石居 岳[執筆] 2023/2/17 8:30

2022年12月期連結決算で当期損失109億5200万円を計上した千趣会。2023年12月期連結決算では1億5000万円の当期利益へとのV字回復を計画する。

2023年度の黒字化達成に向けて、中期経営計画で掲げている3項目を集中的に実施、ビジネスモデルの転換を図っていく。

千趣会は、2023年度の黒字化達成に向けて、「通信販売事業のデジタルシフト」「収益構造の変革」「パートナー企業との共創」に取り組む
2023年度連結業績予想(画像は千趣会のIR資料から編集部がキャプチャ)

通信販売事業のデジタルシフト

カタログ中心のプロモーションを見直し、SNSなどによるデジタルプロモーションへの経営資源のシフトを進める。その一環として注力商品の商品詳細情報の充実などに取り組む。

2022年11月にはテレビCMとSNSとの連動による大規模なクロスメディア販促を実施。その結果を踏まえ、施策のブラッシュアップを図った上で継続的に行うという。

収益構造の変革

従来のカタログに最適化した事業運営から脱却し、デジタルとの親和性が高く、オープンの場でも競争優位性が高い商品(オリジナル商品)を中心に展開する。これまで以上に顧客の価値観やライフスタイルを理解し、愛着を持って長く使ってもらえる商品開発を強化する。

カタログを利用しない顧客へのカタログ配布を抑制し、より有効なデジタルプロモーションにシフトすることで、販売促進費の効率化を進める。潜在顧客層へのアプローチだけではなく、既存会員様の継続率、購入頻度増にも重点投資する。

デジタルシフト化と併せて、広告ソリューション事業の拡大にも取り組む。女性会員数が国内有数規模のECサイト「ベルメゾンネット」を活用した新たな広告メニューを展開していく。

パートナー企業との共創

筆頭株主である東日本旅客鉄道(JR東日本)との協業の深化・拡大を進めている。JR東日本のECモール「JRE MALL」を活性化するために、JRE POINT会員へのアプローチを前提としたデータマーケティング支援、JR東日本グループからの受託業務なども実施。通信販売事業、リアル店舗事業以外の領域での取り組みも具体化している。

オークネットと共創した商品買い取りサービス「kimawari」など、商品の使用中・使用後に関するサービスを拡充することで、ベルメゾンのブランド価値を高めて会員基盤の強化をめざす。「kimawari」は今後のベルメゾンの重点施策の1つとして、買い取り対象商品の拡大など取り組みを加速する。

◇◇◇

2022年はシステムトラブルによる売上高の大幅減、バーゲンの増加で一時的に売上総利益が大きく減少した。2023年は通期での通常営業で売上総利益を確保する。2023年は新マーケティング施策、「kimawari」による継続率UP、注文獲得費の効率化などで利益面を改善。広告事業での売上増、コスト削減の推進などで利益を積み上げる。

千趣会は、2023年度の黒字化達成に向けて、「通信販売事業のデジタルシフト」「収益構造の変革」「パートナー企業との共創」に取り組む
2023年度業績回復シナリオ(画像は千趣会のIR資料から編集部がキャプチャ)

千趣会の2022年12月期連結決算は、売上高が589億2700万円(前期は731億4900万円)、当期損失は109億5200万円(同3億800万円の黒字)だった。この期から「収益認識に関する会計基準」を採用しているため対前期増減率は記載していない。売上額は前期比154億7000万円の減収。連結営業損失は81億700万円、同経常損失は78億5300万円だった。

2023年12月期は、売上高662億円、営業利益5億円、経常利益4億円、当期利益1億5000万円を予想している。

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