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宅配会社が貴社の配送クレームを進んで改善してくれるようになれば、消費者が抱く心証も格段にアップするでしょう。大事なことは、宅配会社と「仕入先やシステム会社と同等レベルでコミュニケーションを取る」ということです。EC事業者にとって宅配便は切っても切れない関係性にあるはずです。しかし、荷物の受け渡し程度のコミュニケーションしか取れていないケースが多いのではないでしょうか。宅配会社と継続して密なコミュニケーションを取ることができれば、貴社のEC業務に“何か”いいことをもたらすはずです。

自社の配送業務を改善するには、宅配の仕組みの理解とデータ保存が重要

宅配会社は日本全国で1日に数百万個の荷物を集荷し、方面別に集約をします。全体の配送効率を高めることにより、1個あたりの運賃を抑えることに成功しているのです。

しかし、それはあくまでも人力で行う作業を集約しているだけで、オートメーションにより商品がどんどん生産されるような仕組みとは異なります。つまり、効率化に限界があり、その限界値を超えたときに必要となるのは結局、マンパワーなのです。

昨今、人口減少や労働基準法の改正による賃金の低下傾向で、若者のブルーカラー職種離れが起き、宅配各社が必要としているマンパワーの確保が難しい時代となっています。

しかし、宅配貨物がタイムリーに消費者などの手元に配送されるためには、「集荷 → センター集約 → 方面別幹線輸送 → センターばらし → 配達」という、日本全国規模の24時間365日のルーチンワークが遅滞なく進行していく必要があります。そのため、どこかの現場で人員不足が生じることで、配送に遅延が生じることになります。

もちろん、宅配会社のどこでどのような人員不足が発生しているかを、出荷する事業者が知るすべはありません。そのため、そのボトルネックとなっている部分を避けて荷物を発送することも不可能なのです。

さらに配達を行うドライバーたちは「1回目コラム」「2回目コラム」で記載した条件下で配達を行っているため、出荷する事業者側で手を打つことができないリスクを抱えた状態で荷物の発送をしている、というのがEC事業者さんの現状と言えるのです。

では、こうした状況下で、出荷人であるEC事業者さんは、宅配会社とどのような交渉をすることが可能なのでしょうか?

頭に入れていただきたい重要点は、「結果論でモノを言う」ということです。どんな交渉でも同じです、“だろう”“かもしれない”といった仮説では交渉はできません。「遅配(や誤配)が多いような気がするので改善してください!」と指摘しても、宅配会社側には響かないのです。

つまり、「いつ」「どこで」「どんなクレームが」「何回発生した」のか記録を取りましょう。可能であれば、先月または前年に対してクレーム率(破損率・誤配率)が何%増えたのか? 減ったのか? このデータを前にして、交渉することが望ましいのです。

多くのEC事業者さんは、商品クレームのデータを残し、可視化しているはずです。不良品やオーダーミスなどのクレームと併せて、配送クレームが何回発生したか数値を取っているでしょう。数値を残す際、「いつ」「どこで」といったフラグを増やし、データとして残します。こうした作業を行うことで、宅配会社に対し効果的に改善を促すことができるのです。

宅配会社との交渉にはクレームに関するデータを細かく保存しておくことが必要
配送ミスに関するデータの保存が交渉を有利に進めます

ドライバーに直接改善要求するよりも、営業所の責任者に申し入れを

EC事業者にとって宅配便は必要不可欠なインフラです。換言すると、「遠隔で管理している実店舗」のようなものです。もし貴方が遠隔で管理している実店舗を持っているとして、その店舗でクレームが続けて発生したとします。おそらく店長またはマネージャーを呼び付け、クレームの原因を特定し、改善策を提案させ、それが確実に実行されているか確認することでしょう。

このことは宅配事業者にも同じことが言えます。集配に来るドライバーは、実店舗でたとえるならアルバイトのレジ係に過ぎません。彼らに直接文句を言っても「すみませんでしたー!」と謝ってくれますが、根本的な原因の特定には至りません肝心な改善策が出てこないことでしょう。

原因を特定し、改善策を提案してもらうには、責任者と良好な関係を築くことが重要です。

ここで、御社の宅配便について以下の項目をチェックしてみてください。

  1. いつも集配に来る宅配会社はどこの会社ですか?
  2. 集配の担当者はなんという名前の人ですか?
  3. そのドライバーはどこの営業所の所属ですか?
  4. その営業所の所在地はどこですか?
  5. その営業所の責任者はなんという名前の人ですか?

