング 、ロジスティックチーム リーダー 高橋祐輔さん
壁紙屋本舗 プリンティング 、ロジスティックチーム リーダー 高橋祐輔さん

壁紙は完全受注生産。受注の中心は糊付きの壁紙。機械で糊を付けて出荷するのだが、1日に塗れるのは5000メートルまで。メートル数と本数を計算するのが大変だ。繁忙期は連休前や大掃除の前。

特にお盆前には受注が多いですね。そこが勝負どころで、4台の機械でどうやって対応できるのかを考えなければなりません。在庫があるものはその日に送ったり、急ぎのお客さまを優先したり……。注文したらすぐに届くのが当たり前の世の中ですが、注文をもらってから作業するので、即日対応が難しいんです。

でもDIYというのは、「やりたい!」と思ってから時間が開くとモチベーションが下がってしまうので、そこはできるだけ、熱が冷めないうちにお届けしたいと思っています(高橋さん)

高橋さんが入社したのは6年前。一見して壁紙とわからないほどのクオリティに心を打たれた。入社以来、社長から一貫して言われているのは「誰に何を伝えたいか」ということ。

ただ作ってWebで公開するだけではダメ。「誰に何を伝えたいのか、それを常に考えろ」と言われます。(高橋さん)

壁紙屋本舗 社内風景

現在、ロジスティックではiPadで出荷管理を行っている。ブランド全体で2万点以上がラインナップしており、1日の出荷量は多い時は宅急便だけで800件、メール便も含めると1,000件にもなる。出荷作業は女性が多い。30メートル巻で18キロくらいにもなる壁紙を軽々と持ち上げていた。

壁紙屋本舗 社内風景

誰でもミスなく対応できるための工夫

最後にお話をうかがったのはカスタマー担当の土井さん。電話やメールでのカスタマーサポートのほか、店舗での接客や新人教育も担当している。

壁紙屋本舗 カスタマーサポート リーダー 土井友里さん
壁紙屋本舗 カスタマーサポート リーダー 土井友里さん

土井さんのスケジュールは、8時半に出社して朝礼。その後メールをチェックして振り分ける。カスタマーのメールに最初に対応し、電話の応対もする。昨年からチャットにも対応した。チャットを導入した感想は「すごく便利」ということ。

チャットはすごく便利ですね。お客様が聞きたいことを聞けるし、注文にもつながっています電話で伝えにくいURLも送れるのも便利です。(土井さん)

カスタマーサービスに最も多く寄せられるのは、納期に関する質問。他には「こんなところに貼る場合はどうすればいいのか」「どうやって貼っていいかわからない」「家にあるものと同じものが欲しい」など。壁紙屋本舗では「壁紙探偵団」というサービスも行っている。壁紙の一部を送ってもらい、同じ壁紙を探すサービスだ。

カスタマーサービスには幅広い知識が求められる。土井さんの前職はリフォームの施工管理の営業。その経験が今も役立っているという。難しいのは「絶対できるのか?」と聞かれること。

家によって条件がいろいろ違うので、「絶対剥がれない壁紙やペンキを教えて」と言われても難しいですね。(土井さん)

壁紙屋本舗 社内風景

カスタマー担当は現在5名。「電話の回線の数に、出る人の数が追いついていない」と笑う。新人も多いので、チーム内でも工夫している。

お客様の声やよくある質問を検証して記事にして公開したり、デザインチームを巻き込んで「虎の巻」を作ったりしています。

昔は発送ミスや出荷もれが多かったんですが、二重チェックで品番を読み上げるなどの工夫をすることで、ミスが減りました。昔は1日1件はあったミスが、今は月に数件になりました。ゼロを目指して頑張っています。

自分からやらないと埋もれる会社

土井さんが語る壁紙屋本舗の環境は、「自分から発信しないと埋もれる」ということ。

社長にも店長にも話をしやすい環境なんですが、逆に、仕事を振られるのをじっと待っていると埋もれてしまいます。私がやっていることも、自分からやりたいと言って生まれたものばかりです。

社長がよく「お客様が聞きたいことを答えるのではなく、なぜ聞いてるのかを考えろ」と言うんですが、お客様がどうしてそれを聞いているのか、わからない状態で答えているとクレームにつながります。聞かれたことだけに答えていると、答えになってないことがあるんです。だから、こちらから聞かなくてはいけない。「どうして聞いているのか」を考える力が求められます。(土井さん)

壁紙屋本舗 社内風景

この会社で大切にされるのは、言われたことをやるのではなく、自分で考えて動くこと。新しいことは、同僚に「一緒にやろう」と声をかけてチャレンジしていく。

いつも「よろしく!」って丸投げされて、調べながらやっています(笑)。誰が何に強いかわかっているので、「これはあの人にお願いしよう」と巻き込みやすい環境があります。みんな新しいことには積極的だし、すごく協力的なんです。(土井さん)

子どもがいる土井さん。子どもが生まれたばかりの頃は子連れで出社し、社内の託児所で世話をしながら仕事をしていた。「今も残業なしで5時半で帰れるので、家庭と仕事の両立ができています」と語る土井さん。仕事もプライベートも充実しているようだ。

壁紙屋本舗 社内風景

この記事はB.Y(CROSSBACKYARD.COM)の協力のもと、「STORY of BACKYARD」に掲載された記事をネットショップ担当者フォーラム用に再編集したものです。オリジナル記事では動画をふんだんに使ったコンテンツをお楽しみいただけます。オリジナル記事へは下記のリンクをご利用ください。

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B.Y

B.Yは、普段表に出ないEコマースのバックヤード(受注、出荷、顧客対応)担当者を取材した“日本初”バックヤードに特化したWEBメディア。 バックヤードの人々が実践する「運用業務の創意工夫」「仕事への向き合い方」をSTORY、「バックヤード運用ノウハウ」をTOPIC、として発信している。本来Eコマースがもつ可能性を拡げ、バックヤードの人がいきいきと働けるキッカケを提供することでEC業界全体を支援している。

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