青汁発売から3年後に年商130億円「青汁王子」で伝説を作ったファビウス(旧メディアハーツ)の商品開発&成長秘話
EC業界で活躍する女性にフォーカスし、ネット通販(EC)に携わる経営者や担当者と売れるネット広告社代表取締役社長CEOの加藤公一レオ氏がさまざまなテーマについて対談する企画の7回目は、ファビウス(旧メディアハーツ)でプロモーション関連の責任者である江田茉莉さん。
今回の“e-女”
「商品のA/Bテスト」ともいえる月1の新商品リリース
加藤公一レオ(以下 加藤):ファビウスの企業理念を教えてください。
江田茉莉(以下 江田):企業理念というのかはわかりませんが、「すべての人を美しく」というコンセプトがあります。もともとは「すべての女性を美しく」というコンセプトだったのですが、男性のお客さまが増え、今後は幅広いターゲットへのアプローチも強化するため、1年ほど前に「すべての人を美しく」に一新しました。
加藤:ファビウスのプロモーションで、面白い取り組みや、すごいと思う取り組みはありますか?
江田:ファビウス全体としては、今まで面白いことをやってきたなと思っています。私が一番画期的だと感じたのが、月1の新商品リリースです。代理店さんたちの間でも話題になり、「次の新商品はなに?」という問い合わせも多かったです。こちらの手数が増えたということもあり、プロモーション担当としては面白かったですね。
加藤:へぇ、面白いですね。ある意味、商品のA/Bテストみたいな感じですか?
江田:そういう感じです。一種のテストマーケティングですね。
加藤:月1で新商品をリリースし、数か月で販売終了する商品もあれば、まだ残っている商品もあると。その発想は面白いですよね。
江田:現在、その施策は一旦ストップしていますが、今後また月1、多いときは月2のペースで新商品のリリースを行っていく予定です。
ペルソナがしっかりしている商品は売れる。継続は「効果の実感」に尽きる
加藤:これまでたくさんの商品を見てきて、どんな商品が売れると感じていますか?
江田:やっぱり、ペルソナがしっかりしている商品ですね。たとえば、10代後半~20代向けのスキンケア商材「エクラシャルム」は、デイリー売上は数年間ずっとTOP3に入っています。若年層の通販継続率はあまり良くないんですが、売れ続けているのはターゲットがぶれていないことが大きな要因かもしれません。逆に、ダイエット系商材はスキンケア商材に比べて、ターゲットがうまく定められていないことが多いです。ダイエットの悩みを細分化できていないまま全年代に拡散してきたことで、知名度こそ上がりましたが、一時の勢いをなくしてしまった商品もあります。
加藤:商品には売るためのいろいろな要素があるじゃないですか。ネーミング、パッケージ、ターゲット層、効果・効能、業界の売れ筋、値段など……。感覚的にどれが大事だと思いますか?
江田:一番は商品の質、その次が価格だと思っています。いかに効果を実感してもらえるかが重要で、お客さまが同じ商品を継続する理由は、ほとんどが効果を実感しているからなんです。
以前、長く継続利用しているお客さまとの座談会で、「なぜこんなに長く続けていただいているんですか?」と聞くと、「効果が良いから」と答える方が多かったです。反対に、購入をやめるときは「価格が高い」などよりも「あまり効果が感じられなかった」「肌に合わなかった」という理由が多いので、「効果の実感」に尽きると感じています。
健康食品よりも、化粧品の方が実力で勝負ができる
加藤:健康食品と化粧品の両方を扱っていますが、どちらに勢いがありますか?
江田:化粧品ですね。
加藤:それは私自身も感じていることです。ここ数年間は健康食品よりも化粧品の方が、広告効果が高かったですし、伸びている会社も多いですよね。
加藤:化粧品と健康食品のプロモーションに違いはありますか?
江田:ありますね。健康食品、特にダイエット系商材はまだまだ芸能人を起用したプロモーションが強いと感じます。一方、化粧品、特にスキンケア商材に関しては、美容ブロガーなどコアなインフルエンサーの方が、影響力があったりします。
加藤:どちらかというと、健康食品の方が、有名タレントを使ったプロモーションがうまくいくということですね。
江田:誰もが知っている有名タレントは、ダイエット商材では影響力があると思います。一方、美容(スキンケア)への関心が強い人は、自分の肌悩みや好きなスキンケアブランドなど、人によって集めている情報、信頼している情報がバラバラです。そのため、「芸能人が使っている」という訴求よりも、信頼している情報元からピンポイントでアプローチする方が刺さる印象があります。
加藤:媒体という観点で、化粧品と健康食品のプロモーションに違いはありますか?
