カスタマーサービスは、ショッピングエクスペリエンスを成功させるための鍵。質の高いカスタマーサービスを行えば、長期間に渡って消費者と良好な関係を築くことができます。

カスタマーサービスは個別対応の要素が多いため、店舗の選択や顧客ロイヤルティ、最終的にはLTVにまで影響をおよぼします。消費者中心主義を推進し、思いやりの文化を持ち、テクノロジーを活用している小売事業者が競争力の高い市場で生き残っている理由をご説明します。

カスタマーサービスの領域を見ると、ほとんどの要素は以下の4つのカテゴリーに集約されます。

  1. 消費者
  2. スピード
  3. 思いやりの文化
  4. テクノロジー

「消費者」自身と「スピード」は消費者に起因するもので、残り半分の「思いやりの文化」と「テクノロジー」は小売事業者に起因するものです。今回は、集中すべきこの4つのカテゴリーについて、詳細を交えながらご説明します。

1. 消費者

前提:今時の消費者は、買い物、購買、カスタマーサポートのあらゆる面で高い期待を抱いています。2018年7月にインターネットリテイラー社とトルーナ社が発表した調査結果を見れば明らかです。「なぜアマゾンで買い物するのか」と聞かれた消費者の79%が、「質の高いカスタマーサービスが理由」と答えました。アマゾンにとってカスタマーサービスが重要ならば、どの小売事業者にとっても同様のはずです。

調査結果によると、「良い」もしくは「とても良い」とレビューする消費者の満足度は総じて高くなっています。小売事業者がまず目指すべきは、カスタマーサービスのスタッフとやりとりがあった顧客のうち、10人に6人が少なくとも「良い」というレビューを残すことです。カスタマーサービスが休む期間に関しては、5人に4人が「気にしない」と答えているのは、小売事業者にとって安心材料でしょう。

しかし、現代の消費者は販売チャネルを気にしていません。そのため、小売事業者にとっては安定したサービスを提供するのが難しくなりますが、常に忙しく動き回っている消費者のニーズに応えていく必要があります。

「わかりました」が正しい答え。

消費者は質問がある場合、誰にでも通用する答えではなく、素早く個別に対応してくれることを望んでいます

セルフサービスでも、人間が介在するカスタマーサポートでも、消費者は自分のやり方を求めています。常に「オン」の状態にある現代社会では、消費者ニーズに応えるために必要な情報をいかにコストをかけずに提供するか、模索しなくてはいけません。

カスタマーサービスを利用する消費者は、待ち時間も、能力の低いカスタマーサービススタッフも毛嫌いしています。オンライン通販利用者の53%が「カスタマーサービスに連絡した際に長時間待たされるのは問題だ」と感じ、38%が能力の低いカスタマーサービスのスタッフに腹を立てています

消費者対応において、テクノロジーが占める割合が大きくなった結果ともいえるでしょう。セルフサービスと人を介在させるサービスの間をフレキシブルに往来しながら、個人ごとのニーズに応えつつ、利益目標を達成していく必要があります。

2. スピード

前提:多くの消費者は時間を節約するためにオンラインで買い物をします。ですから、情報提供から素早い発送まで、どの点においても効率を求めているのです。

すべての小売事業者は、発送も含めて非の打ち所のないカスタマーサービスを目標とするべきです。約15%の消費者が発送の遅延や注文商品に関するコミュニケーション不足を体験しています。数字は比較的低いですが、満足度が高い場合でも、消費者とのコミュニケーションを密に取り、苛立たせないことが今まで以上に重要なのです。

小売事業者が素早い発送を行うようになると、消費者もスピード配送に慣れてきて、少なくとも1度は以下のような経験をしています。

  • 3人に1人が店舗やサイトからの同日配送の商品を注文したことがある
  • 43%は発送を早くするために追加料金を払ったことがある
  • 58%は発送情報が不足、もしくは発送までに時間がかかるため注文しなかった

3. 思いやりの文化

前提:コストのかからないセルフサービスに頼る小売事業者もいますが、サービスを差別化の要因と考えて、困難な道を選んだ事業者もいます。その場合、スタッフとトレーニングと価値基準を総合的に高めることになります。

どのように消費者と関わりたいかは事業者が決めることです。たとえば私自身も、返品方針に例外を作ってもらったり、傷のついた商品を引き取ってもらったり、期限切れのクーポンを使わせてもらった経験があります。このようなイレギュラーな選択をすることで、売上に影響が出るかも知れませんが、消費者に好印象を与えることができ、その価値は計り知れないのです。

アマゾンはこの手法を長年採用し、消費者が問題を発見した時、彼らが一切質問しなくても解決されるような仕組みを作っています。このやり方こそアマゾンが顧客満足度で毎年上位に食い込む理由であることは間違いないでしょう。事業者にとっても消費者にとってもわかりやすいプロセスを作り、消費者を思いやって正しいことをすることが大切です。

「オンラインのカスタマーサービスで苛立つポイント」(n=1,610/複数回答可)
出典:インターネットリテイラー/BizRate Insiteds(2018年7月)

4. テクノロジー

前提:小売事業者はビジネスモデルや顧客層を考慮し、より良いサービスを提供するために新しいテクノロジーを活用していくでしょう。

カスタマーサービスにおいて重要なテクノロジーは、AI(人工知能)で、Gartner社は「2020年までに4分の1のカスタマーサービス対応がバーチャルアシスタントやチャットボットになる」と予測しています。2017年には2%だったことを考えると、非常に大きな変化です。FAQ作成から商品プロフィール、個別の消費者対応、保証や返品プロセスまで、さまざまな場面に対応するアプリケーションが出てきています。

AIがカスタマーサービスのすべてを取って代わるわけではありませんが、消費者の苛立ちを軽減し時間を節約することはできるでしょう。信頼できるオートメーションに頼れば、24時間年中無休で働いてくれます。自動でFAQを作成してくれるようなツールを使って最適化すれば、単純な質問はツールに任せて、より複雑な問題だけをエスカレーションすることも可能になるでしょう。

Eptica社の最新の調査によると、64%の消費者は「自動チャットボットでも苦にならない」と答え、50%以上が「質問への回答にボイスアシスタントが使われても喜んで受け入れる」と答えました。

不安定な経済状況の中、コストカットが流行し生き残るためにはお金を貯めておくことが必須になっています。とは言え、テクノロジーのおかげで素早く、高い満足度を実現することが可能になっています。そうなれば、人件費も下がり、消費者な望む一貫したサービスを同時に提供することができるでしょう。

もちろん、テクノロジーがどんなに発展しても、完璧なものはありません。消費者からの不満も出てくるでしょうし、軌道に乗せるまでに時間もお金もかかるでしょう。小売事業者は試行錯誤しながら、テクノロジーを駆使して、ブランド価値を高め、カスタマーエクスペリエンスを向上させていくことが大切です。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア「Internet RETAILER」の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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