「Google検索のあの噂は本当?」「強調スニペットとは?」「Dsicoverを狙う」ECのためのGoogle検索の基礎
EC企業は今後、検索エンジン対策(SEO対策)とどのように向き合えばいいのか。二天紀執行役員でユウキノイン代表取締役の酒匂雄二(さこうゆうじ)氏が、2020年のSEOについて3つのポイントを解説したセミナー「検索No.1-SNSとコンテンツの局地戦で中小企業が大手に勝つ方法-」(主催はフューチャーショップ)からそのヒントを探る。
セミナーでは「Googleエンジンの都市伝説」「これからのSEOとコンテンツ」「SEOとコンテンツ作りのポイント」「SNSを活用した事例」などを解説。まずは、前半の「Googleエンジンの都市伝説」「これまでのSEOとコンテンツ」などを紹介する。
ウソ?本当?Googleの都市伝説
EC事業者などから「都市伝説」として疑問にあがっているGoogle検索対策について、Googleウェブマスターカンファレンスで確認した酒匂氏がその真偽を解説した。
適切なページタイトルとメタディスクリプションはランキングを向上させる?
YES。タイトルとディスクリプションは検索結果によって編集が入ることもあるが、SEOが大前提。そのページに何が記載されているのか、記載するのかということも重要。
コンテンツが一番重要か?
YES。タイトルとメタディスクリプションを適切に書くことは確かにSEOに効果的だが、何よりもコンテンツが一番重要。
SEO的に「良い」とされる文字数が決まっている?上限・下限が決まっている?
NO。ツイッターで「最低3,000文字は書こう」という投稿が見受けられるが、関係ない。
大事なのは文脈。そのページで「何を言いたいのか」「何を表現しているのか」「どんな検索をしているユーザーに有効なのか」を考えることが大切。
キーワードの出現頻度が高いほど検索順位が良くなる?
NO。適切な文脈の中で適切な位置にキーワードを書くのは良いことだが、単純にキーワードをたくさん書いたからといって、検索順位が上がることはない。
また、「h1」「h2」タグの使用で検索順位が上がることはない。しかし、対閲覧ユーザーから見ると、タグを適切に使用して段落を分け、ユーザーが見やすいことが大切。見出しタグだけでサイトを評価することはない。
ドメインが古いほどランキングで有利になる?
NO。ドメインの古さは一切関係ない。取得しているだけのドメイン、更新しないサイトは永遠に評価されないので、適切に更新することが大切。
「.com」や「.net」などの昔からあるドメインの方が「.xyz」などの新しいドメインより有利?
NO。どのドメインを使っても検索順位に直接影響することはない。
ドメインはシンプルな方が良い?
NO。ドメイン名の長さはSEOに直接影響しない。しかしそれは機械的な話であり、人にとっては短い方が覚えやすい、直接入力しやすいなど利便性の面では良い。
ページランクの高いドメインを購入し、新しいサイトを立ち上げると有利?
NO。ドメインからの要因(シグナル)が途切れると、ページランクはリセットされるため。
「ページランク」は200以上あるシグナルの1つでしかない。SEOにおいて検索順位を決定づけるシグナルにページランクは組み込んであるが、あくまでもその中の1つでしかない。
「ページランク」はドメインの大きさや歴史ではなく、リンク数やコンテンツの質に影響されるため、ページの中身が大切。
ドメインにはキーワードを含めた方が良い?
NO。2012年以前はシグナルの1つだったが、フィッシング詐欺など悪用・乱用が目立ったため現在はシグナルから外されており、SEOとは無関係。
これからのSEOとコンテンツ
酒匂氏は、ECにおけるGoogle検索の基礎や今後重要になるSEO施策とコンテンツについて解説した。
Google検索順位の評価指標は?
Googleの検索順位評価指数(シグナル)は約200以上あると言われている。その指標の中でも重要度が高いものは、下記の2つだという。
①唯一無二の内容、オリジナリティの高い内容などより良い記事(コンテンツ)である
②被リンクの数(内容について言及、シェアされた数)が多い
ユーザーは検索結果のどこをクリックするのか?
