SHOPLISTさん、「メルペイ」のオンライン決済サービスってどうなんですか?
5月29日、「メルペイ」がオンライン決済サービスの提供を開始した。導入企業の第1号になったのはファッションECの「SHOPLIST.com by CROOZ」(以下、SHOPLIST)。「メルペイ」のオンライン決済とはどんなものなのか、EC事業者にとってどんなメリットがあるのか、SHOPLISTの稲垣剛之氏とメルペイの遠山義幸氏に話を聞いた。
決済方法は戦略と直結している
─SHOPLISTは決済方法をたくさん用意していますよね。
稲垣 新しいユーザーを獲得するために重要な部分ですから、決済には力をいれているんです。現在SHOPLISTで利用可能な決済方法は、クレジットカード、代引き、各キャリア決済に「楽天ペイ」「LINE Pay」「Paidy」の「翌月払い」と「超あと払い(3か月後払い)」と「Amazon Pay」。これに今回「メルペイ」が加わりました。
─それぞれどんな理由で導入しているんですか?
稲垣 テーマを持って決済を導入しています。SHOPLISTのオープン当初は10代のお客様が多かったこともあり、6割が代引きでした。その後サービスもお客様も成長し、クレジットカード比率が上がりました。それでも手元に商品が来てからでないと不安だということで、後払い決済を好まれるお客様は多いです。
「LINE Pay」や「楽天ペイ」については、年代関係なく幅広く多くのユーザー層をお持ちだということで、我々の「世の中のインフラをツクル」というビジョンにも通じるので導入しています。「Amazon Pay」はECに慣れている方には使いやすい決済なので、初めてSHOPLISTで購入する方に使っていただきたいということで導入しました。
決済方法はお客様が「買う」って決めるときの最後のひと押しになる部分。最初の頃にしっかりパートナーシップを組めるかどうかを見させていただいて、導入したからにはしっかり利用してもらうように取り組ませていただきます。
─今回の「メルペイ」の導入はどういうきっかけだったんですか?
稲垣 SHOPLISTのメインユーザーは20代後半から30代、40代の女性ということで、メルカリさんとユーザー層が結構似ています。「他のサービスは何を使っていますか」ってアンケートをとると、メルカリさんの名前が上位に上がってくるんです。
メルカリさんも出品の4分の1近くがレディースのアパレルということで 我々の商品をメルカリに出品している方も多いので、「一緒に何か取り組みをできたら良いな」と考えていたところに、ファーストユーザーとしてお声がけいただいきました。
─どんなスケジュールだったんですか?
稲垣 3月くらいに最初にお話があって、4月に仕様をいただき、5月に弊社で開発に着手してすぐ終わりました。実質2週間くらいでしょうか。もともと導入している決済方法と同じような仕様になっていたので、結構スムーズでした。我々としては実際にお客様が使うときに迷わないということが最重要なので、いろいろ要望を聞いていただきました。
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にとってメルペイの魅力って何でしょう?稲垣 たくさんのユーザーさんがお使いだということやユーザー層が重なっていることも重要なんですが、メルカリさんの場合は、違うお財布ができあがっているというところが魅力ですね。普段生活に使っているいつものお財布からお金を出すのではなく、自分にとって不要な品を売った売上金がメルペイというお財布に入っているということですから、SHOPLISTの商品を買うハードルが下がって、購入回数が上がったり金額が上がったりするのではないかと期待しています。
通常、新しい決済方法を追加した際はポイント倍増キャンペーンのようなものを実施しますが、メルペイさんとやるのであればユーザーさんにシームレスに使っていただけるような、メルペイ比率が自然に上がっていくようなキャンペーンが良いと考えています。新しいユーザーを獲得できるということだけでなく、これまでもSHOPLISTとメルカリの両方を使っているお客様がたくさんいるので、相互に集客できるような形で使っていただければと考えています。
購入のモチベーションアップに期待大
─「メルペイ」はオフラインではコンビニやドラッグストアなど使えるお店を着実に増やしていて、オンラインではSHOPLISTさんが第1号になったわけですが、今後はどう展開するんですか?
