「SHOPLIST」の急成長を支える まとめて翌月コンビニ払い決済「Paidy」
約500のファストファッションブランドアイテムを取り扱う「SHOPLIST.com by CROOZ(以下SHOPLIST)」。サービス開始から4年で年間流通額が150億円規模に達するなど、ファッション業界屈指の成長率を誇る通販サイトだ。
同サイトを運営するクルーズは、“ユーザーファースト”を掲げ、取扱ブランドの拡充や物流インフラの強化など、さまざまな施策に取り組んでいる。中でも決済手段の充実に力を入れており、昨年導入したコンビニ翌月払い決済「Paidy(ペイディー)」は、新規ユーザーの獲得などに成果を上げているという。「SHOPLIST」の成長の要因や「Paidy」を導入したことのメリットなどについて、クルーズ取締役兼SHOPLIST事業部管掌の張本貴雄氏に聞いた。
アプリがリリース後15カ月で300万DLを突破
ーー「SHOPLIST」の現在の流通額や顧客層、取扱ブランド数などを教えてください。
サービス開始から4年目となる2016年3月期の売上高は前期比49.8%増の145億6800万円となっており、サービス開始以来、流通額を急拡大させています。
顧客層は当初は10代〜20代前半が中心でしたが、現在は戦略的にボリュームゾーンを20代後半〜30代にも引き上げました。取扱ブランド数は486種類(2016年10月時点)で、レディースが約60%、メンズが約25%、キッズは約15%という内訳です。
ーー通販サイトとしての「SHOPLIST」の強みは、どこにあるのでしょうか。
サイトを露出するためのプロモーション施策が強みの一つです。当社は以前、アドネットワーク事業を手がけていましたので、オンライン広告の知見を持っており、そのノウハウを「SHOPLIST」のプロモーションに活用しています。
近年はテレビCMを継続的に放送していますし、今年は雑誌への広告出稿にも注力します。EC事業の広告宣伝費は、2016年3月期の第3四半期累計(15年4〜12月)で約15億円でした。これほど多額の広告宣伝費をかけているファッション通販サイトは、業界内でも数社に限られるのではないでしょうか。
ーー昨年5月にはアプリをリリースしました。
「SHOPLIST」はスマホ経由の利用が9割を超えていますので、アプリは重要なツールです。スマホに最適化したUIや、画像の表示速度には自信を持っています。アプリはリリース後15カ月で300万DLを超えました。
ーー最近は物流インフラの強化や決済手段の充実など、ユーザーの利便性向上への手も緩めていませんね。
ユーザーから見たときの「SHOP LIST」の魅力というのは、やはり複数のファストファッションブランドのアイテムをまとめ買いできることだと思います。今後はそれに加えて、物流や決済などを強化していくことで、より便利なサービスにしていくことも重要です。今年4月から東京都、神奈川県の二都道府県で当日配送サービスを開始し、7月には対象地域を関東1都7県に拡大しました。決済手段も随時、拡充しています。
分割払い可能で客単価向上にも一役
ーー決済手段の拡充策の一環として、まとめて翌月コンビニ払いの「Paidy」を昨年導入しました。どのようなきっかけで導入を決めたのでしょうか。
当社としては、ユーザーの利便性を高めるために、決済の選択肢を増やしていく方針を従来から掲げています。そうした中、「Paidy」を提供しているエクスチェンジコーポレーションの社長自ら来社頂き、提案していただいたのがきっかけです。
ーー「Paidy」を導入したことでメリットはありましたか。
メリットはいくつもあります。中でも、新規ユーザーを獲得しやすくなったことが最大の恩恵です。初回購入のユーザーが選ぶ決済手段の中で「Paidy」の割合は非常に高いです。スマホで簡単に決済ができ、複数の買い物の支払いをまとめてコンビニ支払ができる上、分割払いにも対応している利便性が、特に若い年代のユーザーに支持されているのではないでしょうか。
ーー新規ユーザーを獲得しやすいというのは大きなメリットですね。
本当にそう思います。「SHOPLIST」のユーザーは若年層や学生も多いため、クレジットカードを所有していないことも珍しくありません。
従来、クレジットカードを持たないユーザーは代金引換を利用することが多かったのですが、現在は代金引換と「Paidy」の利用が増えている印象です。
ーー新規ユーザーを獲得しやすいことの他にも、「Paidy」のメリットはありますか。
「Paidy」の利用者の購買データを分析すると、購入単価が平均よりも高いです。「Paidy」は分割払いが可能ですから、クレジットカードの分割払いを利用できないユーザーにとって、高額アイテムを購入しやすいのだと思います。
ファストファッションEC業界のトップ目指す
ーー「Paidy」による決済は、注文全体の何割を占めているのでしょうか。
具体的な比率は開示できませんが、「SHOPLIST」が対応している10種類の決済手段の中で、クレジットカード、代金引換についで「Paidy」の利用率はトップ3に入ります。最も短期間で利用を伸ばしているのが「Paidy」です。
ーー「Paidy」の決済手数料については、どのように感じていますか。
当社にとってメリットのある手数料で提供していただいていると思います。利便性などを考えると、とても安いというのが率直な感想です。
ーー「Paidy」に対する要望はありますか。
まとめて翌月コンビニ払いといえば「Paidy」というブランディングをしていただければ、さらに多くのユーザーが使うようになると思います。さらに、新規ユーザーを獲得することができるようになるため、ぜひブランディング強化をお願いできればと思っています。
ーー「SHOPLIST」の今後の計画は。
「SHOPLIST」は今や、ファストファッションEC業界では追われる立場になってきています。ただ、今後も攻めの姿勢を忘れず、新しい変化やチャレンジを続けていきたいですね。
日本のファッション市場のEC化率は欧米と比べて低いですから、レディースはもちろん、メンズやキッズを含め、まだまだ伸びしろは大きいと思います。 「SHOPLIST」はこれからもファストファッションにこだわり、アイテムを拡充させていきます。ファストファッションECといえば「SHOPLIST」といわれるような世の中のインフラとなるプロダクトを創ります。