Digital Commerce 360 2020/5/7 9:00

小売業は今、大変厳しい状況です。多くの店舗が物理的に店を閉鎖し、ほとんどの人が外出自粛する中、開いているお店も最小限の顧客対応しか行っていません。実店舗ほどではないものの、消費者が使うお金が減り必需品に焦点を当てるようになったため、EC事業者もビジネスに影響を受けています。

専門家は、新型コロナ収束後の景気回復は早いと予測

これまでの経済不況は長引き、回復に時間がかかりました。しかし、多くの経済界のリーダー達は、新型コロナウイルスのパンデミックが去った後、景気はすぐに回復するだろうと予測しています。小売事業者は今苦しい状況にありますが、景気回復の波が来たときに上手くそれに乗れるよう、今からできることがいくつかあります。

すでに関わりのある顧客に焦点を当てる

何かしら営業上の変更があった場合は、すぐに顧客に知らせましょう。彼らの今の状況に共感してください。「一丸となって乗り越えましょう」と言い続けるのは陳腐に聞こえるかも知れませんが、それが現実なのです。

顧客には、自社も同じ状況であることを伝えつつ、長い目で将来を考えていることを知らせましょう。顧客は、パンデミックの間に「ニューノーマル(新常態)」(※編注:新たな状態や常識を指す用語。構造的な変化が避けられない状態)にシフトしています。ですから今現在、そして将来において、いかに関心を持ってもらえるかを考える必要があります。

たとえば、道端で商品ピックアップができるオプションを提供することを検討してみましょう。

配送や配達時間などについて、顧客がすでに当たり前だと考えているサービスを変更した場合は、正直に伝えましょう。配達希望日時に基づいたスケジュールで配送するために、サブスクリプションサービスを始めても良いでしょう。

Webサイトを整える

完璧なeコマースサイトはほとんど存在しません。パンデミックの間にサイトに変更を加えるのも良いでしょう。チェックアウトプロセスを調べ、よりスピーディかつ簡単にできるよう、アップデートしましょう。

消費者にとって魅力的なコンテンツがあるかも確認してください。まず、特集している商品を見てみましょう。在庫がある商品が最初、またはサイト上の目立つ場所に配置されていることを確認してください。

在庫が少ない、またはゼロの商品は上位に掲載しないでください。また、特定の商品の在庫が少ない場合は、顧客リストを作成する良い機会になるかもしれません。消費者にメーリングリストに登録してもらい、在庫の少ない商品が入荷したときに通知するようにしましょう。

パンデミックの最中、収束後も使えるコンテンツを開発する

サイト上で人々を魅了するためには、コンテンツが要です。現在の停滞期間を利用して、今まさに関連性のあるストーリーを開発するだけでなく、生活が通常に戻った数ヶ月後に、消費者が何を見たり聞いたりしたいかを考えてみましょう。

たとえば運動器具を販売している場合、今は皆ジムに行くことができないので、ワークアウトグッズが売れているでしょう。3ヶ月後にはランニングシューズは履き古され、より高度な器具が必要になっているかもしれません。

今家でできるワークアウトプランをまとめて掲載したり、夏頃に新しいランニングシューズが必要になる人たちの為に、シューズの選び方ガイドを作りましょう。それらのコンテンツは今、準備することができます。

ヨガウェアを販売するルルレモンは、無料のオンラインヨガ講座を提供(画像はサイトから編集部がキャプチャ)

パンデミック時のSEO対策

人々は家の中で、多くの時間をオンライン上で過ごしています。SEOは売り上げや見込み客獲得につながるため、今では欠かせないものです。

消費者はあなたの商品やサービスを検索しているときに、あなたのブランドとつながります。関連性が明白ではない検索結果にも表示されるように、消費者がブランドに関連してどんな質問で検索するのか想像してみましょう。

また、GoogleはSEOに影響を与える

を最近行いました。今まで同様、その影響を理解するか、または理解している代理店を利用するようにしましょう。いずれにしても、オリジナルのコンテンツはSEOには常に必要不可欠です。

eコマースプラットフォームを検証する

eコマースプラットフォームの変更を考えていますか? 大きな作業ですし、検討するのも大変なことです。

しかし間違ったプラットフォームを選ぶと、コンテンツ、チェックアウトオプション、サイトやページの読み込み速度、フルフィルメント、他のアプリケーションとの統合など、オンラインストアを運営するために必要なほとんど全てのことに支障をきたす可能性があります。

販売とサプライチェーンが行き詰まっているなら、今が大きな変更を行う良いタイミングかもしれません。

物流とサプライチェーンの復活に向けて準備をする

状況が悪化している間は、パニックに陥り、売り上げを維持するために多くの割引を提供したくなるかもしれません。現実には需要が回復しても、サプライチェーンの回復には時間がかかる可能性があります。

適切な時期が来たら、(すぐに販売できるよう)材料と生産に向けた準備をしておくべきです。景気が戻った時に需要を満たすことができるように、ある程度在庫を保持することを検討してください。

少なくとも、利益の出ない無鉄砲な割引の提供は避けた方がいいです。コロナウイルスにまつわる購買行動の変化に関する最近の消費者調査では、米国の消費者の44%が、必需品を提供する店舗を探して購入する、と述べました。

言い換えれば、物が手に入らない時、ロイヤルティは簡単になくなってしまうということです。今は、むやみやたらに売るよりも、消費者が買うようになった時のために準備しておく方が良いでしょう。

◇◇◇

生死にまつわるニュースが多い中、ビジネスについて考えるのは難しいかもしれません。ほぼすべての産業がこのパンデミックに直面して苦労しています。自分自身や愛する人の健康を第一に考えつつ、“通常”に戻れるように、先を見越しておかなければなりません

それがどんな未来で、いつやって来るのかわからない中でも、考えておくことが必要なのです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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