鎌野 誠司 2015/1/30 10:00

ヤマト運輸が1月22日に発表した「3月31日の受付分をもって、クロネコメール便を廃止します」というプレスリリースに驚いた通販・EC事業者は多いことでしょう。配送コストの観点から、「クロネコメール便」を使っていた事業者にとっては大きなダメージとなりそうです。「クロネコメール便」を利用していた通販・EC事業者は今後、どうすればいいのでしょうか? 現在公開されている情報をもとに、代替案を考察してみます。

目的に応じた複数のサービスを効率良く使い分ける「宅配サービス3段階利用」を

物流コストを下げるのに有効な手段は、「目的に応じた複数のサービスを効率よく使い分けること」です。

クロネコメール便廃止後は、「信書」にあたる請求書や領収証などは第一種郵便(一般郵便)を使って発送し、小さい商品の発送は「ゆうパケット」や「4月1日からスタートするヤマト運輸の新サービス」などにシフトしてみる。

そしてサイズや重量の大きいものは、いままで通り宅配便やゆうパックを使って発送する、という「宅配サービス3段階利用法」を、僕はお薦めしたいと思います。

今回のヤマト運輸のクロネコメール便の廃止にともなって、通販・EC事業者は知っておくべき代替案などについてまとめてみました。

他の配送会社も信書混入のチェックが厳しくなる?

「クロネコメール便」は1997年にヤマト運輸が開始した、ポスト投函を前提とした受領印を取らない配送サービスです。2013年現在で年間約20億通の取り扱い実績があり、多くのEC事業者がこのサービスを利用されていることでしょう。

それだけ需要がありながらクロネコメール便を廃止する背景には、郵便法の存在があります。つまり、「本来メール便で送ることが許されているのは、冊子や書類のみであり、信書を送ることは郵便法違反にあたる。しかし、顧客は運送事業者が知らないうちに信書を封入してしまう場合があるので、運送事業者のCSRの観点から、顧客が認識のないまま法違反を犯すことを見過ごすことができない」という観点から、クロネコメール便を廃止するという決断に至ったようです。

ヤマト運輸がクロネコメール便を廃止した理由とその対策②
ヤマト運輸がクロネコメール便を廃止した理由(ヤマト運輸のお知らせから編集部がキャプチャ)

知っての通り、「クロネコメール便」以外にも他の宅配事業者が同様のサービスを提供しています。

佐川急便の「飛脚メール便」、西濃運輸の「セイノーPostalメール便」などがありますが、これらの宅配会社系のメール便サービスを利用しても、「信書」の規定に反するものは違法となります。もしかすると、メール便を扱っている他の事業者も、今後ヤマト運輸に追随してサービスを廃止、もしくは信書混入のチェックを厳しくする可能性があります

クロネコメール便と運賃で比較されることが多い「ゆうメール」も、日本郵便が提供しているサービスですが、これも「信書を取り扱わない」ことが前提となっています。郵便局への引き渡しの手続きが煩雑であるため、スピード感においては一般郵便やクロネコメール便には勝てないと言わざるを得ません。

結論を言うと、今後、請求書や領収書などの発送には、第一種郵便(いわゆる一般郵便)を利用するしか方法がないということになります。法令を遵守するためには、残念ながら、切手を貼ってポストに投函するしか対応策がないのが現状のようです。

 「請求書」や「領収書」は信書にあたる

ヤマト運輸がクロネコメール便を廃止した理由とその対策①
信書の定義(ヤマト運輸のお知らせから編集部がキャプチャ)

郵便法の第一章、第四条の2には、信書について「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」であると明記されています。

つまり文章のタイトル(および本文中)に「○○様」とか「△△株式会社 御中」などと書かれている書類すべてが信書にあたるのです。これまで認識なく発送していたかもしれない「請求書」や「領収書」なども信書にあたり、厳密にいうと出荷人も運送事業者も罰せられるものなのです。

クロネコメール便を利用して商品の発送をされている方もいらっしゃるでしょう。商品自体は信書ではありません(ただし同封される納品書は信書にあたります)ので、メール便で送っても問題はありません。しかし、ヤマト運輸のホームページには、クロネコメールでは信書・補償が必要となるもの、取り扱いサイズを超えるものは扱いができない、私書箱宛て、日時指定、受領が必要なもの、着払いには対応していない旨が記載されています。

ヤマト運輸の新サービス含め、信書に関する配送サービスを押さえておこう

ヤマト運輸のホームページによると、クロネコメール便の廃止と同時に、4月1日以降「新サービス①(専用BOXで送れる手軽な宅急便)」「新サービス②(ポストに届く宅急便品質のサービス)」を開始すると発表しています。

ヤマト運輸がクロネコメール便を廃止した理由とその対策③
ヤマト運輸が始める新たな配送サービス(ヤマト運輸のお知らせから編集部がキャプチャ)

僕はこれらの新サービスにちょっと期待してもいいのではないか、という見方をしています。その理由は、日本郵便が2014年からスタートさせている、「ゆうパケット」というサービスの存在にあります

ゆうパケット」 → 日本郵便が2014年6月から始めた新サービス。こちらは年間500個以上の発送が条件で、衣料品や文房具、CD・DVD、本や雑誌などの商品を低価格(発送個数に応じて割引率が変動するようです)で発送することが可能なサービス。さらにバーコードによる追跡サービスも付いているという優れものです。ただし梱包の3辺合計が60cm以内、長辺34cm以内、厚さ3cm以内、また重量1kg以内という規定があるので注意してください。もちろん信書は取り扱えません。

詳細なデータはありませんが、すでにAmazonさんなどが「ゆうパケット」を利用して商品の発送を行っているので、EC事業者の間では一定のシェアを持っているものと考えられます

この「ゆうパケット」が他社のメール便サービスに比べて優位性を持っているところは、同じポスト投函のサービスながら、取り扱えるサイズ(重量)が大きいという部分でしょう。

しかし、もし4月1日からヤマト運輸がスタートさせる新サービスが、ゆうパケットの利用者および利用潜在顧客をターゲットとしたサービスとなるのであれば、日本郵便よりも使い勝手の良いものになる可能性は十分にある、と僕は睨んでいるのです。

その他にも、下記のような民間企業で信書を扱うサービスもいくつか存在しています。残念ながら、これらのサービスについては僕自身も利用したことがないので、詳しく語ることができません。

これらのサービスについては、近日中に実際に利用してみて、使用感や価格感について報告したいと考えています。

飛脚特定信書便」 → 佐川急便が特定信書事業の認可を受けて行っている信書の配送サービス。ただし、特定信書事業認可の1号と3号のみの取得となるので、扱える信書に制限があります。長さ、幅および厚さの合計が90cmを超え、または重量が4kgを超える信書便物、または1冊の料金(運賃)が税込みで1000円を超える信書便物という規定があります(つまり、一般的によく使われている、長3や角2の封筒は取り扱えません)。
 

特定信書便輸送(ビーエスピー1、ビーエスピー3)」 → 日本通運が特定信書事業の認可を受けて行っている信書の配送サービス。佐川急便と同様に特定信書事業認可の1号と3号の認可取得なので、長さ、幅および厚さの合計が90cmを超え、または重量が4kgを超える信書便物、または1冊の料金(運賃)が税込みで1000円を超える信書便物のみの取り扱いとなります。

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