4割以上の顧客が「営業時間外」などの理由で問い合わせを断念。生成AI導入予定の事業者は約20%【カスタマーサポート調査2025】
PR TIMESが実施したカスタマーサポート調査によると、購入した商品やサービスに問題が生じた際に4割以上の顧客が問い合わせを断念した経験があることがわかった。事業者側は、カスタマーサポート用のシステムへの投資について約4割が「これまでと同じ」または「増額」と回答している。このうち、生成AIの導入は約2割が検討しており、今後使う予定としている。
調査期間は2025年2月25日~3月3日。調査対象は①20〜59歳の男女で問い合わせ経験のあるビジネスパーソン1万400人 ②カスタマーサポートあるいは問い合わせ対応業務に従事する309人。
1年以内に購入した商品やサービスに問題が発生した際、解決手段として利用したものを聞いたところ、最も多かったのは「お問い合わせフォーム」で62.7%、続いて「電話窓口」が43.0%、「メール」が37.0%だった。「ヘルプページ(FAQ)」(25.6%)よりも「チャットボット」(27.8%)の割合が上回った。
解決の手段として利用したいと考えるものを聞いたところ、「利用したもの」と上位3つの順位は同じで「お問い合わせフォーム」が65.7%、「電話窓口」が38.2%、「メール」が30.3%だった。
前回の2024年調査と比べると、「SNS(公式アカウント)」が3.4%(前回調査比0.1ポイント減)となり減る一方で、「SNS(一般ユーザー・投稿)」は3.8%(同0.8ポイント増)、「レビューサイト」は5.1%(0.3ポイント増)となっており、増加傾向になった。
過去6か月以内にカスタマーサポートへの問い合わせを検討したものの、実際には問い合わせなかったことがあるかを聞いたところ、サイレントカスタマーと言える「ある」は43.7%となり、「ない」は56.3%だった。
問い合わせしなかった人の理由は、「営業時間外だったのでまた今度にしようと後回しにした」が最多の19.0%、続いて「返信までの時間や待ち時間を見て、長すぎると諦めた」が16.5%、「必要な情報(注文番号など)を探すのが面倒で断念した」が15.6%だった。
この結果を踏まえて、PR TIMESは「これらの要因に対しては、営業時間を問わずいつでも質問ができるチャットボットや、自らよくある質問から解決策を探せるFAQなど、生成AIの導入やコンテンツの拡充が効果を発揮する可能性がある。チャットボットのニーズが高まっていることから、生成AIの導入はカスタマーサポート業務の効率化にとどまらず、顧客満足度向上にも寄与すると考えられる」と考察している。
次からは、問い合わせ業務に従事するカスタマーサポート従事者への調査となる。
自社運営のカスタマーサポート業務についてKPIとしてどのような指標を設定しているかを聞いたところ、「問題解決率」が最多の24.4%(前回調査比8.3ポイント増)、次いで「コール応答率」が23.7%(同5.5ポイント増)となった。
カスタマーサポート業務におけるチーム(部署)の課題を聞いたところ、最も多かったのは「トレーニングやスキルセットの不足」で24.9%(前回調査比横ばい)、続いて「問い合わせ全体のパフォーマンス改善」が22.3%(同6.2ポイント増)、「問い合わせ対応業務の品質管理」が21.7%(同6.3ポイント増)となった。
カスタマーサポートにおける生成AIの利用方針を聞いたところ、最も多かったのは「関心がない、考えていない」で39.2%だった。「検討しており、今後使う予定である」は前回調査比5ポイント増の20.5%だった。このほか、「既に使用しており、満足している」は9.1%だった。

生成AIの利用で満足した機能について聞いたところ、最多は「チャットボットの自動応答」で39.4%、続いて「文脈を理解した回答文の自動生成」が37.9%、「FAQ・解決策の自動提案」が33.3%となった。「問い合わせデータからの傾向分析」は27.3%だった。

カスタマーサポートに関するシステムへの投資計画は、これまでと同じ、または増額を計画していると回答した人が40.7%だった。計画がない、または予算の減額を計画していると回答した人は37.2%で、前回調査の数値を上回った。

調査概要
- 調査テーマ:カスタマーサポート・問い合わせ対応に関するアンケート
- 調査期間:2025年2月25日~3月3日
- 調査対象:①20~59歳の男女で問い合わせ経験のあるビジネスパーソン1万400人 ②カスタマーサポートあるいは問い合わせ対応業務に従事する309人