石居 岳 2020/5/19 10:00

Finatextホールディングスの子会社でビッグデータの解析・分析を行うナウキャストとジェーシービー(JCB)は5月15日、新型コロナウイルス感染拡大が続く「4月の国内業種別消費動向データ」を公開した。

4月の「EC」は前年比18.9%増、「小売」全体で見た4月の実績は同7.2%減だった。

公開したのは、4月後半(4月16日~4月30日)、4月全体(4月1日~4月30日)の速報値の一部。現在ナウキャストとJCBでは、新型コロナが消費に与える影響をより詳しく分析するため「参考系列」データを算出しており、1月後半の新型コロナウイルス感染症拡大前に比べて足元の消費がどう変化しているかも併せて公開した。

1月後半からの変化率

それによると、「総合消費指数」は1月後半比で33.3%減、4月前半の1月後半比(1月後半比で29.2%減)からさらに悪化した。

Finatextホールディングスの子会社でビッグデータの解析・分析を行うナウキャストとジェーシービー(JCB)は5月15日、新型コロナウイルス感染拡大が続く「4月の国内業種別消費動向データ」を公開
4月後半・参考系列:1月後半(新型コロナウイルス感染症拡大前)からの変化率

「サービス総合」は、1月後半比で51.0%減。4月前半の1月後半比(同43.6%減)よりも下げ幅が拡大した。連休頭を含む4月後半は、「外食」(同71.9%減)「旅行」(同95.2%減)「交通」(同54.8%減)「娯楽」(同72.1%減)「宿泊」(同93.0%減)といったレジャー消費で一段と悪化した。

一方、「電気・ガス・熱供給・水道」(同35.3%増)や「コンテンツ配信」(同23.7%増)は大幅に増加した。

「小売(財)総合」は、1月後半比10.4%減と低調が続く。ミクロ分類別では、百貨店含む「各種商品小売業」(同21.3%減)「織物・衣服・身の回り品小売業」(同33.8%減)はさらに悪化。

家電を含む「機械器具小売業」(同18.1%増)「EC」(同24.2%増)は伸びが拡大した。「スーパー」(同22.8%増)「酒屋」(同14.3%増)は引き続き好調だが、「コンビニエンスストア」(同27.9%減)は低調だった。

なお、「EC」の消費動向をより詳細に把握できるよう、今回からECの小項目も一部公開した。「業種別消費指数<小売(財)>」の「EC」の項目別では、ECモールなどの「EC:各種商品小売業」(同15.7%増)が引き続き好調。

「EC:織物・衣服・身の回り品小売業」(同33.6%増)、「EC:飲食料品小売業」(同56.3%増)などの専門ECの伸びも目立ち、家電を含む「EC:機械器具小売」(同75.4%増)は4月前半(同36.7%増)から2倍近く増加している。

前年同月比の各種数値

4月全体の本系列の比較では、「EC」が前年比18.9%増。

内訳を見ると「EC:各種商品小売業(前年同月比23.6%増)」「EC:飲食料品小売業」(前年同月比12.9%増)「EC:織物・衣服・身の回り品小売業」(前年同月比5.4%増)「EC:機械器具小売業」(前年同月比19.2%増)となっている。

Finatextホールディングスの子会社でビッグデータの解析・分析を行うナウキャストとジェーシービー(JCB)は5月15日、新型コロナウイルス感染拡大が続く「4月の国内業種別消費動向データ」を公開
4月全体・参考系列

今回はコロナ感染拡大に伴い人々の消費スタイルが大きく変化していることを受けて、JCB消費NOWのデータを使い「オンライン消費動向」に関する研究を実施。分析の結果、オンライン消費増のかなりの部分は、シニア層やオンライン消費の未経験者ではなく、若年層や過去にオンライン消費の経験のあるユーザーによるものであることがわかったという。

「JCB消費NOW:参考系列」は、クレジットカード固有の事象を要因とした数値の偏りを防ぐため、通常、カード利用者数の増減影響を除いた形で分析し、指数を提供している。通常とは違う「消費者の増減効果」を織り込んだ分析手法を用いた「参考系列データ」を全項目(総合、業種別)で算出している。

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