資生堂が中国EC商戦で動画インフルエンサーを活用した施策とその効果
資生堂はこのほど、中国向け越境ECのプロモーションに動画インフルエンサーを活用し、6月18日の大型商戦で「天猫国際(Tmall Global)」マツモトキヨシ店でアクセス数首位を獲得するなど成果をあげた。資生堂のプロモーション施策を支援したアライドアーキテクツが8月27日に事例を公開した。
商品の魅力を伝えるためにインフルエンサーを活用
動画インフルエンサーによるプロモーションを行ったのは、資生堂のメーキャップブランド「MAQuillAGE(マキアージュ)」。中国における販路の1つとして、「天猫国際(Tmall Global)」内でマツモトキヨシが展開するECサイト「松本清海外旗艦店」を活用している。
資生堂は商戦前、次のような課題を抱えていたという。
- 「マキアージュ」のブランドは中国でも多くのファンに認知されていたものの、個別の商品の魅力までは訴求しきれていなかった。
- 中国ネットユーザーからの注目度が高い「618商戦」に向けて、効果的なプロモーション施策を検討していた。
そこで、注力商品である「ドラマティックスキンセンサーベース UV」のプロモーション動画をSNSで拡散する施策に着手した。中国のSNS「Weibo(微博)」「WeChat(微信)」などを活用し、「マキアージュ」に関連するクチコミを抽出。ユーザーのニーズを踏まえ、最適な美容インフルエンサー1人を起用した上で、動画制作を依頼した。
そして、このインフルエンサーによるSNSへの投稿に続き、コンテンツ拡散サービス「WEIQ」を活用して13人のインフルエンサーに「Weibo」での引用投稿を依頼。インフルエンサーの累計フォロワー数は5300万人に上った。
ニーズに沿った動画などが成功ポイント
その結果、総再生回数は336万回を突破。また、SNS上に「商品を購入したい」と言ったコメントが約8000件も集まり、総エンゲージメント数は3万件だった。
動画経由で多数のユーザーが商品ページに流入し、「618」期間中のアクセス数としては「天猫国際」マツモトキヨシ店で首位を獲得したという。
アライドアーキテクツは成功のポイントとして次の2点を上げている。
- ターゲット層が利用するメディア3媒体を活用した入念な事前リサーチ
- リサーチデータを基にした最適なインフルエンサーの起用と、ターゲットニーズに沿った動画コンテンツの企画・制作
アライドアーキテクツの事例公開に合わせ、資生堂は次のようにコメントを寄せている。
今回の施策では、越境ECで中国のお客様から高い支持を得ているマツモトキヨシ様と一緒になり、「618商戦」に向けて動画インフルエンサーを起用したプロモーション施策を実行し、その結果Tmall Global「マツモトキヨシ」店における商品ページに多くの中国ネットユーザーの方にアクセスいただき認知を高められたという点で、マツモトキヨシ様から高く評価いただけたことは非常に良い成果だったと感じています。
出来上がった動画のクオリティーはすばらしく、きちんとした商品イメージの訴求もさることながら、映像の美しさについて言及する多くのコメントをいただけたことは大変うれしく思います。「凄くきれいに仕上がるベースメーク」「仕上がりが素晴らしく、動画に出ているマキアージュ商品をすべて買いたい」「ベースメークだけでなくチークも欲しい」「パッケージがかわいい」などの多数のコメントを拝見し、改めて自社の商品が中国でも支持いただけるのだと、商品のポテンシャルを実感することもできました。
日本企業が越境ECで成功するためには、中国市場に存在する様々な課題を克服する必要がありますが、その大前提となるのが、中国において商品力の高さを広く認められることです。今回の施策により「ドラマティックスキンセンサーべース UV」への注目度が高まったことで、様々な課題が解決され、売り上げ拡大にも繋がっていくものと期待しています。