加藤 公一 レオ 2020/9/28 8:00

売れるネット広告社の代表取締役社長CEOの加藤公一レオがEC業界で活躍する女性にフォーカスし、ネット通販(EC)に携わる経営者や担当者とさまざまなテーマについて対談する企画。8回目は株式会社オルトの鎌谷典枝さんの登場です。

今回の“e-女”

株式会社オルト 鎌谷典枝(かまや のりえ)さん
株式会社オルト 鎌谷典枝(かまや のりえ)さん
大学卒業後、マスコミ、公共団体、商社、化粧品通販会社などで販売促進やマーケティング業務に携わる。化粧品通販会社では主にDMなど会員向け紙媒体の企画・マーケティングを担当。今後の通販業界におけるECの可能性に大きな魅力を感じ、2018年にオルト株式会社に入社。直販部リーダーとして、Web広告やCRM業務に携わっている。

商品開発のモットーは「今までにない商品を作る」

加藤公一レオ(以下、加藤):御社の企業理念を教えてください。

鎌谷典枝(以下、鎌谷):オルトの企業理念は「革新」「品質」「快適」の3つです。「革新」というのは今までにない商品を作ること。食品を扱っていますので、「品質」には安全性の確保は絶対としつつ、効果性も保証するという意味合いが込められています。「快適」では、お客さまにとって快適な企業であるだけでなく、社員にとっても働きやすい会社であることをめざしています。

社名の「オルト」は、ギリシャ語で「まっすぐ・正しい」という意味です。ノーベル生理学・医学賞を受賞したロシアの微生物学者メチニコフ博士が提唱した、健康長寿のための生活法「ORTHOBIOS(正しい生き方)」に由来しています。

オルトの企業理念

加藤:御社のBtoCの通販売上はどのくらいの規模ですか。

鎌谷:当社はOEMから始まった会社ですが、消費者向け直販の2019年の通販売上は約2億円でした。2018年は1億円に満たなかったのですが、2019年6月に「まついくサプリ」をリニューアルして売り上げが伸びました。ちょうど2018年12月に「売れるネット広告つくーる」を導入し、2019年から通販事業を軌道に乗せることができました。

加藤:御社でいま一番売れている商材は「まついくサプリ」ですか?

鎌谷:はい。「まつげケアのサプリメント」という非常に特徴的な商品で、商品名は「バンビウィンク」といいます。

バンビウィンク

加藤:昔からまつげに塗る美容液は結構ありましたけど、サプリは珍しいですよね。

鎌谷:オルトの商品開発の「今まで市場にないものを出す」という方針に基づいて、攻めた感じのネーミングも含め、ユニークな商品を世に送り出しています。「飲むまつげケア」というのは、世の中になかったものだと思います。一時期似たような商品が出ていましたが、今はこの商品だけです。

加藤:御社ならではの面白い取り組みはありますか?

鎌谷:すごく真面目な会社なので、商品開発をとにかく忠実にやろうとするところが特徴です。OEM事業では他社が断った案件を受けることも多いです。「絶対にあきらめずにクライアントのオーダーに応える」ということを大切にしているので、ブランド果汁をオリジナルで作るなど、素材から調達することを得意としています。そういうことができる会社であるということをもっと伝えていきたいですね。

加藤:積極的にサプリメントを出し始めたのは最近のことですか。

鎌谷: Webに注力し始めたのは2013年からです。以前は新聞広告中心に、マルチビタミンや黒にんにくといった健康サプリメントの直販を行っていたのですが、2011年から「新美容カテゴリー」という位置づけで新しいタイプのサプリメントの開発を始めました。ちなみに、黒にんにくも素材を見つけたのは当社が最初なんです。

加藤:そうだったんですか! 黒にんにくの市場もけっこう拡大しましたよね。

鎌谷:当社の「やかないサプリ」は、紫外線対策サプリです。今では同カテゴリーの商品が増えて消費者にも浸透していますが、発売当時はまだ飲む紫外線ケア商品はありませんでした。

また、筋肉をつけるためのプロテインは世の中にたくさんありますが、「アイムプロテイン」は免疫力に着目したプロテインです。1袋が約1,400円、1か月分は定価42,000円で販売しています。飼育環境にこだわった牛乳を原料にしていることからこのような価格設定になっていますが、最近は新型コロナの関係で問い合わせが非常に増えています。