おそらく、3. 以降の項目について回答できた人は少なかったのではないでしょうか?

普段から仲良くしている人には、特別な扱いをしてあげたくなるものです。もちろんドライバーも人間ですから、普段から仲良くしてくれている出荷人さんには、特別な扱いをしてあげようと思うわけですが、ドライバー個人ができることは限られます。「最終でもう一回集荷に来て!」といったお願いは快く聞いてくれるかもしれませんが、「○○県の配達が遅いので何とかして!」「最近破損が増えているので改善して!」といった要望には、ドライバーが個人レベルで対応できません。

そうなったときに、営業所の責任者への申し入れが必要となるのですが、初対面の人がいきなり訪問(もしくは電話)して、「最近ウチから発送した荷物の配達が遅いようなんだが、どうなっているんだ?!」と指摘すると、どうでしょう? 残念ながら、クレーマーだと思われて、その瞬間から心を閉ざされてしまいかねませんよね。

責任者と円滑な交渉に臨むには「普段のコミュニケーション」「データ」が重要

配送クレームを減らすには宅配会社の営業との良好な関係作りが重要
配送クレームを減らすには、宅配会社の営業所との良好な関係性作りがカギになります

そこで重要となるのが、営業所の責任者との「普段からのコミュニケーション」と「品質が悪化していることを示すデータ」なのです。

まずは普段利用している宅配会社の担当営業所を訪問し、営業所の責任者と名刺交換するところから始めましょう。その時の殺し文句はコレです。

私は現在○○をインターネットで販売している事業者で、現在御社に毎月△△個くらいの発送をお願いしているのですが、今年は新商品の発売を計画していて、これが軌道に乗ると商品の発送は今の2倍……いや、5倍以上になるかもしれません。そうなったときに、より効率的な発送の方法など、どのように対処すればいいか相談させていただきたく、訪問させてもらいました。

この言葉を受け取った責任者がきちんとした知識と経験を持っているまともな人物であるならば、「ありがとうございます。それであれば、送り状の発行機、通販システムと連携できる送り状発行システムの導入、商品の破損を防ぐための梱包資材……などのご提案ができますがいかがでしょう?」といった回答が返ってくることでしょう。その提案を受け入れるかどうかはひとまず置いておいて、提案をもらって帰りましょう。本当に出荷量が5倍になったら考えればいいことですから。

そして、次に訪問するときが本題です。2回目の訪問時には、品質悪化を示す資料(サイズ別、方面別クレーム率や破損率、誤配率の月別推移表など)を持参し、「実はこの表が示す通り、ここ数か月、○○県で◇◇のクレームが増加しているのです。この原因を調査していただきたいのですが」というように話を持っていきましょう。その営業所の責任者も下手な対応ができなくなってしまうので、おそらくクレーム発生の要因がどこにあるのかを調査してくれるはずです。

◇◇◇

宅配会社を仕入先やシステム会社などと同等なレベルで、密なコミュニケーションを取っておくことが重要なのです。日々状況は変化し、繁忙期(お中元・お歳暮シーズン)には配達状況が悪化します。冬場には雪の影響で遠距離の配達に遅延が発生することもしばしば起こります。大規模なお祭りやイベントなどがある日には、その地区一帯で通行規制が敷かれることもあります。そういった特殊事情を宅配事業者は事前に知っていますし、ひょっとすると同業他社の出荷情報なども知っているかもしれません。いろんな情報を貴社にアウトプットしてくれることもあり得ることです。

現在利用している宅配会社と、もう一歩踏み込んだ付き合い方をしてみてはいかがでしょうか?

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鎌野 誠司

シースリートランスポーター株式会社

鎌野 誠司(かまの・せいじ)

シースリートランスポーター株式会社 常務取締役

1995年、佐川急便に入社。セールスドライバーとして活躍した後、現場の管理職を経て関東支社勤務となる。関東エリアの大口顧客専門の営業職として大手通販・量販企業などを担当。

現在はその経験を生かし、EC事業者が抱える物流の問題解決のサポートを行っている。シースリートランスポーター社内では広報およびマーケティングを専門とし、EC事業者が段階的に物流部門をステップアップさせていくための方法論「コンパクト3PL」を提唱している。
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シースリートランスポーターのホームページ内では、オリジナルキャラクター「しーちゃん」と「トラ先輩」の日常をつづる四コマ漫画「しーちゃんとトラ先輩の配達日誌」を連載中。
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