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カスタマーエクスペリエンスが優れている企業が注目する3つの成功ポイント

一度でも嫌な経験をした顧客は二度と戻って来ない。自社の「ペルソナ」「タッチポイント」「カスタマージャーニ」を見直そう

Digital Commerce 360

2019年7月25日 8:00

シームレスなカスタマーエクスペリエンスを消費者に提供することは、ますます重要になっていますが、ビジネスが複雑になるにつれて課題も増えています。企業が一貫して消費者を満足させる唯一の方法は、詳細なカスタマージャーニーのマップを作成し、調査し、改善を強化していくことです。

価格には敏感。でも、優れたカスタマーサービスにはお金を払っても良い

あまり語られていませんが、21世紀のビジネスのポイントは、消費者がますます価格に敏感になっているにも関わらず、一流のカスタマーサービスにはより多くの料金を支払う、ということです。彼らは惰性を許さないだけなのです。しかし、残念なことに、ほとんどの企業が惰性でビジネスを行っています。

PwCの調査によると、顧客は速度、利便性、親しみやすさを向上させるために、最大16%多く支払うことをいとわないそうです。しかし、企業のチャンスは1度しかないと思ってください。アメリカでは、消費者があなたの製品を気に入ったとしても、何度か悪い体験をしたら59%は二度と戻って来ず、17%はたった一度でも悪い経験をしたら再来訪しないのです。

Q:好きなブランドとのやり取りをやめるのはいつですか?
悪い経験を一度した後
悪い経験を何度かした後
カスタマーエクスペリエンスの未来(PwC/2017年)をもとにネットショップ担当者フォーラム編集部で作成

かゆいところに手が届くシームレスな体験は、ビジネスにとって真の金脈です。しかし、ビジネスが非常に複雑になってきている中で、シームレスな体験を実現する唯一の方法は、企業が詳細なカスタマージャーニーマップを作成し、調査し、改善を強化することです。

実際に変化を起こしたい企業は、すべてのビジネス上の意思決定がカスタマージャーニーに沿っているのかを確認する必要があります。

結果はどうでしょう? 販売サイクルが18倍速くなり、アップセルやクロスセルが最大56%増加します。もちろん、消費者のカスタマージャーニー自体は目新しいものではありません。真に差別化するには、カスタマージャーニーをあらゆるレベルの意思決定プロセスに組み込む必要がありますが、ほとんどの企業が行っていません。

消費者を熟知していて、顧客中心主義の概念がビジネスの長期的なコアバリューだと思っていても、本当に会社のDNAの一部になっているでしょうか? 従業員は、日常の意思決定プロセスにインサイトを積極的に組み込んでいますか? それとも経営陣がトップレベルの意思決定に表面的に適用しているだけでしょうか?

カスタマーエクスペリエンスで成功している企業は何が違うのか

成功のために消費者インサイトを真に理解し、適用しているビジネスの3つの特徴をご紹介します。

1. すべての従業員に、消費者のペルソナに応じた決定を促す

カスタマージャーニーを作成する時、私たちは消費者の行動やペルソナをもとに複雑な消費者像を作ります。しかし、一度作成されて何度かレビューされた後は、見過ごされることが多く、どこかの引き出しに詰め込まれ、都合の良いときにだけ持ち出されるのです。ほとんどの場合、消費者イメージは忘れられています

実際に変化を起こしたい企業は、すべてのビジネス上の意思決定がカスタマージャーニーに沿っているのかを確認する必要があります。そうすれば、カスタマージャーニーが単なるチェックボックスとして使われることがなくなります。ペルソナは従業員が自分の意思決定を確認するための拠り所となるのです。

さらに重要なのは、見過ごされがちな消費者のパターンに気づき、エンゲージメントを強化できるようになることです。これにより、ビジネスのあらゆる側面における意思決定プロセスにおいて消費者が考慮され、すべての段階で自動的にビジネスに組み込まれるようになります。

2. ビジネスの測定基準に基づいてタッチポイントを考える

多くの企業は、消費者が製品を選択し、金銭的な取引を行った場合にのみ「購買経験」が発生すると考える傾向があります。しかし、それは真実からかけ離れています。

カスタマー・エクスペリエンスは、消費者との長く、時には複雑なやりとりに沿って、複数のタッチポイントで実現されています。小売事業の場合は、以下のタッチポイントの1つ以上が当てはまるでしょう。

