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「越境EC」と聞くと中国向けの越境ECをイメージされる方が多いと思いますが、実は巨大マーケットであるアメリカ向けが伸びています。今回は急成長中のアメリカ向け越境ECで売れる商材や、海外ユーザーへのアプローチ法を解説します。競合が多い中国向け越境ECに難しさを感じている方に、ぜひ知っていただきたい情報です。

アメリカへの越境ECが拡大中

コロナ禍も相まって現在、越境EC市場全体が大幅に拡大しています。ZION Market Researchの調査によると、2020年の世界の越境EC市場規模は推計9,123億USドル。2027年には4兆8,561億USドルにまで拡大すると予測されています。年間平均成長率は約27%。世界のBtoC-EC市場規模を上回るペースで、越境EC市場が拡大すると見られています。

2027年(予測値) 9,123億USドル
2020年(推計値) 4兆8,561億USドル
世界の越境EC市場規模予測
※「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」(経済産業省/発表:2020年7月22日)を元に編集部で作成(出所はZION Market Research)

経済産業省が2020年7月に発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、2019年にアメリカの消費者が日本から購入した額は9,034億円。中国の1兆6,558億円には届かないとはいえ、伸長率を見ると中国が7.9%だったのに対し、アメリカは9.7%と中国を上回っています

消費国購入額購入額合計
中国から米国から日本から
中国2兆94億円
(+16.3%)
1兆6,558億円
(+7.9%)
3兆6,652億円
(+12.3%)
米国6,535億円
(+11.8%)
9,034億円
(+9.7%)
1兆5,570億円
(+11.8%)
日本312億円
(+19.3%)
2,863億円
(+14.3%)
3,175億円
(+14.8%)
日本、アメリカ、中国3か国間の越境EC市場規模
※「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」(経済産業省/発表:2020年7月22日)を元に編集部で作成

アメリカへの越境EC流通額が初めて中国を超えて首位に

BEENOSグループが運営する越境ECの代理購入サービス「Buyee」でもアメリカの流通が拡大しています。「Buyee」の2021年第2四半期(2021年1月1日~3月31日)の流通総額は前年同期比+45.6%で過去最高を継続更新し、特にアメリカでの流通は前年同期比+119%と大幅に拡大。流通総額の国別シェアで初めて首位になりました。

理由としては、ステイホームによりアメリカでも日本のコンテンツに接する時間が増え、ホビー関連の需要が伸長したこと、2021年2月より「Buyee」で北米向けの新配送サービスを独自に導入し、従来比で平均約59%、最大で76%安い国際配送料金を実現できたことがあげられます。

越境ECとホビー関連商品は相性が良く、「海外発送で時間やお金がかかってもいいから、好きなアニメのレアなフィギュアが欲しい」「日本でしか流通していないアニメの限定グッズが欲しい」という海外ファンの熱い想いが流通に結び付きやすいジャンルです。

同じ海外向けでも越境ECとインバウンドでは傾向が異なり、越境EC市場では趣味性が強い商材の需要が高くなります。アメリカではその傾向が顕著です。

図 アメリカの消費傾向
アメリカの消費傾向

日本のカルチャーやファッションを好む20代の若者が消費を牽引

アメリカの主な購買層は、日本のカルチャーやファッションを好む20代の若者が中心です。特に、コミックやアニメグッズ、特撮系グッズが売れており、日本のストリートファッションやスニーカーのニーズも高いです。越境ECで買い物する際に参考にするのは、動画サイトや各種SNSで、コミュニティ内で情報交換をするという新しい購買傾向が特徴となっています。

ホビー系ではアニメのフィギュアが売れており、新作だけでなく名作といわれるレジェンド級のアニメや特撮ヒーローものも人気です。理由としては海外で日本のコンテンツのファンが生まれるまでまだ少し時差があること、越境ECの特徴としてリユース品の流通が多いことがあげられます。ハリウッド大作『ゴジラvsコング』もアメリカでは公開されており、こういったジャンルは今後も期待できそうですね。

その他、トレーディングカード、ゲーム機なども人気で、Facebookなどのファンコミュニティで情報交換し購入を決めるユーザーもいます。

また、ファッションではスニーカー、「A BATHING APE」や「UNDERCOVER」など日本のストリートブランドの商品がよく売れています。日本限定の特典が付いたK-POPグッズも若者を中心に人気を集めています。意外なところでは、釣り具のハードルアーも人気です。

図 アメリカのユーザーのペルソナ
アメリカのユーザーのペルソナ

越境ECと国内ECを使い分けることなくボーダーレスな買い物を楽しむ

「Buyee」を活用しているアメリカの20代女性にインタビューしたところ、「日本からの越境ECを使う理由は、日本限定の商品を購入するため」「越境ECで買い物する際に重視するのは金額。商品自体の金額だけでなく手数料や配送料など総額を見ている」といったことがわかりました。特徴的なのが「越境ECと国内ECの使い分けをしていない」という点です。国境を気にせずボーダレスに買い物するという新しい購買傾向が見て取れます。