アイムプロテイン

主役は商品。パッケージに社名は入れない

加藤:御社について面白いと思うのは商品開発です。最近はマーケティングパワーで売る通販会社が増えています。ほとんどの通販会社は商品開発をOEMに外注し、マーケティングパワーを駆使して売っていきますが、御社はOEM出身で「商品を開発して品質を担保する」というのがもともとのDNAなので、そこは強みですよね。

鎌谷:そうですね。当社は企画・開発を自社で行っているので、企画の差別化がポイントになります。新商品の開発段階で必ず社員が実際に商品を試し、効果が見られたものだけを商品化しています。マーケティングの梅澤伸嘉先生が提唱する「今までにない商品の市場を作って10年間ナンバーワンシェアを維持する」という考え方に基づいて商品開発を行っています。

加藤:商品パッケージにも社名を入れないんですね。

鎌谷:むしろ商品カテゴリー名を前に出しています。「やかないサプリ」はカテゴリー名であると同時に商品名でもあります。当社の商品開発は「今までにない商品カテゴリーを作る」ということから始まります

加藤:1つのブランドにぶら下がった商品をいろいろ作るというよりは、「新しいカテゴリーを作る」という意味も込めて、あえて社名を表に出さないという判断なんですね。

青汁を買った人がにんにく卵黄も買うかというとそうでもなく、健康食品は大手でもそれほどクロスセルがあるわけではないので、実は会社名はあんまり関係ないんですよね。「まつげを伸ばしたいからこれを飲む」「免疫力を上げたいからこれを飲む」など、消費者は個別の悩みや目的に応じて健康食品を選ぶので、社名を表に出すことはマストではないと思います。

鎌谷:そもそも、ずっとOEMをやってきたので、社名を表に出すという文化がないんです。オルトはOEMとして有名な商品も開発している会社ですが、社名よりも商品が主役ですね。

売れるネット広告社の代表取締役社長CEO 加藤公一レオ

ネットマーティングの面白さと難しさ

加藤:もともとはOEMの仕事をされていたんですか?

鎌谷:オルトに入社してまだ2年で、その前は別の通販会社に11年ほど勤務していました。以前の会社では紙媒体のマーケティングを担当していました。これからの時代、ネットマーケティングにさらなる可能性を感じて「新規顧客をネット広告で獲得したい」という気持ちがありました。そんな時に紹介でオルトに出会ってチャンスだと思い入社しました。

加藤:どんなところに面白さを感じていますか。

鎌谷:紙との比較でいうと、紙媒体の場合、DMの開封率などわからないことも多く、「結果がよかったから開封率も高かったはず」と推測するしかないことが多々あります。不確定要素が多い紙に対し、ネットの場合はもっと詳細なデータがとれるところが面白いですね。紙との違いを感じるのは、反応が早い分、コンテンツの消耗が早いところです。

加藤:それはバナーなどの広告原稿ですか? ランディングページですか?

鎌谷:両方ですね。ランディングページは2か月に1回程度のペースで微修正していましたが、微修正しすぎて全体のバランスが崩れてしまったので、「バンビウィンク」のランディングページは近々大幅リニューアル予定です。

加藤:私の経験則では広告原稿はすぐ消耗しますが、それに比べるとランディングページの消耗は若干遅いです。頻繁なランディングページのフルリニューアルはおすすめしません。当社の大手クライアントでも、同じランディングページをベースに10年以上使い続けている企業もあります。フルリニューアルの予定があるということなので、今後はそれをベースにA/Bテストを繰り返して最適化していった方が良いですね。

株式会社オルト 鎌谷典枝さん

マスク時代ならではのマーケティング

加藤:ECを担当するようになってからの2年で変化を感じることはありますか。

鎌谷:やはりコロナの影響が大きいですね。

加藤:御社にとってはプラスですか?

鎌谷:マイナスですね。外出しなくなることによって、消費者は外見を磨こうという前向きな気持ちよりも、防衛心理が強くなります。「病気にかからない」という意味での健康や、今どうしても必要なものに目が向きがちになるようで、美容サプリメントの広告は苦戦しています。40~50代くらいの主婦がメインターゲットなので、特に不安感がマイナスに作用しているようです。

加藤:私だったらどうするかと言うと、「マスクの時代だからこそ“まついく”」!

