再生素材「RENU」を使用した置き配バッグ「OKIPPA」の製造開始。神奈川県相模原市や愛知県一宮市に無料配布も
Yper(イーパー)は、伊藤忠商事が展開する循環型素材ブランド「RENU(レニュー)」の再生ポリエステル素材を使用した置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」の製造を開始し、2020年内に順次提供すると発表した。
宅配物の非対面受け取り促進や再配達削減、環境負荷低減のため、「RENU」を使用した「OKIPPA」を神奈川県相模原市と愛知県一宮市に無料配布する。
自治体との連携を強める「OKIPPA」
全国初の「RENU」を使用した「OKIPPA」を導入した相模原市
神奈川県相模原市は「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用し、「RENU」素材を30%使用したオリジナルデザインの「OKIPPA」を市内5000世帯に無料配布する。対象者は相模原市内在住者。応募期間は第1期が2020年11月1日~11月3日、第2期が2020年12月1日~12月31日まで。各期2500世帯ずつ、抽選で決定したモニターに配布する。
相模原市は2020年に「第3次相模原市 環境基本計画」を策定。2020年7月にはSDGs未来都市に選出されており、啓発活動の一環として宅配便の再配達削減にも積極的に取り組んでいる。
「OKIPPA」は製品製造段階から環境負荷の低減を見込める。「OKIPPA」の配布、新型コロナウイルス感染拡大防止につながる非対面受取、再配達削減による環境負荷低減をめざす。
再配達削減と環境負荷を考慮した一宮市
愛知県一宮市でも「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用し、30%「RENU」を利用したオリジナルデザインの「OKIPPA」を3000世帯に配布する。対象者は一宮市内在住で、調査アンケートに協力できる世帯。応募期間は2020年11月1日~12月21日まで。
一宮市では2001年4月以降、市独自の地球温暖化対策として「エコアクション一宮」を策定し、温室効果ガスの削減に取り組んでいる。
再生ポリエステル素材「RENU」とは
衣料品の生産時に発生する端切れや、使用済みのポリエステル素材の衣料品などを原料とする再生ポリエステル素材で、環境配慮型リサイクル素材。伊藤忠商事がファッション課題を解決し、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現をめざすプロジェクトの第1弾として展開された。
置き配バッグ「OKIPPA」とは
不在時や在宅中に非対面で荷物を受け取れる吊り下げ式簡易宅配ボックス。玄関ドアノブに設置でき、設置工事が不要。2018年9月の販売開始から、2020年10月8日時点で全国15万世帯で利用されている。「OKIPPA」アプリと連動することで、配送状況の確認や盗難補償への加入が行える。
再配達と衣料廃棄2つの課題を解決する「OKIPPA」
現在の「OKIPPA」はメインのバッグ部分を通常のポリエステル100%で製造している。ポリエステル素材の使用済衣料品などを原料とする再生ポリエステル素材「RENU」を使用して「OKIPPA」を製造することで、石油をはじめとする化石燃料の使用量と衣料廃棄量の削減につなげるという。
現在でも破損した「OKIPPA」や、住環境の変化にともに不要になったバッグの回収を行っているが、今後は回収品を再生ポリエステルに戻し、再生素材100%の「OKIPPA」バッグ製造・回収・再利用をめざす。
2018年9月以降、Yperは再配達問題の解決を目的として、「OKIPPA」の普及に注力してきた。最近では、新型コロナウイルスの影響によるEC需要の増加や非対面受取ニーズから「OKIPPA」導入事例が増加しているという。過去にYperが行った大阪府八尾市の実証実験では再配達率を7割削減し、配送員の労働環境改善にもつながるという結果が出ている。