アマゾンで消費者は商品検索を始めた瞬間からチェックアウトまで、簡単に買い物をすることができます。このアマゾンの戦略で、小売事業者が参考にできる5つの重要な要素を紹介します。

1990年代半ば、ジェフ・ベゾスの「オンライン書店を作る」という野望から始まったアマゾンは、今ではさまざまなメディアプラットフォームに遍在しており、非常に大きな成長を遂げました。

米国を拠点とするこの巨大企業は、eコマースでは無双状態。2018年にアマゾンが報告した総商品量が2,770億ドルだったのに対し、eBayは898億3000万ドルにとどまっています。

現在の状況まで到達するには20年という月日、数千人のエンジニア、賢い戦略、そして無数のリスクを伴う行動が必要でした。アマゾンはユーザーエクスペリエンス全体を継続的にテストし、学習し、最適化しているのです。

しかし、アマゾンのすごいところは今の状況に到達できたことではありません。継続的な最適化と拡張によって、優位性を保っていることが彼らのすごいところなのです。アマゾンは現在、ダイナミックな価格設定から1時間以内の配送まで、さまざまなサービスを提供していますが、その一方で膨大な種類の商品も提供しています。

アマゾンの「フルファネルオプティマイゼーション」とは?

そんな中、他の小売事業者はどうしたら良いのでしょうか。大きな支配力と勢いを保つアマゾンと直接対決することは、EC業界のほとんどの事業者にとって現実的ではありません。アマゾンから学び、彼らの成功の鍵となっている要素を理解することが優先されるべきでしょう。

アマゾンの卓越性を構成する重要な5つの要素について説明する前に、1つの重要なポイントを強調したいと思います。

アマゾンは「フルファネルオプティマイゼーション」と呼ばれるものを展開しています。1つのページを最適化するだけではありません。アマゾンはユーザーエクスペリエンス全体を継続的にテストし、学習し、最適化しています。最初の広告のタッチポイントから、100回目以降の訪問でユーザーが戻ってくるページ、配達、さらには購入後のエンゲージメントまで。

このアプローチが顧客の再来訪を促し、ベンダーを満足させ、アマゾンを唯一無二の存在に押し上げました。「フルファネルオプティマイゼーション」は、ビジネスの運営方法にも革命をもたらす可能性があります。

ここからは、EC小売事業者が注力すべき、5つのコアプラクティスを見てみましょう。

① 効果的なエンゲージメントを促すクリーンなレイアウト

アマゾンがWebサイトのデザインで賞を獲ることはないでしょう ―その必要がないのです。この記事を読んでいるデザイナーの方々には失礼かも知れませんが、純粋な見た目の美しさは、優れたeコマースページの設計において最も重要なことではありません。アマゾンが「良い」とするページは高いコンバージョン率を生み出すページ。それだけです。

アマゾンは、消費者が求める商品を検索する際に、必要以上の作業をさせません。直帰率を最小化し、コンバージョン率を最大化するには、ページレイアウトをシンプルで使いやすいものにしましょう。

顧客が期待しているものと欲しているものを提供することで、ロイヤルティを維持しましょう。見込み客を失う最も簡単な方法は、彼らがサイト訪問した時に混乱させることです。ほとんどの利用者は二度とそのサイトに戻って来ないでしょう。

② 製品詳細ページの活用

社会的な信頼はかつてないほど価値を増しています。私たちの買い物方法は変わりました。世界はつながっていて、あらゆるものについての意見を至る所で見つけることができます。製品情報の信頼できるソースとして、消費者に自社を認識してもらうことが大切です。

オンラインで信頼を獲得するのは困難です。しかし潜在顧客に対して、他の顧客が商品についてどういう意見を持っているのかを正確に示すことができれば、信頼と関心を得ることができるでしょう。

シームレスに組み込まれた画像や動画は消費者の関心を引き、影響を与える上でも大きな役割を果たします。今や消費者の3分の2以上が動画で新商品について知りたいと思っており、テキストのみを好む人は15%にすぎません。

ショートビデオ68%
テキストベースの記事15%
その他 3%
セールスコール/デモ 3%
インフォグラフィック 3%
プレゼンテーション 4%
eBookまたはマニュアル 4%
新しい製品やサービスについて、どのように学ぶことを好みますか?(n=611)
「The State of Video Marketing in 2019」(HubSpot)をもとにネットショップ担当者フォーラム編集部で作成

③ ベストセラーランキング

アマゾンの「Best Sellers Rank(BSR)」は、想像通り、主に売上高で計算されています。BSRには、最近の数値と過去の数値の両方が含まれています。1時間ごとに更新されるBSRは、アマゾンのデータ活用の素晴らしさを示すとともに、消費者にとって非常に役立つ情報です。ベンダーにとってBSRは単なる見栄の指標かもしれませんが、潜在顧客が情報を得るためのシンプルな方法なのです。

ECプラットフォームにとって、安全と信頼の雰囲気を醸し出すことは非常に重要です。アマゾンは他の分野でもランキングを利用しています。特に、中古品の購入を検討している、注意深い消費者にとってはランキングが大切です。

自社サイトではデータ主導のランキングを使用することで正しく信頼できる情報を提供し、どのようにして消費者に安心して購入してもらえるかを検討してください。

④ レコメンド商品

レコメンドも社会的な信頼を得る便利な仕組みです。私たちは皆、従順な羊、大勢の中の1人になることを恐れていますが、実際は多く場合、周りの人たちに追随しているのです。他の人がある方向に進んで、特定の結論に達したことを知らせることで、彼らは「近道を見つけた」と思うはずです。そしてそれは信頼に足る近道なのです。

レコメンデーションプラグインを自社サイトに実装する際は、類似したカテゴリーから商品がレコメンドされることを確認してください。これは、幅広いカテゴリーの商品を扱う小売事業者には特に重要です。たとえ以前、電球とキャットフードを一緒に買ったことがあったとしても、電球を購入しようとしている時に、キャットフードを勧められたくありません。

⑤ 簡単なチェックアウト

購入に興味を示した人はサプライズは望んでいません。追加料金、複雑な計算、条件によって変わる配送料金もNGです。クリーンなレイアウト同様、チェックアウトのプロセスは単純で予測しやすいものが良いのです。

もし自社サイトのチェックアウトが安全かつスムーズでなければ、必然的に売上を減らすことになるでしょう。チェックアウトプロセスの最適化に時間とリソースを投入することは、本当に価値のある投資なのです。

そしてもう1つの要素

最後に付け加えると、アマゾンの優勢は、上記の要素のどれかから生み出されたわけではありません。大切な要素やそれに伴う行動が、カスタマーエクスペリエンス全体を通して調整され、調和されていることが強みなのです。これは、継続的なフルファネルオプティマイゼーションの力です。フルファネルオプティマイゼーションは、ECの成功に欠かせません。

  • ユーザーエクスペリエンスを最初から最後までスムーズにしましょう
  • 複雑なデザインやわかりにくいナビゲーションは必要ありません
  • 直感的な操作やソーシャル機能を備えた仕組みを至る所に用意しましょう
  • 消費者に購入をあきらめる理由を与えないでください。スムーズであればあるほど良いです

もちろん、フルファネルオプティマイゼーションは簡単な作業ではなく、一夜にして解決するものでもありません。何百もの潜在的な要素がありますが、適切なガイダンスとノウハウがあれば、アマゾンモデルのベストな要素を自社の顧客に届けることができるでしょう。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア「Internet RETAILER」の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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