鳥栖 剛[執筆] 9:00

楽天インサイトは4月15日、年に1度実施する40万人以上から回答を得た大規模調査の結果である「アスキングビッグデータ」から、「生活意識」に関する3年間の意識変容についての分析結果を発表した。

これによると1人旅行を満喫したい意識が増加し、「おひとり様消費」が進化を遂げているほか、食品の値上がりで栄養バランスや鮮度を妥協していることなどがわかった。また、キャッシュレスの普及やAI技術の進化など急激なデジタル化へ不安を抱える割合が増加している。

旅行意識

「旅行は他の人と一緒に行くより1人旅を満喫したい」という回答割合が2023年調査と比較すると1.0ポイント増の37.9%となった。

楽天インサイト 40万人以上のビッグデータから得た3年間の「生活意識」の変化は? キャッシュレスの普及やAI技術の進化など急激なデジタル化へ不安を抱える割合が増加
1人旅意向は2年で1.0ポイント上昇した

質問に対して「非常にあてはまる」「ややあてはまる」と答えた回答者を「旅行1人で満喫派」、「全くあてはまらない」「あまりあてはまらない」を「旅行1人で非満喫派」と定義し、趣味は旅行と回答した人に絞って分析したところ、「趣味や旅行先の出来事や写真を、よくSNSで発信している」と答えた割合は「旅行1人で満喫派」では36.0%。「旅行1人で非満喫派」では20.3%と15.7ポイントの差があった。1人旅行を満喫している回答者はSNSでの情報発信も活発という傾向がある。

楽天インサイト 40万人以上のビッグデータから得た3年間の「生活意識」の変化は? キャッシュレスの普及やAI技術の進化など急激なデジタル化へ不安を抱える割合が増加
1人旅派の方がSNS発信が活発に

コロナ禍が過ぎ、1人での行動とSNSやオンラインを通じた「つながり」を両立する、「おひとり様3.0」とも言える新たな消費行動が広がりつつある。今後、たとえばおひとり様グルメやDIYクラフトキット、オンライン学習プラットフォームなど「おひとり様3.0」のニーズに応える商品・サービスが、新たな市場を創造し、経済を活性化させる原動力となるのではないか。(楽天インサイトデータアナリスト末永幸三氏)

食に関する意識

「食生活に不安を感じている」と答えた割合が2年間で1.6ポイント増加した。

楽天インサイト 40万人以上のビッグデータから得た3年間の「生活意識」の変化は? キャッシュレスの普及やAI技術の進化など急激なデジタル化へ不安を抱える割合が増加
食生活への不安感は2年で1.6ポイント増

「高くても鮮度・素材の良い食品を選ぶ」の回答は2年間で2.2ポイント低下した。

楽天インサイト 40万人以上のビッグデータから得た3年間の「生活意識」の変化は? キャッシュレスの普及やAI技術の進化など急激なデジタル化へ不安を抱える割合が増加
高くても良いものを選ぶは2年で2.2ポイント減に


加えて「栄養バランスに配慮した調理を心掛けている」も2年間で2.8ポイント低下。

楽天インサイト 40万人以上のビッグデータから得た3年間の「生活意識」の変化は? キャッシュレスの普及やAI技術の進化など急激なデジタル化へ不安を抱える割合が増加
栄養バランスを配慮した調理への意識も2年で2.8ポイント減に

楽天インサイトでは物価上昇により、栄養バランスや食材に配慮する余裕がなくなり、食生活への不安を増大させている可能性があると指摘した。

消費者は栄養バランスや鮮度を重視した食品を選びにくい状況にあり、企業には消費者のニーズに応える取り組みが求められます。たとえば、手頃な価格で栄養バランスの良い商品を提供し消費者の健康的な食生活をサポートしたり、時間や手間をかけずに調理できる冷凍・レトルト食品を活用した手軽で栄養価の高い商品を開発したりして、忙しい現代人のニーズにも応えることなどがあげられる。(楽天インサイトデータアナリスト末永幸三氏)

デジタル化に関する意識

「世の中のサービスのデジタル化についていけるか不安だ」と回答した割合が54.7%となり、2年間で1.3ポイント増加した。

楽天インサイト 40万人以上のビッグデータから得た3年間の「生活意識」の変化は? キャッシュレスの普及やAI技術の進化など急激なデジタル化へ不安を抱える割合が増加
デジタル化への不安感は2年で1.3ポイント増に

年齢別に見ると、10歳代・20歳代の男性・女性が40%台。それに対し、女性40歳代で65.9%、女性50歳代で70.0%、女性60歳代で69.3%、女性70歳代で65.9%と、いずれの年代で6割を超えた。また、男性では50歳代で50.2%が最も高く、中高年層の方が不安を抱える人が多い。

楽天インサイト 40万人以上のビッグデータから得た3年間の「生活意識」の変化は? キャッシュレスの普及やAI技術の進化など急激なデジタル化へ不安を抱える割合が増加
デジタル化への不安感は中高年層に高い傾向に

楽天インサイトではコロナ禍以降、キャッシュレスの普及やAI技術の進化など急激なデジタル化が進み、シニア層を中心に不安が増加していることが考えられると分析している。

この状況は、「デジタルデバイド2025」ともいえる新たなデジタル格差を生み出す可能性があり、日本の人口構成を考えるとシニア層へのサポートは重要な課題。このままデジタル化が進むと、人口の約50%を占めるマスボリュームの50歳以上の中高年層が取り残され、企業は大きな顧客層を失う可能性があります。中高年層は新しい技術を学ぶ機会が少なく、心理的な抵抗感も強いため、企業による丁寧なサポートが必要。(楽天インサイトデータアナリスト末永幸三氏)

調査概要

  • 調査エリア:全国
  • 調査対象者:15歳~69歳男女
  • 回収サンプルサイズ:2023年版は55万2160サンプル、2024年版は48万5370サンプル、2025年版は40万1156サンプル
  • 調査期間:2023年版は2022年11月29日~2022年12月23日、2024年版は2023年11月28日~2023年12月25日、2025年版は2024年11月28日~2024年12月18日
  • 調査実施機関:楽天インサイト株式会社
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