VR×CGの次世代型EC。没入感を演出する「VRコマース」は、実店舗、EC店舗に次ぐ第3の販売チャネルになる?
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言は解除されたものの、秋から冬にかけて第2波、第3波が来るとの予測もあり、今後も企業は「withコロナ」を見据えた事業運営が求められるだろう。
こうした状況下で、新たな販売チャネルとして注目される「VRコマース」の可能性に着目してみたい。「没入感の演出」という従来のECとはひと味違うVRコマースは、withコロナの時代、普遍的な販売チャネルになるだろうか。
CG×VRが実現する限りなくリアルに近い買い物体験
店舗の一時閉鎖や営業時間の短縮などで、リアルな接客機会が大幅に減っている。そうした機会損失をCGやVRの活用で補填できる可能性がある。
店舗デザインや設計などを行うTUG Groupは、「MiraiLab」というサービスを提供している。AI、AR、VR、チャットボット、CGなどの最新技術を組み合わせ、店頭やECで活用できる企画や仕掛け、デザインに落とし込むというものだ。
専用アプリを用意しなくても、Webブラウザベースで視聴することが可能。実際に現地を訪れなくても“まるでそこにいる”ような感覚を楽しめ、さらにシームレスにECサイトへ誘導できるので、地方活性化や観光物産などでの支援実績も多い。
素材のディティールも伝える
この動画は実店舗の利用例だが、再現性が非常に高いのがわかる。360度撮影により、実際に店内を回遊しているような感覚で買い物ができ、商品は特殊な撮影技術で最大8000%拡大に対応。Web上でもストレスなく素材や質感などをチェックできる。ECと連携しており、気になる商品があれば選択して商品ページへ移動できるようにしている。
商品点数が多い場合、購入ボタンが数多く並ぶサイトになってしまうため、デザイン性が悪くリアルな買い物体験とはほど遠くなってしまう。
実際の買い物時に商品を手に取り、パッケージや説明文を購入の判断材料とするように、サイト訪問者が商品をクリックした場合のみ、ECサイトに移動する仕掛けにしている。
プロモーション用のバーチャルタグや動画を挿入
下の動画も実店舗をベースにしたVRコマースのデモンストレーションだが、前述したものとは違い、プロモーション用のバーチャルタグを挿入した利用例となっている。
天井からぶら下がったような演出で見せる「送料無料」の案内、商品に付随している「タイムセール」のバーチャルタグは、実店舗の商品や家具を素材として生かしながら、バーチャル上での細かい仕掛けを組み合わせられるのがVRコマースならではの特徴だろう。
またTUG Groupが所有する特許技術により、球体の中心から全方位商品を一望(=プラネット型)することも可能。動画内左下に表示されているボタンを押すと、プラネット型に切り替えられる。
以下はプロモーション用の動画を挿入した利用例だ。実際に店内を訪れた際に置いてあるデジタルサイネージのイメージに近い。
バーチャルショッピングモールの再現や会員限定向けのスペシャルオファーも
上記の動画では、バーチャルショッピングモールの利用例も紹介されている。リアルな町並みをCGとVRを使って再現することはもちろん、会員限定のバーチャル店舗を用意しスペシャルオファーを提供するといった使い方もできる。
またリアルの店舗を作る前に、バーチャル空間に疑似店舗を作りECと連携させることで、店舗設計やデザインの検証を行うなどの活用方法も考えられる。
宇宙空間にバーチャルデパート?
CGとVRを活用すれば、「宇宙空間や月面にお店を構える」といいう遊び心のあるチャレンジ企画も簡単にできる。下のデモ動画は前述のプラネット型の応用例だ。
CGとVRをECと組み合わせるメリットを、TUG Groupの平井氏は次のように説明する。
買い物には利便性だけではなく、楽しいと思う気持ち、つまり「エモーショナルな部分」も必要だ。VRコマースでは、ECの利便性と、リアルな買い物ならではの「想定していなかった商品との出合い」や楽しさを組み合わせた、新しいショッピング体験を提供できる。(平井氏)
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