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AI(人工知能)やAR(拡張現実)技術を利用して、ユーザーの顔面にまるで本物のメイクを施しているように見せる「バーチャルメイク」。サービスを搭載したタブレットを店頭に設置する小売店、ECサイトで自社商品のバーチャル体験機会を提供する化粧品ブランドなど、世界各国で導入が進んでいます。バーチャルメイクが急速に普及している背景には、導入後の売り上げが8倍に拡大など短期的な成果のほか、LTV向上も見込めるところにあります。今回は、国内外の事例からバーチャルメイク導入によるビジネス効果を見ていきましょう。

Amazon、資生堂も採用する「バーチャルメイク」。導入後のCVR2~6倍という事例も

「バーチャルメイク」は、スマートフォンやタブレット、PCなどに搭載されたカメラを通じて画面に映し出されたユーザーの顔面に、AIやARを利用して、本物のメイクを施したように見せる技術のことです。近頃は「バーチャルメイク」機能を使えるビデオ会議ツールも増えてきていることから、利用経験がある方も多いのではないでしょうか?

2020年8月には資生堂が、SnapchatのPC用カメラアプリ「Snap Camera」(スナップカメラ)を介して、メイクアップブランド「マキアージュ」の最新メイクを楽しめるARフィルターの提供を開始しました。「Microsoft Teams」「Zoom」「Skype」「Google Hangouts」など、主要なPCオンライン会議ツールで利用できます。

資生堂が提供している「Snap Camera」
資生堂が提供している「Snap Camera」(画像:サービス紹介ページより編集部がキャプチャ)

「バーチャルメイク」のメリットは、企業側、ユーザー側ともにあります。従来店頭でカラーもののコスメを試す場合には、「メイクを落とす→肌に色を乗せる」といったプロセスが必要でした。これら一連のプロセスを行うと、口紅の場合1色あたり数分はかかるので、店頭での体験は、多くても一度に4~5色が限界だったはずです。

一方、バーチャルメイクであれば、実際のメイクを必要としません。画面をタップし商品を選択するだけで、リアルの商品に近いテクスチャーや色味を体験できるので、「試す」ハードルが下がります。実際、30秒で30色を試すことも可能です。その結果、従来は接客のタッチポイントがなかったブランドや色味と出会うきっかけが生まれ、購入機会へとつながります

パーフェクト社のバーチャルメイク技術を導入している企業の実績
パーフェクト社のバーチャルメイク技術を導入している企業の実績

AmazonもECサイト上でバーチャルメイクを採用するなど、大手からスタートアップまで、多くの企業が導入を進めています。企業がバーチャルメイクに注目するのは、一度バーチャルで試してからの本商品購入率は、試していないケースと比べると、2~6倍(*パーフェクト社調べ)になるなど高い効果が期待できるからです。

また、中国のオンラインショッピングモール「Tmall」は、バーチャルメイクの導入により、売り上げが8倍になり、コスメ購入者のページ滞在時間が平均5倍に伸びたそうです。

事前にバーチャルで試すことで、化粧品ECのペインポイントである「イメージと違った」を回避でき、その結果、購入率アップにつながっています。

今はコロナ禍で、マスクの着用が欠かせません。カネボウ化粧品のコスメブランド「KANEBO」はニューノーマル時代の消費者行動にあわせ、2021年3月にバーチャルメイクとバーチャルマスクの同時体験を可能にしたサービスの提供を開始。先端のAR技術を搭載しています。

KANEBOは、バーチャルメイクとバーチャルマスクの同時体験を提供
KANEBOは、バーチャルメイクとバーチャルマスクの同時体験を提供(画像:KANEBOのサイトより編集部がキャプチャ)

サイト滞在時間、カート追加率アップ。米ブランド「tarte」の事例

実際の事例からバーチャルメイク導入の効果を見ていきましょう。

2014年にコーセーが買収した米国の自然派コスメブランド「tarte(タルト)」の事例を紹介します。店舗展開のほか、ECサイト「tarte.com」は世界50か国以上を対象に製品を発送しています。

