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コロナ禍をきっかけに導入数が増えている「Shopify」。今回は「Shopify」の上位版である「Shopify Plus」について解説します。自社のEC事業やECサイトに「Shopify Plus」がフィットしているのかどうかわからないという声も多く耳にします。「Shopify Plus」の提案や構築をしている立場から、どのような要件、機能を求めている場合に「Shopify Plus」を選ぶべきかを解説します。

「Shopify」には「Basic」「Standard」「Premium」「Shopify Plus」という4つのプランがあります。まず知っていただきたいのは、以下の機能はどのプランでも実装しているという点です。

  • 商品管理機能
  • 注文管理機能
  • 顧客管理機能
  • テンプレート編集機能
  • カート機能

「Shopify」にはユーザーがECサイトを使うための機能と、EC担当者がECサイトを運営するための機能がすべて備わっており、契約するとすぐにすべてを使用できます。

もちろんプランごとの違いもあります。プラン選びの際にポイントとなる項目と月額料金を表にまとめました。

Shopifyの4プラン比較表
月額費用スタッフアカウント構築可能なサイト数ロケーション
Basic29ドル2アカウント1サイトのみ4か所の倉庫/店舗まで
Standard79ドル5アカウント1サイトのみ5か所の倉庫/店舗まで
Premium299ドル15アカウント1サイトのみ8か所の倉庫/店舗まで
Shopify Plus2,000ドル※1無制限10サイトまで※220か所の倉庫/店舗まで
※1 「Shopify Plus」のライセンス料は月商80万ドル以上の場合は売上の0.25%
※2 1つのライセンス内でのサイトの追加構築は、同一ブランドや同一サイトなどでの多言語展開やB2Bの場合のみ

月額費用などのコストも大切ですが、ECサイト運用の際には担当者の人数、EC事業の目標や将来的な拡大計画、在庫を保管する倉庫の数、店頭受け取りのための店舗数というような、事業の仕組みや運用を含めた総合的な観点からプランを選ぶことが重要です。

大規模ECサイト構築には欠かせない4つのポイント

4つのプランのうち「Shopify Plus」は他のプランと比べて使える機能が多くなり、ECサイトの拡張性が高まります。そのため、特に大規模ECサイトの構築を検討する企業から注目されています。

ここからは「Shopify Plus」導入の決め手となる重要な機能とサービスを、4つに絞って解説します。ここで取りあげる機能は「Shopify Plus」でしか実現できない機能のため、1つでも実装したい機能として当てはまった場合は「Shopify Plus」の導入をおすすめします

1. SSO(シングルサインオン)が実装できる

「Shopify Plus」導入の一番の決め手と言っても過言ではないのが「SSO(シングルサインオン)」です。SSOとは1つのIDとパスワードを入力して、複数のWebサービスやアプリケーションに追加認証なしでログインできる仕組みです。

「Shopify Plus」では「Multipass API」というSSOを実現するためのAPIの使用が許可されています。この機能を使うことで、既存のECサイトやサービスで運用している会員のアカウントを使って、Shopifyで新しく立ち上げたECサイトにログインできたり、TwitterやLINEアカウントを使ったソーシャルログイン機能を取り入れたりすることが可能となります。SSOを取り入れることで享受できるメリットとしては、

  • サイトごとでの新規会員登録やパスワード管理の手間が不要なため、ユーザー体験の向上が見込める
  • 顧客IDの統合により、より精度の高いデータマーケティングが実現できる
  • 会員情報の一元管理によって、会員情報の管理業務に関する運用業務を軽減できる

といったものがあげられます。

なお、SSOにおいてよく見落としがちなポイントとして「Shopify Plus」には会員情報の管理や認証するための基盤はないため、別途調達しなければならないという点です。会員管理や認証するための基盤がすでにある場合は、連携することでSSOの仕組みを追加できますが、それらがない場合はツールの導入や開発が必要ですのでご注意ください。

2. チェックアウトページをカスタマイズできる

「Shopify Plus」では配送先住所や決済情報を入力し、購入を完了させるために重要な「チェックアウトページ」のカスタマイズが可能です。また、住所入力や決済設定以外のコンテンツをチェックアウトページに自由に追加できます。たとえば、下記のようなカスタマイズが可能です。

  • 名前のカナ項目やアンケートなど、独自の入力項目の追加
  • クロスセルやアップセルを目的としたレコメンド商品の表示
  • 商品受取までのフローなど、利用方法に関するコンテンツの追加

ただし、チェックアウトページは個人情報やクレジットカード情報を扱う大変重要なページです。また、年に数回アップデートがあり、その際にカスタマイズに影響が出てしまう場合もあるため、高度なカスタマイズは推奨されていません。カスタマイズは最小限にとどめておいた方が良いでしょう。

3. 20か所のロケーションが登録できる

「Shopify」では在庫を保管する倉庫や商品を受け取る店舗を「ロケーション」として登録する機能があります。「Shopify Plus」ではこのロケーションを20か所まで登録できます。通常のユーザーへの直送の場合、倉庫が20か所もあることはほとんどありませんが、恩恵を受けるのが店頭受取を実施している場合です。

