「LINE(ライン)」ってECの販促ツールとして活用できるの? ビジネスアカウント「LINE@(ラインアット)」がEC事業者も利用できるように刷新されたのが2015年2月。現在のところ、一部のEC企業がLINE@を集客・販促ツールとして利用している状況のなか、「クリック率2.3倍」「客単価4%増」「月商の1割がLINE経由」といった事例が出てきている。「友だち」に対してセグメント配信できるようになるなど、新しいECの販促ツールとして期待が高まるLINEのネット通販活用の可能性を探ってみた。

LINEのEC活用で成果をあげている3事例

事例① 宇治茶製品のECサイト「伊藤久右衛門」(運営は伊藤久右衛門)

  • 友だちの数
    3万6785人(8月29日現在)
  • 運用体制
    3人(専属か他の業務と兼任)
  • LINE@の運用開始時期
    2015年2月
  • LINE@を始めた理由
    メールマガジン経由の売り上げが落ちてきたため
  • 効果
    全配信時(一斉に友だちにメッセージを配信)によるECサイトへの送客率が約30%。すでに月商の約1割がLINE@経由となっている
  • LINE@を活用して感じたこと、今後期待すること
    スマホECとの相性が抜群。開封率・送客率がとても高い。顧客にあったセグメント配信(転換率アップを期待)、当社が設定したセグメントに対して、定型文の自動配配信を期待
LINEのEC活用で成果をあげている3事例 伊藤久右衛門の公式LINE@のタイムライン
伊藤久右衛門の公式LINE@のタイムライン(編集部がキャプチャ)

事例② コスメの通販サイト「ETVOS」(運営はエトヴォス)

  • 友だちの数
    3万852(8月31日現在)
  • 運用体制
    1人(兼任)
  • LINE@の運用開始時期
    2015年6月
  • LINE@を始めた理由
    LINEでアプローチしたら反応が良さそうと感じたため
  • 効果
    CTR(クリック率)はメルマガの最大約2.3倍。効果が少ない時でも約1.4倍と、メルマガと大きな差が出ている。LINE@経由の客単価は通常時よりも4%高い
  • LINE@を活用して感じたこと、今後期待すること
    反応のスピードがとても早く、瞬間的に(ECサイト)にアクセスされる傾向がある。LINEはプライベートツールに近いので「マス訴求」より、One to Oneでの訴求が好まれると考えられる。ターゲティングができるようになることを期待している
LINEのEC活用で成果をあげている3事例 ETVOSの公式LINE@のタイムライン
ETVOSの公式LINE@のタイムライン(編集部がキャプチャ)

事例③ インポート古着専門通販サイト「古着屋JAM」(運営はJAM Trading)

  • 友だちの数
    2872人(8/29現在)
  • 運用体制
    1人(他の業務と兼任)
  • LINE@の運用開始時期
    2014/3/8~(主に店舗スタッフが運用)。2016/2/1~LINE担当を登用して運用
  • LINE@を始めた理由
    顧客とのコミュニケーションツールとして、店舗やECサイトのお得な情報をお伝えするため
  • 効果
    タイムラインをブログのように活用し、お薦めカテゴリや商品、URLなどを詳細に毎日更新。タイムラインを毎日更新すると閲覧頻度が上がり、最近は少数だが購入へつながっている
  • LINE@を活用して感じたこと、今後期待すること
    10代後半~20代半ばのユーザーが多用しているが、店舗での接客のようにSNS上でも親近感を持って接することが可能だと感じた。個人的なトーク、One to Oneトークなどで新規の顧客、リピーターにつながるファン作り期待している
LINEのEC活用で成果をあげている3事例 「古着屋JAM」の公式LINE@のタイムライン
「古着屋JAM」の公式LINE@のタイムライン(編集部がキャプチャ)

ECの販促はプロモーション戦略からコミュニケーション戦略へ

取り上げた3社の事例は、各企業が運営するLINE@と「友だち」になっているユーザーに対して、全配信するなど、セグメント配信やLINEアカウントでのログインなどができない状態のもの。

