通販新聞 2015/3/5 10:00

バリューコマースが昨年末、ソーシャルギフトのサービスを始めた。日本でもすでに複数の会社が提供し認知を得始めている。バリューコマースの強みは、グループシナジーとアフィリエイトサービスの提供で培ってきた媒体社や企業との関係性を活かせること。積極的な外部連携で露出を高め、一気に市場のシェア獲得を目指す。2月16日には、ヤフーが提供するサービスとの連携も開始した。

「住所いらない」気軽に贈りもの

「GiftSmart(ギフトスマート)」(以下、ギフスマ)は、LINEやフェイスブックなどSNSやオンラインで気軽に贈りものができるものだ。一般的なギフトは数千円と高額なイメージがあるが、ソーシャルギフトのメリットは、メールアドレスやSNSでつながっていれば“住所を知る必要がない”こと。数百円のギフト券やコーヒー一杯など、気軽に感謝の気持ちを伝えることができる。

現在、出品社は10社ほど。ピザのギフト券から家事代行サービスまでさまざまなものがある。今後、全国展開する大手の出品やO2Oの推進を図る有店舗小売業の出品を増やしていく。

バリューコマースが手がける「GiftSmart(ギフトスマート)」の仕組み
「GiftSmart(ギフトスマート)」の仕組み

新規客との接点や福利厚生にも

ただ、このギフスマ。通販事業者からしても出品社、ユーザー双方の立場から利用価値がありそうだ。ソーシャルギフトの面白さは、ギフトの購入者と受け取り手が異なるところ。例えば、自社通販サイトで使えるギフト券を出品することで、「ギフトを受け取った人=新規客」という形で、顧客との新たな接点の場となる可能性があることだ。クーポンの単なる“バラマキ施策”と異なり、ユーザーはあくまで商品として購入することで一定レベルの収益も確保できる

出品しなくても、企業が顧客向けのプレゼントキャンペーンとしてギフスマを利用できる。通常のキャンペーンでは商品調達や郵送の手間、送料、個人情報の管理など負担が多いが、ギフスマを使えばこれら煩雑な管理を企業側で行う必要がない。顧客情報もメールアドレスを知るだけでよい。

また、福利厚生の充実に使う手もある。会社が従業員にねぎらいを込め、ユーザーとして出品社から商品を購入するケースだ

ヤフーのパスマーケットと連携

バリューコマースは、グループシナジーと既存リレーションを活かし、メディアとの積極的な連携で露出を増やしていく。

2月16日には、ヤフーが運営するデジタルチケットサービス「PassMarket(パスマーケット)」と連携。「パスマーケット」はキャンペーンの告知、集客、チケット販売ができるサービスで、今後は「パスマーケット」からもギフスマを利用できるようになる。出品社も追加手数料や手続きなしに、新たなユーザーとの接点を得られる。

今後もポイントサイトなど外部連携は強化する考え。通販サイトに「ギフトコーナー」として追加することもできるという。

2014年のソーシャルギフトの市場は約73億円とされる(矢野経済研究所調べ)。だが、サービスが浸透する韓国ではすでに400億円超の市場があるとされており、日本も20年に800億円近い規模に達するとの予測もある。

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