江田:健康食品は「これを飲んだらすぐ痩せる」という商材ではないので、商品特性の伝え方が難しいと感じます。スキンケアは効果を感じていただくまでにも、塗り心地や翌朝の肌感などで、自分にとっていいものかどうかを実感しやすいので、健康食品に比べると商品特性を伝えやすいです。ダイエット系商材は、効果性を無理に伝えるような広告が出回ってしまったことで、広告媒体は健康食品全般に対して厳しくなってきていますね。
加藤:健康食品は薬と違って即効性がないので、大手メーカーが同じような商品を出してくると、信頼性の高い大手企業が有利です。その点、直接肌につける化粧品は、使った瞬間、お客さまが「自分に合っている」と思えば、会社の規模や知名度は関係ないんです。そういう意味で、化粧品は実力勝負ができると感じますね。
ネット通販には「可能性しかない」。一番の勝因は定期モデル(サブスクモデル)
加藤:今の仕事の面白さは?
江田:ネットショッピングが世の中の主流になってきている中で、ネット通販をやっているのは「可能性しかない」と感じています。当社は今、定期通販しかやっていません。定期通販に限らず、もっといろいろな売り方を考えていけるな、と思いますね。
加藤:定期通販はある意味、日本ならではのカルチャーですよね。海外の通販には意外と定期文化がないんです。最近は増えてきたとはいえ、アメリカでもまとめ売りの方が多いです。
定期通販を手がけている会社はコロナショックの影響をほとんど受けていません。売れるネット広告社のクライアントを見ても、むしろ売り上げが伸びている会社は少なくありません。このご時世だから、ネット通販が強いというのはありますが、一番の勝因は定期モデル(サブスクモデル)ではないかと考えています。
通販業界を見習って、オンラインスクール、美容室、ラーメン屋など、世の中のあらゆるビジネスがサブスク型、定期型に変えるべきだと思いますね。その点、定期通販のベースを持っているファビウスは強いですよね。
江田:おっしゃる通りですね。こういう状況でも売り上げは落ちていません。むしろ、他の業界の広告出稿が減っているので、顧客獲得単価などを踏まえると出稿しやすくなっています。
加藤:空き枠が増えているので、ネット広告の費用対効果は上がっていますね。売れるネット広告社も3~5月は過去最高の売上高を更新しました。我々のようなダイレクトマーケティングビジネスにとっては、有利な状況になってきていると感じます。
定期通販は結婚に似ている。定期のお客さまには「売らないCRM」
加藤:3年半やってきて感じる、この仕事の難しさは?
江田:顧客生涯価値(LTV)の最大化です。ファビウスに入社した当初は新規獲得がメインでした。ここ1年程で、いわゆる「定期縛り」がない売り方が主流になってきたため、LTV向上についてはよく考えさせられています。Aという商品をやめてしまったとしても、当社の顧客としてはずっとつながっていてほしいという思いがあります。同梱物やコールセンターの受け付けで、さまざまなプランをオススメする施策を行い、1つの商品を解約したお客さまに、引き続きお付き合いいただく方法を試行錯誤中です。
加藤:通販の本質って、初回申込をきっかけとして、半永久的にお客さまとリレーションをとることなんです。関係構築という点では結婚に似ていますね。ちなみに私は今“LTV20年”なんですけど(笑)。定期離脱(離婚)されないようにコミュニケーションをとり続けることが大事です。
なのに、定期に申し込んだお客さまを放置している通販会社が多過ぎます。新規のお客さまにはたくさん情報を与えるのに、定期に引き上げた瞬間に放置。淡々と毎月商品を送り続けるというパターンが多いんです。定期継続中のお客さまには、ぜひ「売らないCRM」を。同じ商品やブランドを使っているお客さまの喜びの声、購入をやめてしまったお客さまの苦労の声、会社の理念などを送って、「あなたは良い選択をしましたよ」と伝え続けることが大事なんです。
また、定期解約の一番の理由は商品が余っているから。余らせないために、日々使ってもらうためのコミュニケーションを続けていくことも大切なんです。そのあたりを強化したら、ファビウスはもっと強くなると思います。
江田:そうですね。ファビウスは月1回、新商品リリースをしていたこともあり商品数が多いので、幅広い情報をまめにお届けできるという点は強みです。
加藤:「売らないCRM」担当を1人付けたほうがいいですよ! ファンになってもらうことに特化して、その人が送るメールにはURLを載せないようにするんです。
江田:商品情報へのリンクは載せず、テキストのみにしてコミュニケーションに特化するんですね。ファビウスもメルマガやLINEを積極的に発信していますが、売り上げを目的とした内容が多いです。
加藤:もちろんプロモーションのためのメルマガやLINEは引き続きやるべきですが、それとは別に、コミュニケーションに特化した発信を行えばファンが増えると思いますよ。
江田:ぜひやってみたいです。
通販の本質は、お客さまといかに半永久的にコミュニケーションをとっていくか
加藤:入社して3年半で感じた消費者の変化はありますか?
江田:お試し感覚で購入して、初回で解約するお客さまが増えていますね。単品リピート通販自体が主流になってきていることで、初回価格のみが安い定期通販に対して、悪い印象を持っているお客さまが増えているのも事実だと思います。それを払拭するために、お客さまを不安にさせず、売り上げも伸ばせるオファー設計はどんどんテストしていきたいと思っています。
加藤:ネット通販が成長していく中で、消費者が求めていることについてどう思いますか?