「Shopify」では倉庫からユーザー宅への直送だけではなく、店頭受取の手配も基本機能で実現できます。もちろん1店舗でも店頭受取でビジネスを立ち上げることもできますが、複数店舗を持つマーチャントの場合、ユーザーが商品を受け取りやすい店舗を自分自身で選べるため、買い物の利便性を向上させることができます。

この仕組みを使うことで、例えば、多店舗展開の飲食店が限定ランチBOXの予約販売をShopify上で行い、ユーザーが家から一番近くの店舗に取りに行く、というようなユースケースも考えられるでしょう。

このロケーション数ですが「Shopify Plus」では最大20か所までという上限がありますが、外部にロケーションマスタを保持することで倉庫数や店舗数を増やすことも可能ですので、20か所では足りないという方は、ぜひこの方法で検討してみてください。

4. 充実したサポートを受けられる

こちらは機能とは関係ありませんが、ECサイトの立ち上げや運用を行っていく上で大変有り難いのがサポート制度です。「Shopify Plus」ではストアの公開前と公開後のそれぞれのフェーズに合わせてShopifyからマーチャント専属のサポートメンバーをアサインできます。特に、ストア構築時にはローンチエンジニアがアサインされるため、技術的な質問や悩みを一緒に解決してくれる強い味方となってくれます(一定条件あり)。

また、英語のみの対応ではあるのですが、通常のShopifyサポートとは別に「Shopify Plus」の専用のサポート窓口もあり、24時間365日問い合わせを受け付けてくれるのもとても安心です。

解説した4つのポイントはユーザー体験の向上やECサイト立ち上げ後のデータの利活用といった、EC事業での売上向上のための仕組み作りに必要な機能であり、大規模ECサイト構築には欠かせません。4つのポイント以外にも、

  • 1ライセンスで10ストアまで追加可能(多言語サイトやB2Bサイト等、同一ストアもしくは同一ブランドでの展開に限る)
  • Shopify Plus専用アプリ
  • B2B専用の販売チャネル
  • 各種APIの上限値の向上と高速化

といった「Shopipy Plus」専用の機能がありますので、ビジネスモデルやサイト上で実現したい機能や要件に合わせてカスタマイズが可能です。

「Shopify Plus」導入時の意外な注意点

ここからは「Shopify Plus」の導入を決めた場合の注意点を紹介します。検討されているマーチャントは比較的規模の大きなEC事業である場合が多いため、それに伴い事前に検討すべきポイントがあります。

1. 外部サーバーを使ったアプリの導入

Shopify自体のセキュリティはとても厳重なもので安心して利用できますが、機能をアドオンするアプリには少し注意が必要です。Shopifyアプリはインストールだけで簡単に機能をアドオンできて大変便利なのですが、アプリのほとんどは外部サーバーにアプリケーションを置き、そこと通信をしながら機能を実現しています。アプリによっては外部にデータベースを持ち、そこにエンドユーザーの個人情報を保存しているものもあります。

自社のセキュリティ方針によっては、使用するインフラやアプリケーションのすべてがセキュリティチェックの対象となる場合があるかと思います。それを踏まえるとアプリ導入ができず、開発コストがかさんでしまうという事態に直面する可能性がありますので、この点はぜひ事前に検討することをおすすめします。

2. ページ公開時の承認機能がない

Shopifyおよび「Shopify Plus」にはページ公開における承認機能がありません。そのため、もし他のCMS(コンテンツ管理システム)などで組織内での承認フローを採用しており、Shopifyを使ったECサイトでも同じフローを実現したい場合は、この点において運用方法の検討が必要となります。

ただし、Shopifyおよび「Shopify Plus」ではページや商品情報のプレビュー機能が基本機能として備えられていますので、プレビュー機能を事前確認に利用する使い方も可能です。

◇◇◇

「Shopify Plus」には「Shopify Plus」でしか使えない専用の機能が多くあります。それらを使うことでECサイトやバックオフィスの拡張性が高まり、既存のツールやシステムと組み合わせることによって、大規模ECサイトの立ち上げも実現可能です。また、ECサイトの立ち上げだけではなく、立ち上げ後のマーケティング施策やEC運用の効率化に役立つ機能もあるため、「Shopify Plus」はEC事業の拡大に寄与すると言えるでしょう。

この記事が「Shopify Plus」の導入を検討中の方のヒントになれば幸いです。

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金本 珠枝

株式会社電通デジタル

金本 珠枝(かねもと・たまえ)

Webシステムのプログラマーの経験を経た後、Web制作会社でエンジニアとしてWeb制作に従事。その後Web制作におけるディレクターに転身し、コーポレートサイトを中心にECサイトやWeb基幹システム構築まで様々なWeb案件を経験。

電通デジタルに入社後はシステム開発の経験を活かし、CMSだけではなくスクラッチ開発のシステム設計からインフラ構築まで幅広いソリューション提案・構築を担当。

特にShopifyを起点として3rd partyのツールや基幹システム連携させるシステムアーキテクトを得意とし、サイトやシステムの構築だけではなく販売フローや業務フローを見据えたEC事業の立ち上げに寄与。また、5000ページを超える大規模サイト構築の経験もありプロジェクトマネジメントも得意とする。

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