鎌谷:確かにそれはアリですね! マスクで目元しか見えないですし、外に出ない期間があるからこそ、ゆっくり時間をかけてまついくができます。サプリメントは身体の内側からの変化が現れるまで、3か月間ほどは飲んでいただきたいです。

加藤:「こんな時だからこそじっくり育てましょう」ですね。そういう切り口のA/Bテストも良いかもしれません。

鎌谷:それはやるべきですね。

加藤:うまくやればInstagram広告とも合いそうです。「バンビウィンク」なら、オーガニックマーケティングもいけるような気がします。映える写真を載せるだけで、広告出稿しなくても宣伝になります。ネタによるんですよ。

たとえば、「マスク美人」みたいなInstagramページを作っていろんな人に投稿してもらうんです。ただ商品パッケージをアップしても誰もフォローしませんが、「マスク美人」を募集して1か月に1回コンテストしてナンバーワンを決めるとか。

人が登場するアカウントはけっこう人気があります。私は筋肉系が好きで色々フォローしているんですが、筋肉系の人って毎日筋肉をアップしているだけでフォロワーが3万人くらいいるんです。それを考えると、「マスク美人」を切り口にすればフォローが集まりそうな気がしますけどね。平常時であれば「目元美人」ですが、今だからあえて「マスク美人」で。

鎌谷:すでにInstagramのアカウントはありますが、今は商品写真が中心です。「#マスク美人」の投稿、1.5万件もありますね!

加藤:ランディングページも「マスク美人」のコンセプトでテストしてみるといいかもしれないですね。

鎌谷:面白いですね。考えてみたいです。

売れるネット広告社の代表取締役社長CEO 加藤公一レオ

「100%確実性のある広告」を求めた結果がA/Bテスト

加藤:御社ではA/Bテストはたくさんされますか。

鎌谷:ヒートマップに基づいたランディングページ分析などはやっていますが、A/Bテストはまだあまりできていません。

加藤:私も以前はチラシのマーケティングをやっていましたが、ネットの一番の面白さは、A/Bテストの早さとわかりやすさ。そこにハマって、やり続けて売れるネット広告社を創業したという経緯があります。

鎌谷:PDCAを繰り返すA/Bテストはすごく地道な取り組みなので、「A/Bテストをやろう」と言うのは簡単でも、実際にやり続けてデータを蓄積している御社はすごいと思います。

加藤:20代の頃の経験で、トラウマのようになっているものがあります。会社員時代にチラシやテレビCMといったオフラインのイメージ広告をガンガンやって、結果的にクライアントを倒産させてしまったことがありました。その経験から「確実性のある広告を作りたい」と模索するようになりました。広告って、当時はギャンブルだったんですよね。

鎌谷:そうですよね。私もすごくそれを感じていました。

加藤:「いかにして100%確実性のある広告を作るか」と考えたときに、その答えがA/Bテストだったんです。ネットだと100%同じ条件でA/Bテストができるので「これだ!」と思って、「日本一A/Bテストをしよう」とサラリーマン時代から決めてずっとやってきました。

株式会社オルト 鎌谷典枝さん

10社で勝ったノウハウは1000社でも勝つ

加藤:当社が大切にしているのは再現性です。ずっとダイレクトマーケティングをやってきてわかっているのは、10社以上で売り上げが伸びたノウハウは、500社でやっても1,000社でやっても同じ結果が出るということです。やっぱり強いものは強いんですよね。

当社がコンサルティング契約を結んでいるクライアントのROAS(広告費用対効果)を落としたことはありません。それはある意味当たり前で、最初から“最強の売れるノウハウ®”を全部乗せしているので、自然と広告の費用対効果があがるんです。言ってみれば東大受験のカンニングシートを提供するようなものですね。

売れるネット広告社で、自分が理想とする広告の形が作れたなと思っています。10年前、20年前は100%確実性のある広告はありませんでした。それを作れたというのが、当社の存在意義だと思っています。

鎌谷:人間の性質のようなものは変わらないと感じます。例えば「ボタンが2つ並んでいたらこちらを押す人が多い」という法則のようなものは必ずありますよね。

加藤:そうなんです。そういうのって変わらないんですよね。

鎌谷:パッケージデザインなど変えた方が良いものもありますが、普遍的なものもあります。変わらないものは上手に取り入れていきたいと思っています。

加藤:サイトデザインやパッケージデザイン、コンセプトなどが違っても、共通する王道というのはあります。例えば、ワンステップの場合「購入する」より「申込む」、ツーステップの場合「サンプル」よりも「モニター」のほうがレスポンスが高い。それって人間心理なんですよ。

鎌谷:ちょっとしたことですごく変わりますよね。ネットはそういったところがすごく楽しいです。紙のA/Bテストだと1回結果がわかっても次に実施できるのが1か月先だったりしますし、費用も膨大になります。

