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いよいよ夏休みシーズンが到来しました。夏休みと言えばコロナ前は外国人観光客でにぎわい、インバウンド消費も盛り上がっていましたが、今は渡航が制限され、インバウンド需要も消滅してしまいました。

今回のテーマはコロナ禍でのインバウンド施策。実際のオンラインツアーを紹介しつつ、オンラインツアーをEC消費に結び付ける工夫などについてお伝えします。

インバウンド需要が見込めない現在の状況で、諸外国との関わり方はどのようにすべきでしょうか。入国制限の解除をただ待つだけでなく、海外の消費者との関係性をどのように構築するかを考えていきたいところです。

BEENOSグループでは、海外の消費者が訪日できない間の接点作りに重点を置きました。オンライン上で日本の文化や商品の良さ、観光スポットなどの情報発信が必要と考え、オンラインツアーを開催しています。

オンラインツアーを通して情報を発信することは、海外の消費者から忘れられてしまう可能性を減らし、オンライン上での購入、訪日が可能になったときのインバウンド消費にもつながる可能性があります

実際のオンラインツアーの事例を紹介していきます。

UCC × JTB × BeeCruiseアジア向けオンラインツアー
「Coffee Lovers’ Tour」

UCCホールディングスさん、JTBさん、BEENOSグループが連携し、海外のお客さま向けのオンラインツアー「Coffee Lovers’ Tour」を2021年7月3日に開催しました。

UCCグループのブランド力、JTBの海外ネットワークや手配力を生かしたオンラインツアーを、BEENOSグループの「Buyee」のスキームで外国人向けに販売。アフターコロナに向けた訪日意欲の喚起、訪日できない「日本ロス」による消費意欲の取り込みを図ることが狙いでした。

ツアー参加者には事前に「Buyee」へ会員登録していただき、UCCの簡易ドリッパーが付属したギフトセットをお届けしました。当日は画面越しにプロの抽出技術などを学びながら、ご自身でコーヒーのドリップに挑戦してもらいました。見る・聞くだけでなく、実際に手を動かし、コーヒーの香りや味を五感で感じていただくオンラインツアーとなりました。

UCCコーヒーアカデミーの栄秀文学長に、今回のツアーについて伺いました。

Q. 今回のツアー実施の背景を教えてください

アフターコロナに向けて、UCCコーヒーアカデミーの受講促進のためのプランを考えていましたが、JTBさんからのお誘いもあり、海外向けに舵を切りました。UCCコーヒー博物館は現在休館中ですが、コロナ以前はアジア圏のお客さまにもご来訪いただいていましたから。

訪日が叶わないなかでも、「お客さまに忘れられないように何かしたい」という思いがあり、「モノ」より「コト」、体験を売りにする方が良いと考え、今回のオンラインツアーの形となりました。

Q. 海外とのオンラインセミナーは何度かされているそうですね。

UCCハワイコナ直営農園など世界のコーヒー農園とオンラインでつながる施策を2020年から実施しています。ジャマイカやオーストラリア、イタリア、フランスでもオンラインセミナーを行った経験から、体験型のライブができればと考えました。日本からハワイへ行くには飛行機だと丸1日かかりますが、オンラインならリアルタイムにすぐ話ができますからね。

ハワイはお昼から雨が降ることが多いのですが、ツアー中に雨が降ってしまうこともありました。そんなライブ感もオンラインツアーならではですよね。直射日光を和らげて水分が補給できるので、コーヒーにとって雨はすごく良い雨なんですよ(笑)

Q. 「Buyee」との連携はどうでしたか?

海外との距離が非常に近くなった実感があります。UCCコーヒーアカデミーでは外貨による決済の場合、キャンセル料の支払いなどが煩雑になってしまうのが課題だったのですが、「Buyee」の導入で決済面でのハードルが低くなりました。