「tarte」は、コロナ禍で自宅からでも買い物を楽しんでもらう方法を模索するなかで、自社ECサイトにバーチャルメイク技術を導入しました。早くも、「カート追加率30%増」「サイト内滞在時間3ケタ増」「売上200%増」などの成果が出ています。

「tarte(タルト)」のバーチャルメイク導入イメージ
「tarte(タルト)」のバーチャルメイク導入イメージ

自宅にいても、バーチャルメイクを利用することで、自分にピッタリのファンデーションの色味を確認できたり、欲しいカラーを吟味できたりと、店頭に近い感覚でオンラインショッピングを楽しむことができるため、これらの成果につながっています。

興味深いのが、バーチャルメイク導入後、サイト滞在時間の増加や売上向上につながっただけでなく、ファンデーションの色味に関してアドバイスを求めるカスタマーサービスへの問い合わせ件数が2ケタ減少になったことです。バーチャルメイクを利用することで、ユーザーが自身で肌に近いファンデーションの色味を探し、“試せる”ので、問い合わせ件数が大幅に減ったと考えられます。

PV数11.4倍、平均滞在時間が2.48倍増加した「コフレドール」のバーチャルメイク導入例

カネボウ化粧品のトータルメイクアップブランド「コフレドール」が、2020年9月17日にローンチした「COFFmi(コフミ)」の事例を紹介します。「COFFmi」は、水分・油分・シミ・キメ・顔の特徴をデジタル上で分析し、約7,000通りからユーザーの顔に似合うメイクを提案し、そのメイクをバーチャルでシミュレーションできるというサービスです。LINEを活用し、ユーザーはLINE上でカウンセリングを受けることができます。

このコンテンツは、開始から1週間で10万回以上利用され、LINEの公式アカウントとつながる「お友だち」数は、2週間で30万人を突破しました。

サービス提供後に、カネボウ化粧品がバーチャルメイク機能を搭載している「COFFmi」のページと、同時公開のバーチャルメイク機能を搭載していない別製品のスペシャルページを比較したところ、PV数が11.4倍、平均滞在時間は2.48倍という結果が出たそうです。

「COFFmi」が提供しているバーチャルメイクのイメージ
「COFFmi」が提供しているバーチャルメイクのイメージ

昨今は、衛生面への配慮からテスターを設置していなかったり、ビューティカウンセラーによるタッチアップを自粛したりするなど、ユーザーが実際の商品を試す機会が減っています。

カネボウ化粧品では、店頭でのサポート役としても「COFFmi」を利用しているため、「商品の疑似体験ができる」とお客さまから好評のようです。実際バーチャルトライのアクセス数は「COFFmi」ローンチ前と比較し、週間平均で4.9倍に増加。2020年3月に行なった特別キャンペーン時と比較しても、1.3倍に増えています。

バーチャルメイクの提供は、ブランドエンゲージメント向上にも

最後に、長期間実店舗の閉鎖が続くなど、小売業界全体に大きな影響が出ている海外の事例から、エンゲージメントの観点で、バーチャルメイクの可能性を探っていきます。

美容専門店の「Ulta Beauty」が提供するバーチャルメイクアップサービス「GLAMlab」は、コロナ禍以前と比べて5倍以上、1900万色がバーチャルトライされました。また2020年にはバーチャルでお試しできる対象を、髪の毛、眉毛、まつ毛に拡大。肌解析サービスの提供も行い、ユーザーが自宅からでも安全に買い物を楽しめるようにさまざまな施策を行ってきました。

Ulta Beautyが提供するバーチャルメイクアップサービス「GLAMlab」
Ulta Beautyが提供するバーチャルメイクアップサービス「GLAMlab」(画像:サイトより編集部がキャプチャ)

ロレアルは、コロナ禍においてバーチャルメイクアップツールの利用率が5倍に拡大。また、広告から購入への転換率は、バーチャルメイクを試したユーザーの方が、非体験ユーザーに比べ3倍高かったそうです。これらの結果からも、バーチャルメイクの導入がいかに、エンゲージメント向上に寄与しているかが分かるのではないでしょうか。

次回は、「AI肌診断」に関する考察をご紹介します。

※本稿は『パーフェクト ブログ』の記事をネットショップ担当者フォーラム用に編集した記事です
※所属・役職はオリジナル記事公開当時のものです
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