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ECサイトでの購入を妨げる障壁を効果的に取り除いている事例などを紹介します。大企業ではECサイトを強化するために、専門家を雇う余裕があるかもしれませんが、中小規模のECサイトはどうでしょう? どのようにトラフィックを伸ばし、コンバージョンを上げようか必死で考えているスタートアップのEC企業はどうすればいいでしょうか?

この記事は、買いやすいECサイトを作るための基礎を学び直したい担当者中小企業ビジネスを立ち上げたばかりの方向けです。買いやすいECサイトを作るための6ポイントを解説します。

1. 表示スピードを上げよう

ECサイトの表示スピードを上げる理由は以下の2つです。

  1. 消費者は4秒以内にページが表示されることを期待しています。4秒を超えるECサイトは、約25%の売買を失うという調査結果があります
  2. Googleは検索結果のアルゴリズムに、表示スピードを加味しています

サイトの表示スピードに関しては、技術的な側面が大きいので、まずは自社サイトの表示スピードを測定。表示に時間がかかるようなら、Webの専門家に相談しましょう。

高度な技術を実装する以外で、自身で何かできることがあるとすれば、サイトの表示スピードを遅くする大きな原因の1つである商品画像に手を加えることです。

数百にわたるECサイトの改善を手がけてきたオレグ・コルネイトシュク氏は次のように話します。

高画質の写真を、リサイズやWeb最適化をしないまま使用すれば、ファイルサイズが不必要に大きくなり、パフォーマンスが落ちます。目的に合わせて画像をリサイズし、適切なファイルに変更、オンライン上にあるツールを使って圧縮するのが良いでしょう。

2. 良いデザインを心がけましょう

サイトデザインは、コンバージョンに大きく関わります。車を購入するのに、次のECサイトを信頼して買おうと思いますか?

https://www.lingscars.com/

こちらのサイトはどうですか?

carvana

どっちのECサイトが良いかすぐにわかりますよね?

ECサイトのデザインで注意すべき点は以下の通りです。

  • ECサイトの各ページでは、訪問者にして欲しい次のアクションを邪魔するデザインにしないこと
  • 画質が荒く、小さくて見にくい画像を使わないこと

サイト訪問者はECサイトを見て最初の8秒間で引き続き閲覧するか否かを決定します。訪問者の目が止まるファーストビューは、最大限効果的なものにしなければなりません。それはどういう意味でしょうか? ページを訪れた訪問者に何をして欲しいのか考え、デザインでそれをサポートするのです。ECサイトで真っ先に伝えなければならないことは以下です。

  • 訪問者にとって有益なこと
  • 他のECサイトではなく、どうしてこのECサイトで買わなければいけないのか

たとえば、次のECサイトのように、明確でユニークな価値を伝えるメッセージを入れてみましょう。

choosemuse.com
「Muse is your personal meditation assistant」(Museは心身を集中させるためのあなた個人のアシスタントです)。出典はMuse社

Muse社のメッセージは、とてもわかりやすいですよね。簡潔で、明確なキャッチコピーであり、商品を使うとどのようなことができるのかを端的に伝えています。訪問者は、興味を持ってECサイトを回遊するか、すぐに離脱するかのどちらかでしょう。

Muse社のECサイトは、デザインがとても清潔で、商品にフォーカスを当てていることがわかります。ヘッダー部分の画像に載っている女性の体と顔が、商品に向いていますよね。こうすることで、ヘッドフォンに目が行くようにしているのです。

もう1つの特徴は写真。サイト訪問者が穏やかな気分になるような写真を使い、ユーザーが求めているもの(製品に求めている安らぎなど)を提供しているのです。

3. 顧客にストレスを与えないようにしましょう

カート離脱率(カゴ落ち率)について

ショッピングカートに商品を入れた68.81%のユーザーはカートから離脱してしまうことを知っていますか? あと少しのステップで商品購入に至らないわけですが、大きな数字ですよね。

カート離脱率は世界平均で68.81%
カート離脱率は世界平均で68.81%(Barilliance調査)

