EC市場拡大などで物流業界の4割以上が「人材不足」を懸念、帝国データバンクなど調査
物流業界の人材不足が顕著になっている。帝国データバンクの調査では、「運輸・倉庫」の41%が2015年の懸念材料に「人材不足」をあげた。産業能率大学が実施した調査「2015年の中小企業の経営施策」では、運輸業の53%が2015年の経営活動に与えると想定している要因として「人材の不足」をあげている。
帝国データバンクが実施した「2015年の景気見通しに対する企業の意識調査」によると、「運輸・倉庫」の41.1%が人材不足を懸念。「人手不足から新規業務を獲得できない」といった企業も多いという。
他の業種を含めて「人手不足」を景気悪化の懸念材料にあげている企業は4社に1社の割合。「運輸・倉庫」では「人材不足」が顕著になっている状況がうかがえる。
産業能率大学は調査で、「2014年の経営活動において、影響が大きかった要因は何ですか」と質問。運輸業では53.3%が「人材の不足」をあげた。
「2015年の経営活動において、影響を与えると想定している要因は何ですか」との問いに対し、運輸業は53.3%が人材の不足をあげている。
物流業界の人材不足が顕著になってきている要因の1つに、通販・EC市場の拡大にともなう配送荷物の増加があげられる。こうしたことを受け、国土交通省は対策に乗り出す方針を掲げた。
同省は「物流産業においては景気回復に伴い労働力不足が顕在化しつつあるが、物流産業従事者の中核を占める中高年男性は今後大量退職を迎えることから、労働力不足問題への対応が重要な課題となっている」と指摘。
「物流産業の各職種への就業が比較的少ない労働者層(女性・高齢者・若者等)の就業を促進することにより、持続可能な物流産業への転換を図ることが必要である」という認識を示している。
国土交通省は平成27年度予算概算要求で、「物流事業者及び求職者の意向把握」などの調査、労働者不足対策の検討などで1億3500万円を要求している。