Digital Commerce 360 2019/6/6 8:00

小売業界でビジネスを維持するのは容易なことではありませんが、消費者に興味を持ってもらい、彼らの関心を維持するのはさらに困難なことです。オンラインとオフラインの両方で競争が激化するなか、小売事業者は既存の購入体験に付加価値を与える、新しい革新的な方法を模索しています。

米国各社が取り組む「小売エンターテイメント」

「小売エンターテイメント」または「リテールテイメント」が進化しています。体験型ポップアップからライブ・ショッピング・ショーまで、実店舗やアマゾンを含むオンラインストアの両方が、消費者を引きつけ、ブランド認知度を高め、売上を促進するために、小売エンターテイメント体験に投資しています

米国勢調査局によると、ミレニアル世代はベビーブーマー世代に取って代わる最大の成人世代になりつつあります。彼らはすでに、商品よりも「経験」にお金を使うことによって小売業を劇的に変えています。この世代が最盛期を迎えるにつれ、小売業事者は既存の顧客ベースを維持することや、新しい消費者を引き付ける方法を再検討せざるを得なくなっています

とは言え、小売業はミレニアル世代だけのものではありません。年配の消費者も同様に技術を使いこなし、かつ、伝統的なマーケティングを受け入れやすい傾向があります。言い換えれば、店内やオンラインでのリテールテイメント体験は、あらゆる年齢層の消費者をターゲットにできるのです。各社が取り組んでいるリテールテイメント体験の一部を紹介します。

● Amazon Live

アマゾンのライブビデオショッピングプラットフォームである「Amazon Live」では、販売者は製品デモ、井戸端会議、その他のコンテンツをライブストリーミングで配信でき、視聴者をシームレスに直接商品に誘導できます。

「Amazon Live」
※ネットショップ担当者フォーラム編集部でキャプチャ

● Bass Pro Shops

「ショッピング中の消費者にエンターテイメントを提供する」というコンセプト自体は新しいものではありません。実際、アウトドア用品の「Bass Pro Shops」のような実店舗は、何年も前からテーマレストランやボーリング場など、ユニークな場を訪問者に提供しています。

しかし、より多くの企業がゲストのために楽しくユニークで「経験的な」小売体験に投資し始めたのは、伝統的な小売事業者が店を閉めはじめ、より多くのデジタルネイティブブランドが物理的な店舗を開き始めた時でした。

● L'OCCITANE

ロクシタンは旗艦店舗において、画面を介してフランスの田舎道を体験できる自転車体験や、VRを利用した熱気球体験などを提供し、来店客にフランス文化の魅力を実感してもらおうと決めました。商品を売り込むのではなく、ブランドのメインターゲットである40代の女性以外の、より幅広い層をターゲットにすることを目指しています

ロクシタンのような従来型の小売事業者も、テクノロジーを利用して消費者との関わりを持とうとしているのです。

● ShopShops

「ShopShops」は、国境を越えて小売事業者やブランドを消費者と直接つなぐライブストリーミングのグローバルマーケットプレイスです。ライブビデオの力を利用して、実店舗のブランドを世界中の新しいオーディエンスにつないでいます

このマーケットプレイスは、「Opening Ceremony」などのファッションブランドや独立系デザイナーと提携し、ライブストリーミングがトップトレンドの1つになっている中国の消費者に向けて、淘宝(Taobao)などのショッピングプラットフォームを通して商品を提供しています。

● QVC

QVCもまたライブビデオ技術に投資しており、2019年はじめにはビデオベースのモバイルショッピングアプリを発表しました。

「ソーシャルメディア世代のためのQVC」と説明されているインタラクティブ・ショッピングは、小売事業者と消費者の双方にとってメリットがあります。つまり、小売事業者が新しい市場と収益源にアクセスできるようになる一方で、消費者は生放送のショッピングショーに参加することができるのです。

● Gravy

小売事業者ではありませんが、モバイルアプリの「Gravy」はエンターテイメントと小売を組み合わせ、プレーヤーにライブ・ショッピング・ゲームショーを提供しています。プレーヤーはショーの目玉商品や現金、その他の賞品を得るために競います。ビデオ生放送を利用して、ホストがユーザーと話したり、プレーヤー同士がアプリのチャット機能でゲーム中に会話したりすることも可能です。

最近では「ビームイン」という機能も追加されました。「Gravy」は従来のビジネスのように広告を出しておらず、ユーザーのエンゲージメントに全面的に依存しています。参加者は多ければ多いほど良いのです。

◇◇◇

小売業界の状況は常に変化しており、オンライン小売事業者にとってもオフライン小売事業者にとっても、急速な変化が脅威になる可能性があります。ですが、適切なテクノロジーを活用し、小売エンターテインメント体験のような、予想外の新しい方法で消費者を引き込むことにで、遅れを取らずに済むのです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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