越境ECヒットアイテムのポイントは「独自性」「高品質」「世界観」【2023年上半期トピックスレポート】
BEENOSが発表した「2023年上半期 越境ECトピックスレポート」によると、人気ジャンル1位は「フィギュア」、2位「ゲーム」、3位「自動車・バイクパーツ」がランクインした。
若年層はエンタメ、中高年層はコレクション性の高いジャンルが人気
2023年上半期の越境EC人気ジャンルトップ10について、10代~60代で年代ごとに見ると、全世代共通で人気の高いジャンル、各年代で特に需要の高いジャンルがあった。
若年層は「フィギュア」「コミック・アニメグッズ」などのエンタメコンテンツ、中高年層は「オーディオ機器」「レコード」などコレクション性の高いジャンルが高い傾向がある。
年代が上がるにつれて、趣味・嗜好が多様化している。10代はエンタメコンテンツの影響を受けており、20代で「カメラ・光学機器」が入ってきて、30代は「自動車・オートバイパーツ」がランクインし、40代からゴルフ、釣り具など「スポーツ用品」が増える。50代は「オーディオ機器」「レコード」など音楽系、60代は「工芸品」「美術品」などのコレクト系にお金をかけるようになってきている。(BeeCruise 執行役員 本間哲平氏)
年代共通で人気の「ファッション」。世代ごとに特徴も
全世代共通で高い人気がある「ファッション」も世代ごとに特徴が表れた。各世代別に人気のブランドトップ10を見ると、10代・20代は日本のハイエンドブランドのシェアが高く、そのなかでも10代はドメスティックブランドが多く、世界観が確立されたブランドが人気だという。30代・40代はラグジュアリーブランドを求めていることがわかった。
50代・60代はブランドの構成が10代~40代ほど明確に分かれておらず、「高価格帯のブランドが多いが、こだわりを感じる、素材にこだわっているブランドなど、嗜好が多様化している」(本間氏)。
越境ECヒットアイテムのポイントは「世界観」「品質」「独自性」
2023年上半期の越境ECにおいて、購入数が継続的に伸長しているアイテムを年代別に紹介する。
10代~20代は「地雷系・量産型ファッション」アイテム
「地雷系・量産型ファッション」関連アイテムが2022年1月~6月比で約2.2倍に伸長。2022年7月~12月比では1.6倍と継続的に伸長している。北米を中心にヨーロッパ・アジア圏でも人気を得ており、独自の「世界観」を持つファッションが支持を得ていると考えられるという。
20代&40代「スクイーズ」
ポリウレタン製で柔らかい独特の感触のおもちゃ「スクイーズ」。20年ほど前に日本でも女子小中学生の間でヒットし、海外でも「YouTube」など経由で人気があったが、2022年1月~6月比で2.4倍、2022年7月~12月比で1.6倍と継続的に伸長している。
海外にも同様のおもちゃは存在するが、質感やデザインの独自性を追求した「品質・商品力」が人気につながっていると考えられる。
20代&50代「ペット用仏具」
ペット関連アイテム全体での購入数はほぼ横ばいで推移しているが、ペットブームの続く台湾で「ペット用仏具」が2022年1月~6月比で約2.5倍、2022年7月~12月比で1.3倍と継続的に伸長している。生活習慣に根差した「独自性」のある商品が、海外の新しい習慣と合致し購入が増加していると考えられる。
「日本語の旅行ガイドブック」が伸長
訪日観光客の回復に伴い、「日本語の旅行ガイドブック」の購入数が増えている。購入数自体は多くないが、「聖地巡礼」をテーマにしたもの、日本の各地を取り上げた旅行ガイドブックが、2022年1月~6月比で約1.9倍、2022年7月~12月比で約1.4倍に伸長した。
「聖地巡礼」特集、地方に特化したガイドブックが売れている。都市圏以外に旅行する海外訪日客が地域の情報を収集するために購入しているのではないか。
また、36%の海外ユーザーが、「訪日後に購入した商品を越境ECでリピート買いした経験がある」と回答している。越境ECに対応していることで、「旅あと消費」を取りこぼさないことにもつながる。(本間氏)
越境ECはユーザー理解、ターゲット設定をきちんと行うことがカギ
今回のランキング発表に際して、本間氏は「ユーザー(顧客)理解、ターゲット設定の重要性をぜひ考えてほしい」と話す。
海外は日本以上に言語、文化、商習慣が多分野にわたるため、「自社の強みに合うユーザーを理解し、ターゲット設定して施策を打っていかないと、成功確率が上がらないことになってしまう」(本間氏)と言う。
国内で販売する際はペルソナ分析をしっかり行っていても、海外の場合はざっくりしていることが多い。弊社に相談いただく時も「アメリカは売れるか?」「東南アジアに販売したい」という内容が多い。
興味を持つきっかけはそれでも良いが、いざエリアを決めて施策を実行しようとなった時に、もう少しターゲットを分解して、自社の強みが刺さるところを探すが、ざっくりした考えだと、なかなか成功につながらないケースも多い。ターゲットをしっかり分析しないと、失敗の原因がわからない、知見にならないままになってしまう。
今回の発表が、越境ECへの興味・関心を持つきっかけの一つになればと考えている。(本間氏)
BEENOS 2023年上半期 越境ECトピックスレポート
- 対象:2023年1月1日~6月30日に「Buyee」を通じて購入された商品データ
- 世代別ヒットジャンル:購入UU数より算出
- 世代別ヒットアイテム:購入数より算出
- 越境ECトピックス:購入数より算出