チェックアウトでカートから離脱する理由

カート離脱が起きる理由の上位3つは、購入方法に関係するものです。

  1. チェックアウトの際に追加コストが発生する。実際の問題は、初期段階で発生するコストを明確に説明していない
  2. 購入前に会員登録を求められる
  3. チェックアウトのプロセスが長過ぎたり、複雑過ぎる
チェックアウトでカートから離脱する理由
チェックアウトの場面でカートから離脱する理由(上位10の理由)
・追加コストが高過ぎる(送料、税金、手数料) 61%
・アカウント作成が必要 35%
・長すぎる/複雑すぎるチェックアウトプロセス 27%
・最初に合計金額がわからなかった 24%
・エラーが発生した 22%
・クレジットカード情報を入れるほど信用できるサイトではなかった 18%
・配送が遅すぎた 16%
・返品ルールに不満があった 10%
・支払い方法が少な過ぎた 8%
・クレジットカード決済が拒否された 5%

こうした課題の解決方法は、友人や家族に実際にECサイトを試用してもらい、チェックアウトプロセスについて意見をもらうことです。本当に必要なもの以外はすべて取り除きましょう。既存顧客にどうしたらチェックアウトがよりスムーズになるか聞いてみるのも良いでしょう。

デザイン関連のWebメディア『Design for Founders』は、次のような対策を提案しています。

送料無料のオプションを提供する(81%) 
実際の支払い金額を最初の段階で知らせる(63%) 
配達時期を知らせる(62%) 
カゴ落ちを防ぐための改善策
複数の支払いオプションを設ける(54%)
カゴ落ちを防ぐための改善策
  • 送料無料のオプションを提供する(81%)
  • 実際の支払い金額を最初の段階で知らせる(63%)
  • 配達時期を知らせる(62%)
  • 複数の支払いオプションを設ける(54%)

チェックアウトのプロセスを可能な限りシンプルにした後は、カート離脱に関するソリューション「GetResponse Abandoned Cart software」を使い、どうすればさらなるカゴ落ちを防ぐことができるか検証してみるのも良いでしょう。そうすることで、機会損失を最小限に防ぐことができます。

サイトのポップアップ

ECサイトを訪問してすぐに表示されるポップアップは、目障りで意味のないものです。初めてサイトを訪問した人は、まだそのECサイトが信頼できるものかどうかもわかっていないからです。ポップアップを良いタイミングで表示すれば、ECサイトの中身を見る人も増え、コンバージョンにもつながるはずです。

また、ポップアップを表示させるのであれば、簡単に閉じることができるようにしましょう。そうしなければ、消費者はすぐにECサイトを離れてしまいます。他にもたくさんのECサイトがあるのに、無駄な情報を見せてイライラさせるECサイトを引き続き閲覧しようと思う人はいません。

4. シンプルにしましょう

商品説明

ECサイトの画像は魅力的である必要があります。たとえば、次の写真は大変よくできています。この写真を見れば、カメラに使用されている全てのパーツが見える感覚になるでしょう。画像も大きく、細かい部分も鮮明に見ることができます。

Blackmagic Design社

オーストラリアに本社を置く総合映像機器メーカーBlackmagic Design社は、さまざまなアングルの画像を掲載し、「ヒーローショット」と呼ばれる利用者がヒーローとしてフィーチャーされる画像も載せています。たとえば、以下のような画像です。

Blackmagic Design社

つまり、画像を使ってストーリーを伝えるのです。画像は、ページ内の文章をサポートする役割があります。商品を複数の角度から撮影した写真を使い、利用者が簡単に写真を拡大できるようにしましょう。デジタルマーケティング支援のSmart Insightsによると、96%の消費者は、オンラインで商品を購入するときに画像が重要だと答えています

一般的に、商品を購入しようか迷っている消費者が、画像を見て購入を決めるまでは90秒間と言われています。その時間を有効に使いましょう。

購入のハードルを解消する

購入のハードルになる要素はできる限り取り除きましょう。これまで記載したことは全て、購入のハードルを下げるためのものですが、他にもまだできることはあります。

Desir社が運営するECサイトで販売している女性向けアダルトグッズ「Womanizer」という商品の説明画面です。

Desir社が運営するECサイト

女性向けのアダルトグッズは下品なモノではありません(巷ではそう思われていますが)。Desir社は、ストーリーを伝えるために的確な単語を選択。上品な女性のために、洗練されたアダルトグッズを提供しています。価格を見れば(編注:日本円で1万円以上の製品が多い)、お金のある女性をターゲットにしていることがわかります。そのため、上品な会社であることを伝えるための単語選びなどが重要なのです。

Desir社が購入のハードルを下げた方法

商品の詳細説明の文言を工夫するだけではなく、可能な限りさまざまな角度から撮影した商品画像を掲載しています。実際に試してみた消費者のレビュー、使い方の動画、関連商品、トラストシール、24時間以内の無料発送を知らせるバナーも掲載しているのです。

購入のハードルを下げるため、他にできることがあるでしょうか?