Q. 今回のオンラインツアーに期待したことはなんですか?

親日家やコーヒー愛好家の方、アジアのお客さまにUCCグループが展開している「カップから農園まで」の取り組みを知っていただくことです。焙煎やブレンドといった過程をお客さまに知っていただき、まだ知られていないコーヒーの魅力を体験いただきたいです。

98%のお客さまが満足した京都の酒造ツアー
「海の京都 与謝娘酒造オンラインツアー」

3月に開催した「海の京都 与謝娘酒造オンラインツアー」は、観光庁の「重点支援DMO」に選定された一般社団法人 京都府北部地域連携都市圏振興社さんとBEENOS Travelが共同で企画運営した、台湾のお客さま向けのツアーです。台湾で人気の旅行系インフルエンサー東京走著(Bob)さんが、1887年から酒造り続ける与謝娘酒造さんを訪れ、酒造の歴史やお酒に込める想いなどを聞きながら酒蔵見学をするツアーです。

先着50人の参加者には、与謝娘酒造さんの日本酒をプレゼント。日本酒を飲みながらツアーに参加していただくことで、見るだけではない体験するツアーとなっています。こちらのプレゼントは募集開始後約12時間で定員に達するなど、事前申し込みの段階から多くのお客さまから反響をいただきました。

また、越境ECサイトとの連動企画となっており、オンラインツアーやアーカイブ動画を通じて商品に関心を持った海外のお客さまは、BEENOSグループが提供している越境代理購入サービスBuyee内の「海の京都」ストアで商品を購入できます。

台湾では日本酒人気が上昇中

台湾向けの日本酒の輸出量/輸出額は、2012年から年々増加傾向にあります。

台湾向け日本酒の輸出の推移 2012年〜2020年
財務省の「貿易統計」をもとにBEENOSで作成

台湾では2019年7月、日本酒を含む穀類酒は関税率が40%から20%に大きく引き下げられたため、消費者が購入しやすい状況になりました。今回のオンラインツアーは、日本酒の認知度向上に加え、越境ECでの購入を促し、海外への販路拡大を実現するねらいで実施しました。

160人以上の参加者の98%が「満足」

当日は160人以上の台湾のお客さまが参加。アンケートの結果、今回のツアーに「非常に満足」が29%、次いで「満足」が70%と、合計98%のお客さまに「満足」と回答いただけました。

海の京都オンラインツアーの満足度
出典:「海の京都 与謝娘酒造オンラインツアー」参加者へのアンケート調査

「不満」と答えたお客さまの声として、「特産物(自宅へ届く数量限定のお酒)の数をもう少し増やしてほしかった」という意見が見られ、オンラインツアーの内容と並行して充実したコンテンツによって満足度が左右されることがわかりました。

また、コロナ収束後、海の京都を訪れてみたいかという質問には、「ぜひ訪れたい」が39%、「機会があれば訪れたい」が61%で、回答者全員が「訪れたい」という回答になりました。

コロナ収束後に海の京都を訪れてみたいと思いましたか?
出典:「海の京都 与謝娘酒造オンラインツアー」参加者へのアンケート調査

これらの結果から、将来的なインバウンド需要取り込みのためのオンラインツアーは、忘れられない接点を作り、今後の訪問につなげることに一定の効果があったと考えています。

オンラインツアー実施からわかったこと

2つのオンラインツアーの事例を紹介しましたが、実施してみてわかったファインディング(発見)をお伝します。

・案内役のインフルエンサー ※必須

自前でオンラインツアーを検討される場合もあると思いますが、案内役となるインフルエンサーをアサインすることをおすすめします。インフルエンサー自体にファンが付いているため、参加人数に大きな差が出ます。また、想像以上にリアルタイムでの動画配信はハードルが高いため、YouTuberなど動画配信に慣れている方に対応いただくのが最適です。

