「TSUTAYA」のCCC、完全子会社めざすキタムラの4つの再建施策
「TSUTAYA」などを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は5月15日、カメラ販売店「カメラのキタムラ」を運営するキタムラを完全子会社すると発表した。5月16日から6月26日まで株式公開買い付け(TOB)を実施し、キタムラの全株式の取得をめざす。
CCCはキタムラ株の29.71%を所有する筆頭株主。完全子会社化することで経営の自由度を高め、減収が続くキタムラの経営再建を急ぐ。また、2社の経営資源を活用してオムニチャネル化を加速する。
キタムラの宅配と店頭受け取りの売上高を合計した「EC関与売上」は、2017年3月期時点で405億円だった。連結売上高に占める比率は約29%。2018年3月期における連結売上高は、前期比10.2%減の1268億5000万円。
キタムラはCCCグループの完全子会社になった後、オムニチャネル化の加速や顧客基盤の相互活用などに取り組むとしている。
キタムラが取り組む4つの施策
オムニチャネル化を加速
CCCグループの顧客基盤やデータベースを活用し、キタムラのオムニチャネル化を加速させる。ハード部門の販売では 「TSUTAYA オンラインショッピング」などと連携。
イメージング部門におけるプリント販売では、インターネットを通じた写真プリントサービス事業を行っている、しまうまプリントシステム、インターネット写真サービス事業を手がけるフォトクリエイトなどと連携する。
CCCの顧客にクロスセル
「TSUTAYA」「蔦屋書店」「T-SITE」などCCCグループの顧客基盤にアプローチできるようになり、顧客層拡大やクロスセルの実施などが可能になるとしている。
人材やデータを活用
CCCグループで写真事業を手がける「CCCフォトライフラボ」「フォトクリエイ ト」「しまうまプリントシステム」「コトコト」などが持つ写真サービスや商品開発などのノウハウを活用し、キタムラの写真事業の収益性向上や、新規事業開発などに取り組む。
ツタヤの店舗運営ノウハウを注入
「蔦屋書店」などの店舗開発で培ってきた、店舗運営やサービスに関する企画力といった経営ノウハウを利用し、キタムラの店舗において従来の販売モデルにとらわれないビジネスモデルの確立をめざす。
CCCは、こうした新たな取り組みには多額の投資が発生することが予想され、短期的には既存株主の利益を損なうことも想定されることから、TOBを通じて非上場化することが必要だとしている。
完全子会社化で連携深化
CCCとキタムラは2013年に資本業務提携を締結し、写真市場におけるシェア拡大や、ポイント事業での連携などを進めてきた。現在、CCCグループからキタムラに役員3人を派遣している。
ただ、キタムラはCCCグループの100%子会社ではないため、顧客データベースの完全な融合や、オムニチャネル戦略を加速させるための人材やデータベースの相互活用を十分に実施することができていなかった。