瀧川 正実 2023/8/10 7:30

消費者庁は、ECサイトなどの「送料無料」表示の見直しに取り組む理由、考え方などをWebサイトに掲載。「持続可能な物流の実現のためには、私たちの意識や行動を変えていくことが必要になっているのではないか」といった考え方を示した。

「送料無料」表示は、「消費者が送料という費目を別途支払うことなく、商品を購入できることを表していると考えられる」とする一方、次のような認識を抱く消費者を生んでいる可能性を指摘した。

  • 送料を誰かが負担していることは理解しているが、どのくらいのコストを誰が負担しているのかまでは、(消費者は)考える必要がない。
  • 商品価格に送料が含まれている場合、送料別の場合で、消費者の選択が異なる場合がある(たとえば、商品価格3000円+送料無料と、商品価格2500円+送料500円では、前者が商品価値が高くて得だと思ってしまうなど)
  • 安価な商品であってもまとめ買いすることなく単品で購入し、何回配達してもらっても気にならない(たとえば、100円のボールペンを必要な時に1本ずつ購入するなど)
  • 配達日時に不在にして再配達をしてもらうい、ドライバーには悪いと思うが「送料無料」だからそこまで気にしない

こうした消費者の認識について、「一面では正しいのかもしれません」と理解を示す一方、「持続可能な物流の実現のためには、私たちの意識や行動を変えていくことが必要になっているのではないか」と問題を提起する。

消費者庁は、ECサイトなどの「送料無料」表示の見直しに取り組む理由、考え方などをWebサイトに掲載。「持続可能な物流の実現のためには、私たちの意識や行動を変えていくことが必要になっているのではないか」といった考え方を示した
「送料無料」表示の見直しへの考え方など​​​​​(画像は編集部が消費者庁のサイトからキャプチャ)

ただ、「送料無料」表示は販売方法として消費者に定着。「送料無料」表示を止めると購買意欲やコンバージョンの低下などに直結する可能性があると懸念する事業者は少なくない。

こうした環境下であるものの、消費者庁は「消費者が持続可能な物流の実現についてしっかり理解することで、そうした懸念は払しょくできるのではないか」と考えを示し、消費者の意識改革や行動変容を促す方針を説明。運賃・料金が消費者向けの送料へ適正に転嫁・反映されていくよう、「送料無料」表示の見直しに取り組むとした。

「送料無料」表示を巡る政府の動向

政府は6月2日、「物流革新に向けた政策パッケージ」を公表、商慣行の見直しの1つとして、ネット通販の「送料無料」表示の見直しに取り組む方針を打ち出した。

「物流革新に向けた政策パッケージ」では、「運賃・料金が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されるべきという観点から、『送料無料』表示の見直しに取り組む」と明記している。

これを受け、消費者庁では6月23日、「『送料無料』表示の見直しに関する意見交換会」の第1回会合を実施。(公社)全日本トラック協会と「送料無料」表示に関する意見を交換した。

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