江田:お客さまとのコミュニケーションはすごく求められていると思います。会話が苦手という方が増えているので、特にSNSなどを活用したコミュニケーションが重要になりますよね。会話は苦手だけど、知りたいことを質問したいというニーズはあると思うので、堅苦しいメールではなく、気軽に使えるSNSでやり取りできる形が理想です。
加藤:確かに。お客さまといかに半永久的にコミュニケーションをとっていくかが通販の本質ですね。
個人ネットショップが増える中、ネット通販企業としての本質的な強みの確立が課題
加藤:今後のEC業界についてどう感じていますか?
江田:最近はBASEなどを使った個人のネットショップが増えています。それに伴い、個人ネットショップのSNSへの広告出稿が増えています。ネット広告は誰でも出稿できるのが良いところではありますが、ファビウスのようにそれを本業としてやってきた企業にとっては、個人の参入でさらに競合が増えることになります。これまで「競合」というと同じような通販会社のことを指していましたが、これからは必ずしもそうではなくなり、広告の枠取りなどが厳しくなるのではないかと思っています。
そんな中で、ネット通販企業としての本質的な強みを確立していかなければならないと考えています。これまでは競合他社の方々との交流はあまりできていませんでしたが、同じネット通販企業同士、意見交換をする機会も増やしていきたいです。
「青汁王子」は1つの市場を創った
加藤:年商130億円という旧メディアハーツの伝説的な伸びの要因は何だったのでしょう? 一般的には、「青汁王子が有名だから売れたんでしょ」というイメージが強いですが、そうではない気がしています。ちなみに僕は「通販王子」と呼ばれています(笑)
江田:……(笑)。そうですね。「青汁王子」が有名になる前から「すっきりフルーツ青汁」は売れていました。「昔ながらの青汁が若い女性には売れていない」という点に着目し、「青汁を甘くして飲みやすくすれば、若い女性にもウケるのでは」というマーケティング力と、通販事業を始める前から培っていたネット広告の活用が勝因だったと思います。
加藤:「1つの市場を創った」という印象はありますよね。青汁は50年前ぐらいからありますけど、若い人向けで新しい市場を創ったというのは、いろいろなEC企業にとって参考になりますよね。
江田:私自身も今後は、「新しい市場を創る」という発想を身に付けていきたいです。
加藤:売れるネット広告社のノウハウは、再現性があり、同じノウハウを横展開できるので、どのクライアントも同じプロモーションをしています。だからこそ商品の違いが明確に見えます。やはり商品力は大事ですね。ちなみに、売れるネット広告社についてはどんな印象を持っていますか?
江田:ファビウスに入社してから、売れるネット広告社のセミナーには3~4回ぐらい参加しています。「完了画面でアップセル」など「売れるネット広告つくーる」の新機能リリースを聞くのが本当に楽しみです。売れるネット広告社のノウハウは、納得しかないロジックなんですが、「何で今まで思いつかなかったんだろう?」と思いますね。特に最近は、費用対効果が上がる新機能、通販会社からの改善要望を踏まえた新機能が追加されているので、とても助かっています。
加藤:他のツール会社では、エンジニアが集まって「こんな機能良くない?」「いいと思います!」といった感じで話し合って機能開発をするんですが、売れるネット広告社ではアイデアが思いついたら必ず、A/Bテストを実施。10社以上で費用対効果が上がったアイデアを「売れるネット広告つくーる」の新機能として実装するんです。一番の違いは他社が仮説ベースで、売れるネット広告社は『事実ベース』という点です。10社以上で実績を上げたノウハウを“最強の売れるノウハウ”として蓄積・共有し、「売れるネット広告つくーる」に全部乗せ ています。
江田:面白いですね。売れるネット広告社のノウハウはとても画期的なので、「誰がどうやって考えているんだろう」と気になります。
加藤:1000回以上のA/Bテストを繰り返しているので、実績では日本一の自負があります。「売れるネット広告つくーる」には、数百億円分のノウハウが詰まっているんです。
自分たちの手で売れるスキームを作っていきたい
加藤:次の1年でチャレンジしたいことはありますか?
江田:商品企画力を 高め、どんなにニッチな悩みでも品質の高い商品を増やし、多くのお客さまの悩みにお応えしていきたいです。7月で会社が生まれ変わって1年が経ちます。会社の構成も建て直し、ここからが勝負だと思っているので、自分たちの手で売れるスキームや商品を作っていきたいです。
加藤:EC業界の未来にどう関わっていきたいですか?
江田:この業界に関わって3年ほどですが、トレンドや消費者行動の移り変わりの速さを日々感じています。プロモーション力だけでなくマーケティング視点を広げ、新しい通販モデルを作っていきたいです。
加藤:本日は、素敵な話をたくさんありがとうございました!
対談を終えて
ネットマーケティング未経験でファビウスに入社され、今ではマーケティング部プロモーション課の責任者として活躍されている江田さん。これからチャレンジしたいこともたくさんあり、「これからのネットショップ業界は、仕事を楽しみながら輝く女性に支えられていくんだろうな」と思わせてくれました。江田さんとファビウスの今後に注目です。
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