BtoB市場でのPayPayとの協業、対人サービス業種の強化などアスクルの新中期経営計画
アスクルはこのほど、2029年5月期までの新中期経営計画を発表、目標数値として2029年5月期には売上高5400〜6000億円、営業利益率じゃ3.7%〜5.0%を掲げた。BtoB市場でのPayPayとの協業、対人サービス業種の強化などを通じて目標達成をめざす。

課題は「価格競争力」「商品稼働率」「中堅大企業成長」
現状の課題には「価格競争力」「商品稼働率」「中堅大企業成長」があると分析。価格や送料無料バーの改定により顧客数の伸び悩み、生活用品は大きく伸長しているものの文具や家具が苦戦、MROも商品拡大も稼働が伴わない状態があるという。また、中堅・大企業向けの管理購買ニーズは加速する一方で、市場とのギャップが課題になっているという。
こうした課題の解決に向けて「高品質・低コスト物流」「顧客基盤と仕入れ力」「商品開発力」「エージェント営業基盤」といった強みを生かしていく。
重点ターゲットは「対人サービス業種」
具体的な取り組みとして、戦略ターゲットと重点商材領域を設定。大企業は全業種、中小企業については医療・介護・宿泊・飲食・小売・サービスといった「対人サービス業種」を戦略ターゲットに設定した。現状、対人サービス業種がアスクルの売上成長をけん引しているといい、高成長かつ開拓余地が大きいという。

商品戦略は「仕事場の日用品」の強化
商品については「仕事場の日用品」を強化。具体的には「飲料・食品、飲食周辺商材」「清掃、洗濯、衛生、感染対策」「梱包発送、作業、保護、メンテ」「スマートオフィス周辺商材」の品ぞろえを、リーズナブルと独自性の観点から強化していくという。
その理由について、①顧客からの要望が多く市場規模が大きいこと②BtoB・BtoC共通ニーズが多くオリジナル商品の開発がしやすいこと③幅広い業種で利用されること――をあげている。

こうしたターゲット・商品戦略については、「ニーズに即した品ぞろえ強化」「価格競争力、オリジナル商品による差別化」「売り場の利便性強化」を重要テーマに取り組む。売り場の利便性強化は、現在進めている「ASKUL」と中堅〜大企業向けの「SOLOEL ARENA」の統合による新ASKULサイトで実現。新サイトによる集客の一本化、AI活用による利便性の向上、運営の効率化を図っていく。

BtoB市場の拡大に向けては多方面での協業検討
さらにBtoB市場の拡大に向けては多方面での協業検討を開始する。そのなかで中小企業向けのセールス&マーケティング領域においてPayPayとの協業も進める計画という。

対人サービス業種強化で「LOHACO」も成長へ
「LOHACO」の成長についても言及。対人サービス業種の強化によって顧客の従業員や顧客のエンドユーザーへの利用を促すなど成長を加速させる。具体的な取り組みは次の通り。
- ASKUL事業の規模を活かしたオリジナル商品の提供
- ASKUL事業との物流一本化による納期短縮
- LINEヤフーとの協業による進化
- 販売チャネルの拡大

物流・AI領域も強化
物流領域も強化する。物流ネットワークを再編し「まとめて発送」「配達日数の短縮」「物流コスト低減」を図っていく。
AIによるバリューチェーンの革新を進める。これまでビッグデータ活用で「コールセンター」「仕入れ」「物流」「営業」「売り場」の業務効率化を進めてきたが、AIエージェントによってさらに進化させていくという。