シアーズ、ジンボリー、ペイレス、シャーロット・ラス、ディーゼル……これらのブランドは20年前、全米各地のショッピングモールの良い場所に店舗を構えていました。しかし2019年現在、他の数多くのブランド同様、これらのブランドも減衰しています。

多くの実店舗が閉鎖されているにもかかわらず、小売事業もeコマースも一般的には好調です。また、実店舗型小売事業も依然として業績を上げています。デジタル大手のアマゾンでさえ、実店舗を構えるようになりました。顧客が「没入型コミュニティ」を体験できるように、店舗を変えた事業者もいます。

小売事業者が適応しなくてはならない現代のカスタマージャーニーは、以前のそれとは大きく異なっています。小売事業者は、消費者の購入サイクルにおけるすべての接点を考え、その過程で何を達成したいかを考えなければならないのです。考慮すべき重要なポイントは次のとおりです。

① 消費者はなぜ実店舗とeコマース使い分けるのか?

消費者の中には、割引や最安値を求めて、比較のために実店舗を訪れる人もいます。ブランドはそのようなニーズを満たすために、デジタル戦略を修正しなければいけません。

一方で、混雑や長い列、店内での限定的な品ぞろえを敬遠し、代わりにオンライン購入を選んでいる消費者もいます。ブランドはユーザーエクスペリエンスを改善するために、物理的な存在感も演出し続けなくてはいけません。

アマゾンの猛烈な追い上げに対応するため、家電量販店のベスト・バイは2012年に新しいCEOを招聘(しょうへい)しました。新しいCEO ヒューバート・ジョリー氏の最初の行動の1つは価格保証。店内で商品を試した消費者は、価格保証のおかげで「その場で買っても良い」と感じました。

さらにジョリー氏は、ベンダーが消費者と交流できるように、アップル、マイクロソフト、サムスンなど大手ブランドのショールームスペースを設置しました。

② 実店舗は十分に活用されているか?

テレビが大画面に視覚、音声、および動作を映し出すことで価値を見出されているように、店舗でも3D・360度の体験を提供して、五感すべてに感動を与えることができるのです。デジタルでは、(まだ)それを実現することはできません。

ティファニーは、ロンドンのコベントガーデンにインスタ映えする雰囲気を作り出し、大きく飛躍しました。ティファニーは「ティファニーは好きだけど高価すぎるものは欲しくない」という消費者とつながりたいと考え、「Style Studio」 で手頃な価格の家庭用品やアクセサリーなどを紹介しています。消費者は買い物中に宝石に刻印することも可能です。

③ どうすれば、より体験を促す店舗になるのか?

革新的な事業者の中には、消費者がコミュニティを体験できるように店舗を変えた者もいます。ソノスやサムスンなどは、買い物客が製品を本物の環境で体験できるアパートのような雰囲気を作り出しています。また、パリのリーボックストアも、ショールームを文字通り「スポーツコート」に変え、利用者が遊ぶことができる、印象的な購入体験を作り出しました。

ビジョンに沿った最適な出会いを定義し、作り出すことが大切です。

④ ソーシャルメディアをどう活用すべきか?

フェイスブックページを持つことが、ソーシャルメディア戦略ではありません。小売事業者は、ソーシャルメディア上で消費者とどの程度深く関わりたいかを決定し、その関わりを継続するためのリソースを確保する必要があります。

例えば、ウェンディーズはツイッター上での存在感が強いですが、すべての小売事業者が同じような投資をできるわけではありません。ソーシャルメディアを使いこなす余裕がない場合、ソーシャルメディア上で消費者と対話することを期待してはいけません。

⑤ 店頭受け取りサービスを提供しているか?

実店舗の将来を考えた時、便利なクリック・アンド・コレクトサービスを提供することは必須です。消費者は買い物の利便性とスピードを得られる小売事業者を求めています。「BOPIS(Buy Online, Pick up In Store/オンラインで購入し、店頭で受け取る)サービス」は、運営コストを削減し、消費者を物理的に店舗に誘導して追加購入を促進することで、消費者だけでなく小売事業者にも利益をもたらしてくれます。

大手小売事業者10社を対象に、シークレットショッパーが実際のサービスを利用したBOPISに関する調査によると、第1位がベストバイで、最下位はウォルマートでした。

BOPISはまだ試行錯誤の段階です。注文を処理するのに10分(永遠のように感じます)もの時間を要した小売事業者が、消費者の貴重な時間を無駄にしないために、より自動化されたアプローチを取る必要があるのは明らかです。

⑥ 店舗のデジタル化の影響をちゃんと計算しているか?

もしくは、デジタルにおける店舗の影響を考えているでしょうか? いずれにしても心配しなくて大丈夫です。ほとんど誰もそんな計算をしていません。

「近くにいる」と入力したときに、マップ上に魔法のように表示されるプロモーションピンの数を数えてみてください。1つ選んで押すだけで、デジタル地図が手元に表示されます。

これは、地域で企業の認知度を上げるのに役立つ1つの方法です。「Waze」アプリを使えば、小売事業者が自社ブランドのメッセージを画面に表示することも可能です。

もちろん、この分野ではフェイスブックを活用することもできます。位置情報を基にした広告で、検索を行っている消費者の注意を引き、ブランドの存在感を高めることができるのです。

これらの分析は、今日の小売において最も注目されています。小売事業者がデータ分析に大金を費やして、デジタル上の動きを販売時点まで細かく追跡しているのには理由があるのです。デジタルクーポンを使って、直接的なひも付けをすることもできるでしょう。

グーグルもフェイスブックも、オフラインの属性分析ソリューションを提供しています。昔ながらの計量経済学の回帰分析手法にも、まだそれなりの役割があるようです。

重要なのは、今の時点で正しいかどうかではありません。まずは道を歩み始めることです。ソリューションをテストし、ビジネスにどのように応用できるかを確認しましょう。完全な解決策はないかもしれませんが、停滞した先に待っているのは死しかないのです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア「Internet RETAILER」の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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