大嶋 喜子[執筆] 8:30

ICAが実施した「Z世代が抱く広告のイメージ」に関する調査によると、約9割が動画広告を不快に感じていることがわかった。調査対象はZ世代(18歳〜27歳)1002人で、調査期間は2025年4月18日〜21日。

普段よく目にする広告の種類

最も多かったのは「SNS広告(Instagram・X・TikTokなどのフィード内広告)」で71.6%、続いて「動画広告(YouTubeや動画配信サービスなどで再生前・途中に流れる広告)」が50.9%、「テレビCM」が37.0%だった。

ICAは「『SNS広告』はZ世代の生活導線と直結しており、スクロール中に頻繁に挟まれるため、自然な形で目にする機会が圧倒的に多いと考えられる」と考察している。

普段よく目にする広告に対する印象は「コンテンツの途中に割り込んできて煩わしい」が最多の45.5%、続いて「一方的で、信頼性が少ない(怪しいサイトへの誘導など)」が25.2%、「誇張しているなと感じる」が21.4%だった。

普段よく目にする広告の種類(左)、普段よく目にする広告に対する印象(右)いずれも複数回答可
普段よく目にする広告の種類(左)、普段よく目にする広告に対する印象(右)。いずれも複数回答可

不快に感じる広告種別

「動画広告」を「とても不快と感じる」または「やや不快に感じる」と回答した人が最も多く、合計で89.9%だった。

不快に感じる人が続いて多かったのは「バナー広告」で、同79.8%。「SNS広告」は78.9%だった。

ICAによると、不快感が高い広告には共通して「視聴や操作中に割り込んでくる」という特徴が見られるという。「これらの広告は、ユーザーがコンテンツを操作・閲覧している最中に表示されるため、視覚的な邪魔や誤操作によるストレスが不快感をもたれやすい」(ICA)

その他、広告種別で不快と感じる人の割合は、「テレビCM」は45.3%、「雑誌広告」は34.8%、「看板広告・ポスター」は32.6%、「新聞広告」は31.8%、「屋外ビジョン広告」は29.9%だった。「これらはユーザーの体験を妨げず、自分のペースで視認できるため、不快感が少なく受け入れられやすい傾向が見られる」(ICA)

どのような広告を不快に感じるか
どのような広告を不快に感じるか

広告への不快感を回避するための行動

最多が「すぐ広告スキップや閉じるボタン・×を押す」で43.7%、続いて「広告がでてきたら画面を変える」が19.6%、「動画サイトの有料プランに加入している」が10.3%だった。

広告を回避するために行っている行動(複数回答可)
広告を回避するために行っている行動(複数回答可)

屋外ビジョンに対する印象

「迫力があって目立つ」が最多の32.1%、「芸能人やアーティスト、アニメキャラクターなどがよく出てくる」が25.7%となり2番目に多かった。

「信頼性、公共性が高い」と回答した人へそのように感じる理由を聞いたところ、最多が「誰もが目にするため、不正確な内容が少なそう」と65.3%、続いて「CM費用も高額な印象があり、大きな企業しか流せないイメージ」が40.9%、「街中で音響と映像が堂々と放映されるから、素材や企業の審査もしっかりしていそう」が38.0%だった。

オンライン広告に対して否定的な姿勢を示すZ世代でも、屋外ビジョンにはマイナスの印象を抱く割合が低い。その理由としてICAは「『不特定多数が見る』『費用が高額』といった『信頼性、公共性の高さ』があげられており、SNSの視覚的な迫力や非日常性も魅力とされており、広告が街の風景と一体化することで、情報というより体験として受け入れられている側面もあるのではないか」と考察している。

屋外ビジョンに対する印象(左)、屋外ビジョン広告の信頼性や公共性が高いと感じる理由(右)。いずれも複数回答可
屋外ビジョンに対する印象(左)、屋外ビジョン広告の信頼性や公共性が高いと感じる理由(右)。いずれも複数回答可

広告出稿による企業に対しての印象への影響

「やや影響する」が最多の36.5%、続いて「影響する」が16.9%で、合計すると約半数が「影響する」と回答している。

「やや影響する」または「影響する」と回答した人に、影響すると感じる理由を聞いたところ、最も多かったのは「信頼できそうな広告は、企業自体も信頼できそうに見えるから」で45.8%、続いて「広告のクオリティがそのまま企業の印象につながるから」が42.1%、「表現方法やトーンが企業の姿勢を反映していると感じるから」が25.4%だった。

広告から受けた印象が、その広告を出している企業の印象に影響するか(左)、なぜ影響すると感じるか(右)。いずれも複数回答可
広告から受けた印象が、その広告を出している企業の印象に影響するか(左)、なぜ影響すると感じるか(右)。いずれも複数回答可

屋外ビジョンや大型ビジョンに感じる魅力

「街が栄えているイメージ」が最も多く31.0%、続いて「流行のモノが流れているイメージ」が27.7%、「街中で大胆に流れることが魅力的」が23.1%だった。

屋外ビジョンや大型ビジョンに感じる魅力(複数回答可)
屋外ビジョンや大型ビジョンに感じる魅力(複数回答可)

ICAは「ユーザーに好印象を与える広告を打ち出すことは、企業そのものへの信頼感や好意を育む有効なアプローチとなり得る。今後は、Z世代の感覚や接触行動を前提にした広告設計は、企業のイメージ形成戦略の1つとしてますます重要となる」と考察している。

調査概要

  • 調査期間:2025年4月18日~21日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:調査回答時にZ世代(18歳~27歳)であると回答したモニター1002人
  • 調査元:ICA
  • モニター提供元:PRIZMAリサーチ
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