越境EC2023年のキーワードは「世界総オタク化消費」。人気のジャンルや伸長したカテゴリとは?【越境EC世界ヒットランキング2023】

BEENOSが発表した「BEENOS 越境ECヒットランキング 2023」によると、ヒットランキング、伸長ランキングともに、「おもちゃ・ホビー・グッズ」「音楽」「ファッション」「フィギュア」など、越境ECの人気カテゴリがランクインした。
キーワードは「世界総オタク化消費」。若年層のユーザーが増加傾向に
2023年のヒットランキング、伸長ランキングを商品カテゴリで見ると、ヒットランキングの1位は「おもちゃ・ホビー・グッズ」、2位「音楽」、3位「ファッション」。伸長ランキングでは、1位「タレントグッズ」、2位「おもちゃ・ホビー・グッズ」、3位「ファッション」だった。


そのほか「フィギュア」「トレーディングカード」など越境ECで人気のカテゴリがランクインしており、例年と大きな変化がないように見える。しかし、「購入者」で見ると、全世界的に若年層や女性のユーザー数が増加傾向にある。
また、2022年からの円安傾向が続いていることで、日本の商品を購入しやすい環境だったことが背景にある。
これまで20代以上の男性に特に強く表れていた趣味的消費傾向が、幅広い層に拡大。「世界総オタク化」により、アニメ、ホビー、ガジェットなど、さまざまな「オタク趣味」に応える日本の越境EC市場が拡大しているという。
20代男女など幅広い層に拡大。伸長率では10代ユーザーが全エリアで増加
エリア別にヒットランキング、メインユーザー層を見ると、30代以上の男性だけでなく、各エリアで20代男女など幅広い層に拡大した。また、10代ユーザーが伸長している。
エリア別の伸長率では、全エリアでデジタルネイティブの10代ユーザーが伸長。エンタメ系、ファッション、ガジェットなどさまざまな商品ジャンルで伸長が見られた。
Z世代においては、SNSなどを通じて日本のカルチャー、コンテンツ、商品を最新・過去問わず参照し、ボーダーレスに購入する「タイムマシン購買」傾向が現れた。

「タレントグッズ」「ガチャポップ」――注目のジャンルとは
総合ランキング、伸長ランキングにランクインしたカテゴリ内で特徴的な動きを見せたカテゴリがいくつかある。
1つ目は、伸長率1位の「タレントグッズ」。そのなかでもK-POPアーティスト関連グッズが伸長、2023年1月~9月におけるトレーディングカードの購入件数が昨年同期比2.1倍となった。

2つ目は伸長率8位にランクインした「カメラ・光学機器」。コンパクトカメラが「クリアすぎない画質がレトロ」だと感じる20代の間で人気が集まり、2022年と比較して購入件数が3.8倍に伸長した。

一眼レフカメラの購買層では60代が31%を占めるのに対し、コンパクトカメラは56%が20代となり、Z世代から人気を集めていることがわかる。


音楽ジャンルでは、プレイリスト内のアーティスト関連商品が伸長
ランキング2位、伸長率8位の音楽ジャンルでは、2023年5月に「Spotify」が公開したプレイリスト「ガチャポップ」にリストされたアーティスト関連商品が、2023年1月~9月で昨年同期比2倍に伸長した。

「ガチャポップ」は「Spotify」が日本のさまざまな音楽ジャンルを選定し、公開したオリジナルのプレイリスト。1990年代から2020年代までにデビューしたアーティスト70組以上がリストされている。
アーティスト1組ずつのボリュームはまだそこまで大きくはないが、プレイリスト公開以降、関連アーティストの商品が伸長している。

コミック・アニメはロングテール化
越境ECで人気の高い「コミック・アニメグッズ」は、カテゴリランキング8位にランクイン。配信サービスの浸透で、日本の放送とタイムラグがほとんどなく、世界中でアニメ作品がヒットする傾向がある。
一方で、越境ECの特徴として、人気商品、ジャンルがロングテール化していることがあげられる。

ランキング関連作品はいずれも2022年から伸長しており、特に「ちいかわ」は東アジアで爆発的な人気を見せた。「これらの作品が10年、20年と愛されるロングテール作品になるかもしれない」(BeeCruise Global Growth Hackチーム 山口祐太郎氏)
コミック・アニメ関連グッズでは、バッジ、カード、キーホルダーなど、一度に数種類が販売され、持ち運びやすいアイテムの人気が高い。ランキング1位の「その他」にはアクリル系商品、プライズなどが含まれる

グッズを持ち運ぶための推し活グッズの購入件数も2022年と比べて2.4倍に伸長。コンテンツのヒットで、公式グッズだけでなく関連商品にも需要が波及していることがわかる。