加藤:今後は月に2つぐらいはA/Bテストをやっていくといいと思います。リスクが少ないですし、どんどんノウハウが溜まっていきます。

鎌谷:御社は「この施策で〇%上がりました」と色々なA/Bテスト結果を教えてくださるので、当社としても過去の実績に基づいた施策を強化していきたいと思っています。

売れるネット広告社の代表取締役社長CEO 加藤公一レオ

「3か月ごと定期」でアップセル率が30%に

加藤:売れるネット広告社や「売れるネット広告つくーる」をどう評価されていますか。

鎌谷:ものすごくありがたいと思っています。すべてのキャンペーンの効果が明確にわかるので、スピード感を持って個別に改善することができ、コンバージョン率が上がりました。

加藤:最近特に成功した施策はありますか。

鎌谷:「確認画面でアップセル」を活用した「3か月ごと定期」オファーです。定期商品の平均アップセル率が約30%になりました。定期ではなく都度購入の商品では、「単品10%オフから、3個セットなら30%オフ」というオファーを出していますが、そちらはアップセル率が約60%になっています。確認画面でのまとめ買いオファー施策がぴったりハマった結果です。

加藤:そのアップセル率はすごいですね。当社のクライアントの多くは送料を無料にするんですが、御社はどのようなオファーにしているんですか?

鎌谷:割引率の変更です。通常の定期価格は定価から20%引きですが、3か月ごと定期にすると33%の割引になります。「確認画面でアップセル」の実施前とはアップセル率が全然違います。しかもその場でのアップセルだけでなく、DMの引上率にも影響しているように思います。事後引上のDMを送っているのですが、確認画面で一度オファーを見て記憶に残っているからか、DMのレスポンスも6%程度あります。

加藤:DMのレスポンスが1%を切る通販会社もあるので、6%は良い数字だと思います。

鎌谷:最初は1か月分しか買わなくても、DMを見て3か月ごと定期を申し込んでくれるのは、確認画面で一度見せている効果が大きいのではないかと思います。「売れるネット広告つくーる」導入前は、それほどのレスポンスはありませんでした。「3か月ごと定期」オファーによって、LTVも約3倍になっています。

「3か月ごと定期」

加藤:「アンケートランディングページ」はまだお試しでないそうですが、最近、30件~40件の当社のクライアントで実施しましたが、ほとんどのクライアントで平均すると倍くらいコンバージョン率が上がっています。あれってギミックなんですよね。売れるネット広告社式の似たようなランディングページが増えているというのもありますし、消費者も「初回980円」といったオファーに慣れてきています。また、あまりにも安いオファーに対して怪しいと感じている人も多いです。

そこで、あえて「アンケートに答える」というハードルを追加して「4問のアンケートに答えてくれたら980円にしますよ」というロジックにすることで、クライアントによっては2倍、3倍レスポンスが上がります

株式会社オルト 鎌谷典枝さん

消費者を幸せにするECに貢献したい

加藤:消費者が求めていることについて、何か感じていることはありますか。

鎌谷:情報も商品も本当に多くて、選択肢がありすぎて選ぶのが難しい時代です。だからこそ、本当にいい商品、安心・安全、当社のテーマである健康は、今後ますます求められていると思います。健康は、情報とお金で得ていかなければならない時代だと思っていますので、消費者の注目も集まっていると感じます。

加藤:今後チャレンジしたいことはありますか。

鎌谷:今後ますます健康が大事になり、注目される分野なので、新しい市場で必要とされる商品を開発し、必要としている方に届けていきたいです。ECはどんどん快適になっていると思うので、これからもどんどん快適な環境を提供して、消費者を幸せにするECに貢献していきたいと思っています。

加藤:本日は、素敵なお話をたくさんありがとうございました!

対談を終えて

OEM出身で、これまで世になかった独創的な商品を世に送り出しているオルトさんの商品開発に対する真摯な姿勢がとても印象的でした。そして、長年紙媒体のダイレクトマーケティングを手がけられ、最近になってネットの世界に飛び込まれた鎌谷さんの好奇心と前向きさ。「持ち前のチャレンジ精神で新しい施策に取り組んでいけば、商品力とあいまって、オルトの通販事業はもっともっと伸びていくのでは」と、大いなる可能性を感じました。

売れるネット広告社の代表取締役社長CEO 加藤公一レオ(左)株式会社オルト 鎌谷典枝氏(右)

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