新型コロナで本業の収入が実質ゼロも、「巣ごもり消費」で通販事業が急伸!ECで売上減をカバーする東急スポーツオアシスの事例
首都圏や近畿圏エリアを中心に、国内約40か所でスポーツジムを運営する東急スポーツオアシス。月会費1万円前後、売り上げにすると月間約10億円のジム会員費が主な収入源だが、スポーツジムは新型コロナウイルス感染拡大の影響で一時的に閉鎖。特別休会措置で会費の徴収をストップしたため、ジム運営における収入は実質ゼロに。メインの収入源を失ったそんな東急スポーツオアシスがいま、注力しているのが通販事業だ。
コンセプトは「フィットネス家具」、ヒット商品を続発
東急スポーツオアシスが手がける通販事業は、オリジナルフィットネス器具の企画・販売。新型コロナウイルスの影響前(2020年2月度実績)と比べ、2020年3月度は「倍程度」の売り上げになっているという。
オリジナルのホームフィットネス器具の企画・販売を開始したのは2004年。ジュピターショップチャンネルなどのテレビショッピングを通じた卸販売、自社ECサイトや「楽天市場」「Amazon」といったECチャネルを中心に販売展開している。
通販事業をスタートした当初から、「使わない時は家具として、使う時はフィットネス器具として」利用できるよう、「フィットネス家具」をコンセプトにしている。その理由を、通販事業を率いる花咲好伸氏(ホームフィットネス事業本部 本部長)は、「フィットネス器具は、生活空間の中で居場所を確保できなければ使われなくなる」と説明する。
花咲氏によると、スポーツジムを本業とする会社がオリジナル商品を企画し、通販チャネルで販売するケースは珍しいという。
自宅で使えるホームフィットネス器具を販売すると、お客さまはもうジムに来なくなってしまうのでは? と心配するフィットネス運営企業も多い。しかし実際にはジムに来て運動する方、もしくはホームフィットネス器具を購入して自宅で利用する方、どちらにおいても、体を動かし始めると運動に対する価値観が上がり、もっと投資したいと考えるようになる(花咲氏)。
運動はコストをかけた分、その結果が可視化されやすいという特徴がある。一度でも運動に価値を感じたユーザーは、良い結果を出そうと投資へ前向きになる。つまり、ジム経営とホームフィットネス器具販売は相乗効果がある、というのが花咲氏や東急スポーツオアシスの考えだ。
ジムは、いわゆる顧客とのタッチポイント。現場のインストラクターが会員のリアルな悩みを聞き、それを商品開発に生かせる強みもある。
実際、手がけた「フィットネスクラブが作ったバランスボール」は、「ボールを使ったフィットネスは安定性がなくて怖い」というジム会員の声が基になり誕生。リングで固定することで安定させたこの商品は、東急スポーツオアシスを代表するヒット商品となった。
「巣ごもり消費」でホームフィットネス器具の売上が2倍
東急スポーツオアシスにおける通販部門の売上高は全体の10%程度。新型コロナウイルスの感染拡大を受け自粛ムードが高まると、ホームフィットネス器具の販売が急伸した。花咲氏によると、「3月以降は(2020年2月実績と比べ)売り上げが倍になっている」。特に好調なのが、自宅で有酸素運動ができる簡易的な器具や筋トレマシンだ。
商品は中国で生産していることもあり、中国での感染拡大が深刻だった時期は供給が追いつかないこともあったが、現在は持ち直しているという。目下の課題は、国内で流通に影響が出ていることから、大型商品を運ぶ配送会社を確保しにくいことだ。
自社アプリ「WEBGYM」を強化
東急スポーツオアシスは、自宅でできるフィットネス方法を指南するアプリ「WEBGYM」を提供している。自宅でのフィットネスニーズが高まっていることを受け、今後はライブ配信や、自社製品を活用したフィットネス情報の発信を強化していくという。
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