・配信ツール

配信ツールはアプローチしたい国によって決めてください。「海の京都 与謝娘酒造オンラインツアー」は台湾向けのため、台湾で強いFacebookを用いました。

・参加人数

限定にしてプレミア感を出すのが良いでしょう。例えば、150人限定と銘打つのがおすすめです。

・ツアーのプログラム

お客さまが画面を見るだけでなく参加できるように、ツアー内にインタラクティブな交流が持てるプログラムを組むことをおすすめします。クイズを出題するなどして、双方向の交流をツアー内に複数回入れてください。

・お土産やプレゼント

参加前のお土産(今回の場合はコーヒーセットや日本酒)はあった方が良いです。これに連動して視聴維持のためにツアー後のプレゼントも考えると良いでしょう。2月に実施したオンラインツアーで「ツアーに参加したらポストカードをプレゼント」という施策を行ったところ好評で、お客さまの離脱を防ぐことができました。

・越境ECでの購買につなげるための工夫

オンラインツアー(観光)にライブコマース(購買)の要素を入れてみるのはいかがでしょうか。ご自身の経験を思い出していただきたいのですが、観光地に行ったとき、現地のグルメやお土産の購買意欲が高まりますよね? これと同じことがオンラインツアー中にも起きているので、お客さまの気持ちが高まっているオンラインツアーの中で、ライブコマースを実施することをおすすめします。

ライブコマースのみだと機能面、価格面の訴求に偏りがちですが、オンラインツアーを組み合わせることで、商品が生まれた背景や作り手の想いも知ってもらえるので、商品だけでなくお店や地域自体のファンになってもらいやすいのです。

ツアー中にリアルタイムにすぐにお買い物いただくために、事前に越境ECサイトへの会員登録を済ませていただけるよう、ツアーの参加条件を工夫してみてください。さらに、オンラインツアー中にしか使えないクーポンを発行して購買意欲を高めるといった工夫もおすすめです。

オンラインツアーで忘れられない関係を作り、越境ECで購買につなげる

今回は、「オンラインツアー×越境EC」をテーマにお伝えしました。越境ECは指名買いが多いため、商品情報の訴求のみでは購買が思うように伸びません。海外の商品のため、実際に手に取ることが難しいので、どんな過程を経て商品が作られているのか、商品の背景にある文化や歴史を知ってもらう必要があります。ツアーを通して商品の作り手の想いや背景を知ることで、その後の購入やリピートが期待できます

海外のお客さまとの忘れられない関係作りのために、情報発信は重要なポイントです。インフルエンサーなど第三者から魅力を語ってもらうことで、興味関心を喚起し、購買へつなげやすくなります。商品だけでなく観光スポットや地域の方との触れ合いといった周辺情報も含めて紹介することや、海外から購入できる状態を整えておくことも必要です。

現地に行って高揚した状態で買う商品とオンラインツアーに参加して購入する商品は、お客さまにとって意味合いが異なります。前者は他者のためのいわゆるお土産、後者はご自身好みの嗜好性が高いものです。今回ご紹介したコーヒーやお酒もこれに当てはまります。

できるだけ早く海外からのお客さまが日本に来られることを願いつつ、まずは今できることとして、オンラインツアーを使った越境ECに挑戦してみてはいかがでしょうか。

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直井 聖太

BEENOS株式会社 代表取締役社長 兼 グループCEO

1980年生まれ、愛知県出身。コンサルティング企業に入社後、2008年にBEENOSへ入社。輸出Eコマース関連の新規事業を担当し、tenso株式会社(当時、株式会社転送コム)の立ち上げに参画。2012年、tenso株式会社の代表取締役社長に就任(現任)し、「From Japan」のクロスボーダービジネスを牽引する。

2014年、BEENOS株式会社 代表取締役社長兼グループCEOに就任。2016年には東証一部に市場変更。クロスボーダー事業を軸とした新グループ成長戦略を推進し、グループ事業や投資先とのシナジー効果を発揮、モノ・人・情報を日本と海外、双方向に繋ぐグローバルプラットフォームを展開する。

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