リアルな営業活動をECで再現。営業担当の負担減と得意先の利便性向上を実現したBtoB-EC事例
20年にわたって運営しているECサイト「サインシティ」に、表示する商品や価格を得意先企業ごとに変えられるクローズドなBtoB-EC機能を追加したのが看板材料や販促用品などの販売・加工を行うトレード。
リアルな営業活動をECで再現、営業担当の負担減と得意先の利便性を向上した。トレードの常務執行役員・瀧塚清和氏、「サインシティ」にECサイト構築パッケージを導入したコマース21の根津浩二氏(ECインテグレーション事業部 営業部部長)に話を聞いた。写真:吉田浩章
1999年にECサイト開設
トレードは1990年7月創業。名古屋市に拠点を構え、看板材料や販促用品などの販売・加工を行う。ECサイトの開設は1999年。現在は全体の売上のうちEC経由が5割を占めており、購入客は個人から企業までさまざま。法人カードといった手段で購入している。
2年前、トレードは得意先企業からの注文をECサイト上でも受けられるよう、クローズドなBtoB-ECサイト機能を持つためのリニューアルを行った。
得意先企業からは、「いつものを2本、3本お願い」と電話で注文を受けることが多く、この作業にかかる時間が膨大になっていた。人為的なミスを防ぐために発注時はFAXを送ってほしいと思っていたが、現場施工から経営までを行う個人事業主も多く、忙しさから手が回らない。それならと簡単に注文できるよう専用のFAX用紙を作ったところ少しずつ使われ始めた。その仕組みをECサイトでも生かせないだろうかと考え、その仕組みを既存のECサイトに追加した。(瀧塚氏)
協力を仰いだのがコマース21。複数のベンダーと対話したが、瀧塚氏の思いを的確に汲み取るコマース21の営業担当・根津浩二氏のサポート体制、コマース21が得意とするきめ細やかなカスタマイズ対応が決め手となった。そして、コマース21はBtoC-ECサイトにBtoB機能を追加するカスタマイズを施した。
「人」が介在する部分を残す
トレードのBtoB-ECサイトは、あえて「人」(営業担当)が介在するのが特長だ。得意先企業各社が必要としている商品、ニーズが異なるため営業担当による直接的なサポートが必要という理由に加え、電話で営業担当と話したい、FAXで注文したいといった商習慣が根強く残るためだ。
「BtoB-ECサイトは営業を支える仕組みにしたい。限られた時間の中で本来の営業活動である提案に時間を割いて欲しい」という瀧塚氏の思いを形にするため、コマース21のカスタマイズによって次のような特徴的な機能を持たせた。
特長① 営業担当が商品登録&案内
1得意先ごとに「お得意先様専用ページ」を用意し、URLを知らない外部からはアクセスできないようにしている。営業担当は専用ページに、得意先企業が必要としている商品をあらかじめ登録しておいたり、その時々で企業ごとにオススメしたい商品の案内を変えることが可能。専用ページから登録商品を確認し、2クリックで購入できる。
特長② 問い合わせ項目で要望に対応
電話で営業担当が商品の案内をした後、顧客から「さっき電話でオススメしてくれた商品名なんでしたっけ?」というニーズに対応するため、ECサイト上に問い合わせ項目を設けた。そこ経由で連絡を受けた場合、すぐに営業担当者が該当商品をサイト上に登録できるようにした。
特長③ 自動送料設定
扱っている商品は多岐にわたり、メーカー直送も多い。商品のサイズや配送先に応じて、自動で送料が設定されるようにしている。
こうした機能はすべて、コマース21のECサイト構築パッケージのカスタマイズで対応。根津氏は、「要望に合わせて購入スタイルが選べる、まさにオムニチャネル型のBtoB-ECサイトが完成した」と言う。
トレードでは、BtoB-ECサイト機能によって営業担当の作業負担の減少はもちろん、顧客本位の営業活動への時間捻出、得意先企業の利便性向上といったことにつながった。今後はタイミングを見計らい、クロスセルやアップセルなどのCRMを通じてきめ細やかなサポートを続けていきたいという。