「リズム」の悪い文章は読まれません。その商品説明にリズムはある?
文章というのは、どんなに一生懸命に良いことを書いたとしても、読まれなければ意味がありません。あなたがECサイトのために書いた渾身の商品説明文も、ひょっとしたら最後まで読まれていないかもしれません。「商品の良さを十分に伝えられているか」を気にする前に、自分のサイトの文章に基本的な問題がないか、確認してみましょう。判断するための簡単な方法があります。それは「声に出して読んでみる」ことです。
良い文章はスムーズに音読できる
文章にも「リズム」が存在します。文字なので目で見てはいますが、実は、自然と音を意識して読んでいるものです。スムーズに読める文と通りが悪い文の違いは、このリズムにあります。
通りが悪い文章はリズムが悪く、読む意欲を減退させます。せっかく「いいことを書いた」と思っても、これでは内容以前の問題です。
スーパーなどで出回っている外国産のものでなく、国産の材料を使っているので苦みやえぐみがなく、また、塩加減も塩辛すぎず薄めの味付けですので、素材本来の風味をお楽しみいただけますし、カット済みですのでお皿に盛るだけで簡単にご賞味いただけます!
例えばこれ。食品の商品案内の文です。試しにちょっと声に出して読んでみてください。
句点「。」がなく、ずっと読点「、」で区切られてなかなか終わりません。ひと息で読みきれないないので、変なところで呼吸をしなければいけなくなり、リズムが悪くなります。
思い付いたそばからいきなり文章を書いていくと、だいたいこういうことになります。「あ、あれも言わなきゃ」「これも…」と詰め込んでしまい、くどくどと長い文になってしまうのです。
でも、この長すぎる文、うっかり書いてしまっても、直すことができます。書いた後、読み返してみればいいのです。
「見直し」ではいけません。黙読するだけでは「言いたい内容が書いてある」ことに意識が行ってしまい、リズムのおかしさには気づかないからです。でも声に出せば、息が続かないので自然とわかります。あくまでも、「声に出して読み返す」ことが大切です。
まずは箇条書きから始めよう
ですが、そもそもこういった間違いをしないために、文章の書き方を見直してみましょう。
① まずは、言いたいことや必要な情報を列挙しましょう。いきなりページに書いていくのではなく、まず、紙に箇条書きでメモする程度から始めます。ここで書きたいことを出し切るのがコツです。
② 次にそれらを整理します。何についての話か、内容によってグループ分けしましょう。同じ内容のものはより良い方にまとめます。ここでも箇条書きのまま。まだ文章化しません。
③ グループ分けが済んだら、それらの順番を考えます。
先ほどの長文を分解すると、以下のような要素があります。
見てみると、素材の話、味付けの話、状態の話、の3種類に分かれているのがわかります。この場合、順番はこのままで良さそうです。
この3種類の話を、それぞれ1つにまとめていきます。その際、適切な接続詞(または接続助詞)でつなぐのが、より正確にまとめるコツです。
ちなみに、商品説明で一番便利な接続詞は、順接(理由→結果)を表す、「だから」や「それで」です。
- 例:国産「だから」苦みがない
多くの場合「○○だから、~~~」という型を当てはめるとまとまりやすいので、ぜひ覚えておいて下さい。
「だから」「それで」を使い、これらをまとめてみると、以下のようになります。
よくある外国産ではなく、国産材料を使っているから、苦み・えぐみがありません。素材本来の風味を生かした、薄塩仕上げで塩分控えめ。カット済みだから、お皿に盛るだけで簡単。
長文の時よりも、それぞれの情報がわかりやすくなっていますよね。長文はリズムが悪いだけでなく、情報量が多いことで個々の内容を薄めてしまう、というデメリットもあります。このように、情報をまとめるだけでも十分伝わりやすくなります。
気負って長文を書く必要はありません。言いたいことがたくさんあるのは、売り主としてとても良いことです。ですが、それをそのままを書き過ぎて、単なる「文字の束」を作ってしまっているかもしれません。商品知識があって「お客さんに教えてあげたい」という思いが強く、饒舌な人ほど陥りやすいので気を付けましょう。
お客さんに読まれる「リズムの良い文」を目指して下さい。