インタビューの詳細は以下にまとめました。

 
Q. 越境ECを利用する理由

「日本ならではのトレーディングカードを購入するため」

Q. 越境ECの利用頻度と予算

「月に1回購入するかしかないか。特に予算は決めていない」

Q. 越境ECと国内ECの使い分け

「特に使い分けをしない」

Q. 越境ECのメリットとデメリット

「メリットは簡単に欲しい物を購入できること。デメリットはもしも問題が発生した場合、時差があるため問い合わせやコミュニケーションなどが難しいこと」

Q. 越境ECで購入する際に重視していること

「商品の料金やサービス料や国内送料や関税費用など」

Q. 他国ではなく、日本の越境ECを利用する理由

「日本限定の商品を手に入れるため」

英語圏のKOL×YouTubeで「空気づくり」を

BEENOSでは「Buyee」の認知向上のためにKOL(Key Opinion Leader)マーケティングを実施しています。特に英語圏のKOLを起用したYouTube施策に力を入れています。コンテンツがストックされていくYouTubeは検索行動と相性が良く、長期的なマーケティングにつながります。そういった観点で、フロー型のSNSではなくYouTubeをコミュニケーションツールとして選んでいます。

ジャンルとしては、Buyeeの強みであるアニメ・ゲーム系、アメリカでも人気が高いK-POPのKOLを中心に依頼しています。KOLマーケティングの結果、新規顧客獲得におけるコストが約4分の1に下がり、コンバージョン率は倍以上になり、新規ユーザーも増加しました。

一例として、チャンネル登録者数200万人以上のゲーム系KOLの動画を紹介します。世界的に有名な日本のゲーム会社のテーマパークがアメリカに開園するはずだったのですが、新型コロナウィルスの影響でオープンが延期されてしまい、日本からそのテーマパークのオフィシャルグッズを「Buyee」で取り寄せるという動画です。

ゲーム好きのお客様が「アメリカでは入手できない商品でも越境ECを通して購入できる」という象徴的な内容になっています。27万回以上再生され、日本のカルチャー好きの方々を中心に、コメントも約1,500件寄せられています。

いきなりチャンネル登録者数100万人規模のKOLと取り組むのは予算的にも大きなハードルがあると思います。そういった場合は、複数の「マイクロKOL」にアプローチして「空気づくり」をするのがおすすめです。

BEENOSでは、K-POPコミュニティにアプローチするべく、数千から1万人単位のチャンネル登録者数を保持する複数のYouTuberにアプローチしました。複数のKOLに協力してもらうことで、コミュニティ全体にじわじわと広がり、今では「K-POPグッズを買うならBuyee」という空気を作り出すことができました。

海外向けKOLマーケティングの注意点

YouTubeを活用したKOLマーケティングのポイントは、コンテンツについてKOLとよく相談することです。コンテンツを作るのはあくまでYouTuber自身であり、彼らが作りたいコンテンツ制作をサポートする側に回ることです。当たり前だと思われるかもしれませんが、実際に制作が進むとサービスを訴求したい気持ちが強くなり、あれもこれもと言ってしまいがちです。

ただし、必ず入れてほしい内容やハッシュタグなど、最低限の約束事は決めておくとトラブルが防げます。KOLはクリエイターなので、少ない制約の中で楽しんでコンテンツを作ってもらえると、クオリティや成果も上がります。

その他の注意点は、ジャンルやチャンネル登録者数によってインセンティブの額が変わってくることです。数万円程度の予算から相談可能ですが、競合企業が多いコスメ系のKOLなどは金額が高くなります。

また、有名なYouTuberは代理店と契約していることが多く、いざオファーしようとすると言語の壁が立ちはだかりますが、ターゲット国の言語を話せる人材が社内にいるなら、海外の代理店の利用をおすすめします。日本の代理店は海外とのやり取りを代行してくれる代わりに予算が高くなる傾向があり、中には数倍の違いが出てくることもあります。

◇◇◇

新型コロナウィルスはボーダーレス化やDXにおいては「時計の針を早めた」ような前向きな進化をもたらしました。国境を超えて物を売り買いすることが広がり、「EC=グローバル」が当たり前な世の中になってきていると感じます。これはコロナ禍の今だけの変化ではなく、デジタルシフトが前倒しで進み、今後もEC化は加速していくでしょう。一度進んだ時計の針は戻りません。この変化を前向きに捉え、成長中のアメリカ向け越境ECに挑戦してみませんか。

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直井 聖太

BEENOS株式会社 代表取締役社長 兼 グループCEO

1980年生まれ、愛知県出身。コンサルティング企業に入社後、2008年にBEENOSへ入社。輸出Eコマース関連の新規事業を担当し、tenso株式会社(当時、株式会社転送コム)の立ち上げに参画。2012年、tenso株式会社の代表取締役社長に就任(現任)し、「From Japan」のクロスボーダービジネスを牽引する。

2014年、BEENOS株式会社 代表取締役社長兼グループCEOに就任。2016年には東証一部に市場変更。クロスボーダー事業を軸とした新グループ成長戦略を推進し、グループ事業や投資先とのシナジー効果を発揮、モノ・人・情報を日本と海外、双方向に繋ぐグローバルプラットフォームを展開する。

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