中国の出産人数はここ数年、低下傾向にありますが、1人あたりの可処分所得は増加し続けています。特に「90後」(1990年代生まれの世代を指す言葉)の親たちは、子供のために衣食住教育へお金をかける傾向があり、ベビー用品への消費が加速。ママ・ベビー用品業界は巨大なマーケットへと変わり、事業者にはビジネスチャンスが転がっています。

科学的な子育てを追求し、オンラインを活用して情報を取得する「90後」「95後」

統計データによると、中国ママ・ベビー用品市場の規模は2010年の1兆元(約17兆円)から2020年の4.09兆元(約70兆円)までに拡大、年平均増加率は15.06%に達しました。中国大手ネット調査会社であるiResearch社は、2024年までに中国ママ・ベビー市場は7兆元(約119兆円)を超えると予測しています

質の高い子育てを追求する「90後」「95後」(1995年以降生まれ世代)の若い親は、「80後」と「85後」に代わり、ママ・ベビー用品市場の新しい消費の担い手となりました。

教育水準の向上で「90後」「95後」の親の消費行動や消費理念は大きく変化、科学的でかつ上質な子育てを重視するようになりました。また、育児・教育の専門家のアドバイスの影響を強く受けると言われています。

子育て関連の情報収集や商品選定では、コミュニケーションアプリの「WeChat」や「Weibo」、子育てSNSプラットフォーム「宝宝樹」、ショートムービーアプリの「Douyin」、「Kuaishou」、小紅書(RED)などのオンラインチャネルを活用しています

そのため、多くのママ・ベビーブランドおよび小売店はこれらのプラットフォームを複数活用したマーケティングを実施しています。

画像左は2020年の年齢別に中国のママたちの育児理念。画像右は科学的な子育ての視点を持っているママの年代別割合(iResearch,transcosmos Chinaが作成)

ベビー商品新興ブランドによるオンライン活用事例

育児用品の新興ブランド「babycare」は2014年に事業をスタート。オンライン・オフラインチャネルで、おむつ、子供服、玩具、補完食品、早期教育用品、マタニティ用品などのカテゴリー商品を販売しています。オンラインチャネルでは、2020年の「ダブル11」販促イベントで、EC売上が9億元(約153億円)を超えました。

3年連続でママ・ベビー業界のトップセラーとなり、中国のママ・ベビー市場において無視できない存在となっています。

「babycare」はブランドプロモーションから商品販売、会員管理、顧客体験までを、オンライン+オフラインで展開。トランスコスモスチャイナの調査では、「Weibo」「Douyin」「小紅書(RED)」の3プラットフォームに経営資源を集中したマーケティングを行っています

具体的には、それらのチャネルで最も人気の高い「育児用品の買いだめ」「出産予定」「妊娠中の栄養」「出産準備リスト」というニーズを、オンライン+オフラインを駆使して獲得しています

Babycareが2020年1月から2021年5月までにSNS上で配信したコンテンツの数
Babycareが2020年1月から2021年5月までにSNS上で配信したコンテンツの数(データ元:GUOJI.PRO、transcosmos Chinaが作成)

妊娠中の有名人たちと提携し、「Weibo」の公式アカウントにベビー用の新製品を頻繁に投入、まずは市場における認知度向上に取り組みました。

一方、「Douyin」プラットフォーム上に「babycare公式旗艦店」を開設、ライブコマースを定期的に行い、顧客とのコミュニケーション強化を進めました。約1分間の短尺動画では、哺乳瓶や赤ちゃん用おしりふきなどの商品を紹介します。

こうした施策が功を奏し、「小紅書(RED)」では「babycare」に関する体験記事が多く投稿され、他のプラットフォーム上で提供する良好な顧客体験がブランドの口コミ向上に役立っています

まとめ

中国ではオンラインのマルチチャネル化が進んでいます。そのため、若い親たちは購買意思を決定する際、さまざまなチャネルから購入情報や商品体験レビューを見ており、買い物行動にも影響を受けているようです。

ブランドはターゲット消費者のニーズを把握して、より良いサービスを提供するために、オンラインとオフラインの両リソースを統合してビジネスを展開する必要があると考えられます。

ポストコロナ時代には課題もチャンスもあります。市場の状況やビジネスモデルの再構築が進むなか、中国の新世代の若い親たちは、子育てや消費に対する新しい思考を持っています。ブランドは、時代の変化に応じて、効率的なマーケティングチェーンを構築し、持続可能な事業成長を図っていく必要があります。

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