それでは、実際にユーザーが検索したとして、ユーザーは数ある検索結果の中でどこをクリックするのだろうか。
検索結果の1位をクリックするユーザーは21.1%で最多。次いで2位が10.6%、3位が7.6%、8位が1.7%、20位が1.2%という結果が出ている。
1位に関しては指名検索を除くと19%と言われているが、それでも1位の結果がクリックされる可能性が高い。
「30位以内の結果をクリックするユーザーが80%以上のため、31位以下はほとんど見られていない」(酒匂氏)。しかし「検索順位だけ見ていても、ユーザーに自社のサイトに来てもらうことは難しい」と言う。
AI学習を意識したキーワード設定が重要
コンテンツと被リンクの数以外に「rankbrain(ランクブレイン)」という「AI学習の学習能力にも左右される」と酒匂氏は説明する。
「AIの学習機能はロングテールでこそ機能を発揮する」とGoogleスタッフからアドバイスを受けたという。
たとえば、「焼き肉」というキーワード単体だけより、「焼き肉 食べ放題 渋谷 おすすめ」など複数のキーワードを組み合わせ、よりユーザーのニーズにマッチする方がAIは理解しやすい。
Googleの検索精度、AIの学習能力は上がってきている。実際、あいまいな検索でも探していた商品が検索結果に表示されるようになった事例がある。(酒匂氏)
ロングテールで網を張り、ニーズが高い、購入動機が高いキーワードを取っていくことが重要となる。
要注目の「Googleレンズ」
酒匂氏は「Googleレンズ」を注目要素として取り上げた。「Googleレンズ」は起動して身の回りにあるもの写すと、その商品の情報を知ることができるというアプリ。
海外旅行に行った時、英語表記のメニューを読む際などに便利だが、ECにも活用できるという。
たとえば、「Googleレンズ」を使ってメニューを読み込んだ際、レビューがあると星のマークが表示される。マークをタップするとその商品のレビューが表示されるようになっている。
この仕組みをECに活用して、商品画像にブランドロゴや品名、型番、ショップ名・ロゴを入れておけば、画像検索時に役立つとのこと。
画像検索は高解像度であるほど認識率が上がるので、画像制作時はその点も考慮すると良い。(酒匂氏)
画像検索に付随して、altタグの挿入も大切だと酒匂氏は解説する。ただし、altタグに記載する内容は「Tシャツ」など単語だけではなく、「肌さわりの良い厚手の綿100%の長袖Tシャツ」など、きちんと商品を説明する文章で入力する必要がある。
検索結果に何もしない人へ「Discover」
Googleはオーガニック検索の結果に対して何もアクションを起こさない人の割合をデータで示している。データによると、2016年2月の時点でアクションを起こさない人の割合が34.28%だったが、2018年2月時点では61.03%と大幅に増加している。
この結果に対し危機感を覚えたGoogleは、「Discover」というサービスの提供を始めた。「Discover」はユーザーの閲覧履歴や検索結果から興味、関心のありそうなおすすめ記事を表示するというもの。
この仕組みは「クエリレス」という、ユーザーが能動的に検索しなくてもWebサイトに来てくれるものである。もし「Discover」で自社のコンテンツや商品ページが拾われた場合、PV増加につながる。
ただし、表示されるコンテンツやページは新しいものが対象となるため、ブログやコンテンツ、ページの更新、情報の発信をコツコツと行っていくことが大切になるという。
GoogleアナリティクスとSearch Console
「自社ECサイトの強みはGoogleアナリティクスとSearch Console(サーチコンソール)」と酒匂氏は言う。
しかし、日本企業の導入率は52%となっており、導入していてもきちんと設定されていない企業が多いとのこと。
コンテンツをコツコツと作成し、更新していくことはすぐに結果が出ることではないので、きちんとGoogleアナリティクスやサーチコンソールで日々の変動を追うことが大切だという。
強調スニペットを獲得する
検索結果の最上部に表示される強調スニペット。強調スニペットに表示されているサイトは検索結果一覧には重複して表示されない仕様になっているが、スマートフォンであれば丸々1ページ表示されるので、非常に大きな導線となる。
強調スニペットを獲得しやすいサイトは、「~とは」「~と~の違い」「~おすすめ」など「検索者の疑問に対してアンサーでこたえられるサイト」だと酒匂氏は解説した。
さらに「専門性が認められている問いに対して答えを持っているサイトは獲得しやすい」(酒匂氏)。そのため、ユーザーからの問い合わせをまとめたQ&Aは良いコンテンツだと言われている。
実店舗やサロンはMEO・位置情報が大切
酒匂氏は検索の1つとしてGoogleマップ対策について触れた。対策として最も重要な指標であるMEO(マップ・エンジン・オプティマイゼーション)をきちんと設定することが大切だという。
設定すべき情報はNAPと呼ばれる下記3つの項目。
- N(Name):会社名・屋号。正式名称で記載する
- A(Address):住所。略さずにビル名も記載する
- P(Phone):電話番号
この3つを設定することで、検索結果にきちんと自社の情報がユーザーに表示される。もし検索結果に複数候補があった際、「きちんと会社の情報がわかるところを選ぼう」というユーザーの気持ちに訴えることができるからだという。
さらに営業時間も記載しておくと、ユーザーが問い合わせをしやすくなる。また、店舗の近くにある有名なランドマークをページ内に記載することも重要だという。
季節や時事性に応じて検索結果が変わる?
酒匂氏が担当していた企業で、季節によって企業の検索表示順位が変動しことがあったという。Googleカンファレンスで確認したところ、「ユーザーの意図が変化しているのではないか」とのこと。
Googleで季節に応じて検索結果を変更することはできないため、季節に応じて変化したユーザー意識にマッチするページが上位に表示される可能性がある。
食べログなどグルメサイトは季節ごとにプラン内容をチューニングし内容をアップデートしているため、変動しやすいかもしれない。(酒匂氏)
商品ページの検索結果順位が変わってしまう恐れがあるため、ブログなどで季節や時事にまつわるコンテンツを書き、関連する商品ページへリンクを張るようにすると良いとのこと。
Googleが重要視する3つの項目
酒匂氏は「Googleが検索に対して重要視する項目があり、それらを考慮してコンテンツ作りやSEO対策を行っていくことが必要だ」と述べる。
Googleが重要視する項目は下記の3つ。
- Jouney:検索は「旅」である
- Discover:ユーザーに発見「あった!」を提供しよう
- Ecosystem:「公平なWeb」を目指している
「ユーザーが『検索という旅のどの時点にいるのか?』ということを考えることが大切」と酒匂氏は説明する。
初めて商品を手にする人と、ずっとその商品を使い続けている人では、必要な情報が異なる。ユーザーに公平に手を差し伸べるようなコンテンツ作りを行っていく。
人が変われば検索キーワードも変わる。場所も変われば結果も変わる。(酒匂氏)
後半では、前半の基礎を踏まえた「SEOとコンテンツ作りのポイント」やツイッターやフェイスブックなど「SNSを活用した事例」について解説している。
▼▼後半:「コンテンツ作りの基本は5W1H」「ユーザーの気持ちを読み取るDo-Know-Go」SEO対策とコンテンツ作りのポイントを解説▼▼