  • ユーザー発信のコンテンツを作りましょう。消費者は会社の声ではなく、他のユーザーの声を信用します。ユーザーが投稿する画像やレビューを掲載すれば、大きな信頼につながります
  • SNSを追加しましょう
nike.com

これはナイキの例です。

  • 追加コストに関しては、事前に知らせましょう
  • 問い合わせ番号を載せましょう
  • SNSのリンクを掲載しましょう。

入力フォーム

アカウント登録の義務付けはやめましょう入力フォームは必要最低限の項目に絞り、できるだけ短くしましょう

5. 検証できるものは検証しましょう

キャッチコピー

ユニークな価値が伝わるキャッチコピーを決定する前に、いくつかのキャッチコピーを検証することをお勧めします。ターゲットとなる消費者にどれが刺さるかは、実際にテストしてみないとわからないものです。

自分ではイケてると思っても、消費者はそう思わないかもしれません。何がよくて何が悪いのか、実際に検証してみると、驚くべき結果が得られる可能性があります。

たとえば、米国に本社を置くアプリケーション会社Basecampがまだ37signalsという名前で運営していた時、提供するCRM「Highrise」のキャッチコピーを「全てのアカウントで30日間お試し無料」と変更すると、コンバージョンが30%も上がりました。最もコンバージョンが低かったキャッチコピーは、「Highriseでアカウントを開設しよう」でした。

この結果も、実際にテストして検証しなければ得られなかったものです。

ハローバー

多くのECサイトは、ヘッダーに横長の目立つバー(※以下画像を参照)を入れています。そのバナーの中に、「20%オフ」や「送料無料」などの情報を入れますが、そこで使う言葉も検証してみましょう。

バローバーの例

Call To Action(コールトゥアクション)

使う言葉によって、コールトゥアクションのコンバージョンは大きく左右されます。WebブラウザのFirefoxがコールトゥアクションで使う言葉をテストしていた時、「Firefox 3を試してみて」という言葉を「今すぐ無料ダウンロード」と変更すると、ダウンロード数が大きく伸びたそうです。

プロセス

まずは利用者が実際に辿るプロセスを検証しましょう。消費者は商品を買うために、どんなことをしなくてはいけませんか?

プロセスを検証しなければ、何が良くて、どの部分がダメなのかわかりません。どこを簡素化して、整理すべきなのかもわからないのです。多くのプロセスを踏まなければ商品を購入できないようでは、そのECサイトは買いにくいと言わざるを得ません。

6. 自然検索での流入を増やしましょう

ECサイトの自然検索による流入を増やす方法は2つしかありません。

  1. プロモーションする
  2. コンテンツを作る

検索エンジンからの自然流入を増やし、それを維持する唯一の方法は、関連性の高いキーワードを含むコンテンツを発信することです。場所や商品、(必要であれば)ブランドについてのキーワードを入れていきましょう。

エンゲージメントプラットフォームのKissmetrics社は、EC向けSEOの包括的なガイダンスを提供し、効果的なキーワードを探す方法も提供。検索結果で上位に表示されるにはどうしたら良いかというサポートをしています。それによると、

  1. ユニークで価値のあるコンテンツを定期的にアップする(市場競争の度合いにもよりますが、月に3回アップすれば良いでしょう。)
  2. 長いコンテンツはフロントページに表示させましょう。2000字を目安にしてください
  3. 信頼できるサイトへのリンクを入れてください。検索エンジンが関連性を評価します。類は友を呼ぶと言われるように、関連付けるECサイトであなたのサイトの価値が決まってくるのです。
  4. ブログには関連性のあるキーワードを入れましょう。たとえば、結婚式の衣装を販売していて、「どんなウェディングドレスが一番良いか?」と検索されている状況をキャッチしたとします。であれば、同じようなタイトルのブログ記事を書けば良いのです。

まず始めることは? やるべきことに圧倒されないでください。成功に必要なのは、1つひとつ確実にこなしていくことです。

まずはこの記事に書いてある事柄の中から、どれを最初にやるのかを決めてください。それができてから、次に移りましょう。

サイトへのトラフィックやコンバージョンがどのように変わるか、注意深く監視しましょう。やった分だけ手応えを感じられるはずです

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア「Internet RETAILER」の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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