残業時間減、休日取得増、男性休暇率増を実現したオンワードHDの働き方改革とは
オンワードホールディングス(HD)は2019年8月から、既存事業の効率化と未来投資を目的に社員の働き方改革プロジェクト「働き方デザイン」を進めている。
「働き方デザイン」を実施している中核事業会社のオンワード樫山が発表した「働き方デザイン」の2021年度の成果発表によると、男性育休取得率は2020年度の国平均12.65%を大きく上回る27.3%、平均取得日数は141日を達成した。
2021年度の「働き方デザイン」はこれまでの取り組みに加え、育児休業取得促進のための研修の実施、出産・育児に関する制度や休暇の取り方などを記載した「仕事と育児の両立支援ガイドブック」の制定などを行った。
また、副業制度の導入や人事制度の改定、処遇改善など、社員1人ひとりの働きやすい環境作りを実施したという。
取り組みの実績と内容は以下の通り。
育休取得促進のための研修、ガイドブック制定などを実施。男性育休の平均取得日数は141日
誰もが育児休業を当たり前に取得できる環境をめざし、管理職向けのオンライン研修を実施。また、前出の「仕事と育児の両立支援ガイドブック」を制定した。
このほか、出産を控えた女性やそのパートナー向けに、育休取得に対する理解促進やコミュニティーを形成することを目的とした「プレパパ・ママセミナー」も定期的に催している。
これらの取り組みの成果として、2021年度は男性育休取得率が27.3%、全員が2週間以上の休暇を取得。平均取得日数は、これまでの取得実績と比べて最長となる141日になったという。
社員のキャリアアップのための副業制度を導入
社内の通常業務では得られない知識・スキルを習得することで社員のキャリアアップにつなげるため、2022年7月から副業制度を導入。社内ポータルサイト内に、副業制度に関する特設サイトを開設した。オンワードグループ内での副業の案件なども紹介しているという。
人事制度の改定、処遇の改善。初任給2.1万円の引き上げを実施
改定後の人事制度では、社員の役割に基づき処遇を決定する「グレード制」を導入。前制度の人事方針は、年齢に応じた安定的な処遇が行われていた一方、大きな役割を担う一部の若年層にとっては、不公平に感じられる仕組みだったという。
世のなかの変化や事業環境の変化に敏感に対応し、新しい発想でチャレンジする人を高く評価し、活躍を促す制度・仕組みに変えていく考え。また、23~32歳の社員を対象に、処遇の引き上げを実施。初任給は2.1万円引き上げ24万円にした。
販売職の新たな働き方を支える「インフルエンサー制度」を導入
店頭とデジタルの2つの業務を両立するファッションスタイリストの新しい働き方を支えるため、「インフルエンサー制度」を制定。毎月手当を支給し、デジタルデバイスを個人貸与することによって、店舗での対面の接客だけでなく、デジタルツールを使用した接客による売上拡大をめざす考え。
部署内の課題解決のための自発的なアクション「オンライン勉強会」の実施
部署ごとに、週に一度、普段一緒に仕事をするチーム単位で「自分たちがより良い働き方をするために何をすべきか」を考える「カエル会議」を実施。「カエル会議」では、「自分たちがより良い働き方をするために何をすべきか」をディスカッションし、現状の課題を解決するためのアクションを行っているという。
服づくりの設計図である型紙(パターン)を作る「パタンナー」で構成される部署では、「カエル会議」を行うことで課題が表面化され、技術継承を目的とした熟練のパタンナーの技術をメンバーに共有する勉強会を始めた。従来は、服づくりに関する知識やスキルが属人的になってしまうという課題があったという。
他のチームでは、各々の日々の業務のスピードを高めるために、PCスキルの勉強会を行っている部署などもある。こうした勉強会は全てオンラインで行っているため、録画データをいつでも閲覧できるような工夫もしているという。