遠山 決済として広く展開していくには、カート事業者さんやECサイトパッケージさんとのパートナーシップは必要だと思っていいます。リアルの方もオープンなプラットフォームとして提供を進めていますので、ネットの方もいろんな先様と幅広くパートナーシップを組みたいと思っています。決済手数料については随時ご相談の上で決めていきたいと思っています。
─「メルペイ」の強みってなんですか?
遠山 「メルペイ」の一番の強みは「メルカリ」の売上金を「メルカリ」以外で使えることです。働いて得たお金ではなく、自分には不要だと思ったものを売ったお金、いわば臨時収入のようなお金をそのまま使えるので、通常であれば買わないようなグレードのものを「買ってみようかな」「いま売上金があるから買ってみよう」というように、購入のモチベーションを上げられるので、ECサイトさんの売上貢献になるのではないかと思っています。
売上金だけで足りない部分については、リアルと同じく銀行からのチャージ払いと、我々独自の後払い「メルペイあと払い」が可能です。「メルペイあと払い」は「メルカリ月イチ払い」という名称だった頃はメルカリ内だけだったんですが、オフラインを含めてメルカリ以外でも使えます。
「メルカリ」内で良いお取引をしているユーザーさんはスコアリングが高く出るといった我々独自の与信をやっていて、「メルカリ」ユーザーに段階的に提供を開始しています。
一次流通と二次流通の融合を目指す
遠山 今後は配送先の情報を連携して、SHOPLISTで買い物するときに「メルカリ」の住所情報を利用できて、ユーザーは入力の手間を省ける……ということも今後やっていきたいです。また、ECサイトでの購入商品について、「メルカリ」に出品するときに商品情報を使えるようにしたい。将来的に目指すのは一次流通と二次流通をシームレスにつなぐことです。
「メルカリ」の流通額は5,000億円を超えつつあります。チャージをしてもらわなくてもそれだけのお金が入っている。「メルペイ」をリリースしたときに「メルカリ内の売上が減るのでは?」という質問を結構受けましたが、現状、そんなことにはなっていません。
「メルカリ」だけでなくもっと他のECサイトで売上金を使えるようにする。つまり出口を整える必要がありますが、一次流通と二次流通をつなげられるのは我々だけです。誰でもどこでも使えることが大事です。現在、オフラインで135万店舗使えるようになりましたが、今後オンラインも増やしていって年内に200万店舗を目指しています。
メルカリとアパレルに関するデータ
2019年2月26日に発表されたメルカリと三菱統合研究所の「シェアリングエコノミー」に関する共同研究によると、「新品の商品を購入する際、将来売却することを意識するか」という問いに対し、洋服の場合は65%が「意識する」と回答した。
フリマアプリを利用した後、19%が「新品の洋服を購入する頻度が増加した」と回答した。
新品の洋服を購入する頻度が増加した理由としては、「フリマアプリでの売れ行きが良いから」(77%)、「フリマアプリで小遣い稼ぎができるようになったから」(72%)、「フリマアプリで売るときに値崩れしにくいから」(66%)などがあげられた。
フリマアプリを利用した後、購入する洋服の価格帯について、28%が「高価格帯にシフトした」と回答した。
「フリマアプリを介して“モノのシェアリング”を行う消費者は、モノに対する価値観が“所有” から“利用”に変遷することによって、従来とは異なる消費行動をとることが明らかになった」としている。
調査概要
- 調査方法:Webアンケート
- 調査期間:2018年9月21日〜9月27日
- 調査対象者:フリマアプリで「洋服」の取引経験者(20代以上の男女、フリマアプリ利用頻度が3ヶ月に1回以上)/「化粧品」の取引経験者(20代以上の女性、フリマアプリ利用頻度が3カ月に1回以上)
- 回収サンプル数:1,642件
- 出典:メルカリ、三菱総合研究所とシェアリングエコノミーに関する共同研究を実施(メルカリ プレスリリース)