  • 広告を見る
  • ショッピングセンターで店をチェックする
  • 店に入って従業員と言葉を交わす
  • 店を出てオンラインでリサーチを続ける
  • アプリをダウンロードして使用する
  • ソーシャルメディアを通じて接触する
  • 店に再来訪する
  • 棚にある商品をチェックする
  • 購入した商品を返品する
  • 関連商品を実店舗ではなくオンラインで購入する
  • 追加で商品を購入する
  • ソーシャルメディアにコメントする

これらのタッチポイントを単独で見るだけでは十分ではありません。プロセスや消費者とのやり取りを測定するために、それぞれが特定の基準に紐付いている必要があります。

アプリのダウンロードやとエンゲージメント、店舗へのトラフィック、ソーシャルメディアでのシェアなどは簡単です。しかし、中にはもっと難しいものがあるため、カスタマージャーニーを全体として慎重に考える必要があります。例えば、オンラインショッピングの増加に伴い、店舗へのトラフィックが減少している場合などです。

すべてをテクノロジーで解決する必要はない

これらの取り組みは、ペルソナによっても異なります。例えば、若い層向けのペルソナは、年配層ほど店内広告には関心がないかもしれませんが、より活発なアプリ体験を期待するかもしれません。ここで重要なポイントは、すべての議論は自社の基準に照らし合わせて行われる必要があるということです。

データに基づいた意思決定はビジネスの未来であり、これを無視するプロセスは近視眼的であることが多いです。価値の高い顧客満足度を設計する場合、データのない意思決定は主観的なものになり、誰もコントロールできません。ビジネス上の意思決定では、常に基準に立ち返り、ビジネスプランを確認または再定義する必要があります。

ただし、カスタマージャーニーにテクノロジーを活用する際、消費者との関わりを技術でサポートする必要があると思わないでください。現在、人間との関わりは需要が高く、アメリカの消費者の82%、アメリカ以外の消費者の74%が人間との関わりを求めており、今後さらに増えると予想されます

ドイツ 84%
アメリカ 82%
オーストラリア 81%
アルゼンチン 80%
カナダ 80%
イギリス 78%
シンガポール 76%
コロンビア 74%
メキシコ 74%
ブラジル 68%
中国 66%
日本 53%
すべての国  75%
「技術が向上すればするほど、実際の人と交流したいと思う」と答えた人の割合(n=15,000)
カスタマーエクスペリエンスの未来(PwC/2017年)よりネットショップ担当者フォーラム編集部でキャプチャ

複数のタッチポイントでロボットと話をさせることなく、人との関わりを提供するには、消費者を深く知ることが重要です。彼らは、プラットフォーム間をシームレスにつないでくれるテクノロジーを求めているのです。

3.誰もがアクセスし、変更できるようカスタマージャーニーを作成する

消費者のカスタマージャーニーマップは、ビジネスの大部分と切り離して考えるべきではありません。経営層から現場の従業員まで、誰もがアクセスできる必要があります。また、全員が変更を提案できるようにしなくてはいけません。

企業はカスタマージャーニーマップが定期的に見直され、調査されるような機会を実際に作る必要があります。販売データ、各タッチポイントに関連する基準によって収集された情報などを考慮します。すべてのカスタマージャーニーをレビューする必要があります。

GDPR(EU一般データ保護規則)施行後のデータ重視の環境では、これを正しく行う必要があります。アメリカの消費者の43%は、真に価値のあるサービスでない限り、よりカスタマイズされた体験を可能にするための個人データを提供しませんが、63%は「データ共有に寛容だ」と答えています。要は、優れたカスタマーエクスペリエンスを通じてのみ構築できる信頼が大切なのです。

しかし、顧客満足度の向上をデジタルの優先事項として認識している企業の数は、前年の25%から2017年にはわずか10%に減少しました。最も成功している企業は、消費者を理解し、エンゲージし、サービスを提供するテクノロジーに投資することが重要だと知っています

新しい技術が生まれるたびにテクノロジーへの投資は必要になります。デバイスをまたいだタッチポイントやARは、今後10年間で新しい体験を消費者に提供するでしょう。消費者のカスタマージャーニーを理解している企業にとっては、それらは問題にはならず、単に新しい機会となるはずです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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