【リプレースのトラブル】千趣会は約110億円の最終赤字で通販事業は130億円の減収。システム刷新の影響と今後の対策
千趣会の2022年12月期連結決算は、売上高が589億2700万円(前期は731億4900万円)、当期損失は109億5200万円(同3億800万円の黒字)だった。この期から「収益認識に関する会計基準」を採用しているため対前期増減率は記載していない。
売上額は前期比154億7000万円の減収。連結営業損失は81億700万円、同経常損失は78億5300万円。
多額の損失を計上したため、「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に重要な疑義を生じさせるような状況」が存在しているとして、決算短信に「継続企業の前提に関する重要事象等」の注記を記載した。
大幅減収、赤字の主因は基幹システムのリプレイスに関連したトラブルにより販促を大幅に縮小したため。通販事業の売上高は前期比129億7400万円減の526億4500万円だった。
2022年1月に基幹システムのリプレイス実施した後、新システム稼働後に「ベルメゾンネット」で通常の営業活動に支障をきたす状態が発生、販促を大幅に縮小した。売上高が大きく減少し、第2四半期(2022年4-6月期)から、システムが安定稼働し販促を再開させたことで業績は徐々に回復した。
以前の基幹システムは、通販事業の成長に合わせて巨大化・複雑化し、さまざまな変化への対応が困難な状況になっていた。一方、千趣会の通販事業はビジネスモデルの転換期にあり、事業の変革を進める上でシステムの柔軟性が不可欠な要素となっていた。また、ベーシックでシンプルな基幹システムへと刷新するために、業務プロセスの改革も念頭に準備を進めた。
新システム稼働後、ECサイト「ベルメゾンネット」で注文を正しく受け付けできない、予定通りに商品を届けられないなどの事象が発生。これらに起因しコールセンターへの問い合わせが集中するなど、広範囲にわたって通常の営業活動に支障をきたした。
事態収束に向けて、販売促進活動などの一部業務を停止し、緊急的に人員配置を見直して早期の復旧に向けて対応。その結果、2022年第1四半期は、販売促進策を見合わせた影響で一時的に業績が悪化した
今後は早期に会員規模を回復し、通販事業を中核とした「独自の共創モデル」に変革することで成長をめざす。そのために、顧客の価値観や思いをくみ取り、生活の調和を整え、暮らしに潤いを生み出す提案をしていくとしている。