成果を上げている伊藤久右衛門とエトヴォスは、「One to One」「セグメント配信」などに期待を寄せる。手軽に「One to One」マーケティングなどが実現できれば、LINE経由の売り上げはさらに期待できそうな状況にあるためだ。

こうしたEC事業者の期待などに応えようとLINEは8月、「Official Web App」(企業のWebサービスとLINEアカウントを連携するサービス)の一部機能を解放し、ECプラットフォームとの連携を開始した。

フューチャーショップNHN テコラスパイプドビッツといった一部のECプラットフォームが連携を開始。LINE@を使って、メッセージのセグメント配信などが行えるようになる。

連携したECプラットフォームの導入企業がLINE@でできるようになること

  • メッセージのセグメント配信
    登録会員の誕生日、年齢、性別、購入履歴、会員ランクなどの購買情報、保有ポイントなどからメッセージ配信先をセグメントし、LINEメッセージを配信することが可能
  • クーポンのセグメント配信
    登録会員の誕生日や購入回数・金額別、会員ランク別などから配信先をセグメントし、「送料無料」「定額割引」「定率割引」クーポンをLINE経由で配布。レポンス率の向上が見込める
  • LINEアカウントとの連携サンクスポイント付与
    LINEアカウントと連携完了した会員に対して、サンクスポイントを付与できる。LINEアカウントとの連携キャンペーンの実施などが可能で、連携会員の増加が見込める
  • LINEアカウントでログイン
    ID連携を行った会員はECサイトでのログイン時にLINEアカウントが利用できる。購入時のカゴ落ち軽減の効果が見込める。
ECサイトと「Official Web App」のLINE連携イメージ(画像はフューチャーショップ提供)
ECサイトと「Official Web App」のLINE連携イメージ(画像はフューチャーショップ提供)

先行的に「Official Web App」へ対応した「FutureShop2」を提供するフューチャーショップの安原貴之氏(事業戦略部 部長)は次のように話す。

当社のクライアント企業でも、メルマガが読まれなくなったり、モバイルのアドレスにメールが届かないなど、メルマガの開封率が減ってきているケースがある。消費者との接点の在り方を模索していた。LINE@に注目していたところ、「Official Web App」にお話をいただき、今回の連携に至った。

クライアント企業のなかには、積極的にLINE@を使っているECサイトがある。その企業がLINE@で販促をしたところ一気にアクセスが集まり、緊急監視体制を敷かなければいけない事態となった。それぐらい瞬間的なアクセスの力を感じていた

加えて、安原氏が指摘したのはさまざまなSNSの台頭、販売チャネルの多様化が進むなかでの「発想の転換」。自社本意ではなく、顧客ニーズにあわせたタッチポイントを作っていくことが必要だと説明する。

その1つが「LINE@」。LINEでのコミュニケーションを重視するユーザーが増えているため、ECサイトもそうしたユーザーニーズに応えていく必要があると言う。

Amazon、楽天といったECモールを利用する消費者が増えるなか、LINE@は新たな販促ツールとして自社ECサイトの成長をサポートする起爆剤となり得るのか。安原氏はこう言う。

これまでのプロモーション戦略から、コミュニケーション戦略が重要になってくるのではないか。いまのご時世、○割引きなどは当たり前だが、これは施策とは言えない。いかにプロパー価格で販売できるか。そうした施策を行っていかなければ生き残っていくことは難しい。

そのためには、自社のECサイトと消費者の間で、強烈な関係性を作るコミュニケーションが重要になると思う。その1つのツールとしてLINE@が今後、重宝されていくのかもしれない。

パーソナライズしたメッセージの配信など、消費者との関係性を考えた上でのネットマーケティングが重要になる。

ECサイトと「Official Web App」のLINE連携 フューチャーショップの安原貴之氏(事業戦略部 部長)
フューチャーショップの安原貴之氏(事業戦略部 部長)
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