ベトナムの最新ネット通販事情~トランスコスモスベトナムからの現地レポート~

【ベトナムの最新EC事情】東南アジアでECの将来性が高いマーケットの今を解説

ベトナムは、国内外のEC企業にとって大きなチャンスのある市場です。若年人口割合の高さ、高いインターネット普及率、伸び続けるスマートフォンの普及率により、東南アジア地域でEC事業の将来性が最も高い国の1つと言えます

トランスコスモスベトナム

2020年1月27日 11:00

ベトナムは、国内外のEC企業にとって大きなチャンスのある市場です。若年人口割合の高さ、高いインターネット普及率、伸び続けるスマートフォンの普及率により、東南アジア地域でEC事業の将来性が最も高い国の1つと言えます。

ベトナムのECに関する各種統計データまとめ

現在、ベトナムのECユーザー数は3,540万人とされ、2021年にはさらに660万人増加すると言われています。拡大するECユーザー数4,200万人は、ベトナム総人口の58%を占める計算になります

ベトナムの各種統計データ
ベトナムの各種統計データ(画像はトランスコスモスが執筆した『海外ECハンドブック2019』(インプレス刊)からキャプチャ)

ベトナムEC協会(VECOM=Vietnam e-commerce Association)の発表によると、ベトナムECは複数分野で爆発的な成長率を示しています。

  • オンラインリテール分野
    2017年、数千にものぼるECサイトの売上成長率が35%増加しました
  • 決済分野
    ベトナム国家決済株式会社(NAPAS=The National Payment Corporation of Vietnam)の2017年におけるオンライン上の国内カード決済件数が2016年から約50%増加、取引額は75%増加しています
  • オンラインマーケティング分野
    2017年に複数のアフィリエイトマーケティング企業が100~200%の成長を遂げています

ベトナムのEC市場は2013年から高成長率で拡大。EC市場の規模は2013年の22億ドル(USD)から2017年には62億ドル(USD)に拡大しました。年平均成長率は20%です。

アフィリエイトマーケティング売上がEC市場規模の約15%を占めていることも興味深い数値。ベトナムローカルブランドの約80%がアフィリエイトプログラムを利用しています

オンライン販売で最も人気のある商品は、衣服・フットウェア(靴その他履物類)および家庭用品(59%)、電子機器(47%)、家電(47%)など。

ベトナム政府も関与し新たなコマースの時代を築こうとしています。ベトナムの法体系や指針、特にECに関する「政令52号」は、リテールEC市場の高成長率を後押しするものとなっています。

政令52号とは、ECと従来の小売りの公正性を確保するためのものであり、EC事業者は従来の小売り事業者と同様の法規制を遵守しなければなりません。

ベトナムEC市場で活躍する主なプレーヤー

ここからはベトナムのEC市場で活躍するプレーヤーを見ていきます。

ベトナムのECプラットフォーム「Tiki」「Thegioididong」「Sendo」は、iPriceグループが発表した「東南アジアで最もアクセス数が多かったサイトTop10」にランクイン。月平均トラフィック数ランクでそれぞれ6位、7位、8位となっています。なお、1位2位には多国籍企業である「Lazada」と「Shopee」がそれぞれランクインしています。

iPriceのデータによると、「Tiki」「Thegioididong」「Sendo」は2018年にプラットフォームを大幅刷新。ユーザートラフィック数を大きく増やし、投資も得て次のステージに向かっています。

「Tiki」はベトナムで最も急速な成長を遂げるリテール企業で、業界トップとなるチャンスが最も高いと言われています。「Tiki」の月次Webトラフィック数は2019年1月から6月にかけて大幅に増加し、2019年8月にはトラフィック数でベトナムECサイトランクの4位から2位に上昇しました(1位は「Shopee」)。

一方、東南アジア最大のECサイトであるLazadaは、2019年大幅な低迷トレンドを示しています(※「SimilarWeb」の数値より)。

「Tiki」はマーケットプレイス型のECサイト。2017年には中国の直販EC最大手の京東が出資している
「Tiki」はマーケットプレイス型のECサイト。2017年には中国の直販EC最大手の京東が出資している(画像は「Tiki」のサイトから編集部がキャプチャ)

「Sendo.vn」の月次Webトラフィック数も「Tiki」同様、2019年に入り6か月で急増し、ベトナム4位を維持しています(2019年8月時点、「SimilarWeb」より)。

これまでに8万を超える店舗が「Sendo.vn」で事業を展開し、衣服からテックアクセサリーまで500万種類以上の製品を販売。2018年には、日本のSBIホールディングスを含む投資家から5100万ドル(USD)の資金を調達しています。

「Sendo.vn」はマーケットプレイス型のECサイト。ベトナム有数のIT企業であるFPTグループの傘下企業
「Sendo.vn」はマーケットプレイス型のECサイト。ベトナム有数のIT企業であるFPTグループの傘下企業(画像は「Sendo.vn」のサイトから編集部がキャプチャ)

ランクインした企業の中で最も驚くべきプラットフォームは「Thegioididong」です。電子機器という1製品カテゴリーに特化しながら、月平均2400万ビジターを獲得したとされています(「SimilarWeb」より)。

「Thegioididong」はスマホやパソコンなどを扱うECサイト
「Thegioididong」はスマホやパソコンなどを扱うECサイト(画像は「Thegioididong」のサイトから編集部がキャプチャ)

ベトナムECトップ1位&2位はLazadaとShopee

ベトナムEC市場のトップを競うのは、複数の国で順調に事業を運営する「Lazada」と「Shopee」。

東南アジア地域におけるEC店舗のパイオニアである「Lazada」は、売上面ではトップの地位を維持。インドネシア・マレーシア・フィリピン・シンガポール・タイ・ベトナムで事業を展開し、13万5000を超える現地・多国籍セラーが、5億6000万人以上の顧客に「Lazada」でサービスを提供しています。Alibabaは東南アジアで「Shopee」の拡大に対抗するため、Lazadaに20億ドル(USD)の追加投資を実施しています。

海外向けECビジネスを実施・検討中企業は必見!

インプレスでは海外EC市場への進出を検討、進出済み企業などに向けて、世界30の国・地域のECデータを1冊の書籍にまとめた『海外ECハンドブック2019』(著者はトランスコスモス)を発刊。「世界のEC市場規模予測」「地域別EC市場データ」「30の国・地域のEC市場ポテンシャル」「越境EC市場規模およびEC利用者の推移」などを詳しくまとめています。

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