ECサイトのアクセス解析から売上アップを実現するために押えておくべきユーザー行動9ステップ+基本指標+公式まとめ
広告などお金をかけずに売上アップを実現する近道がECサイトの改善。訪問した見込み客はどのページで離脱しているのか、どのような理由で離脱しているのか……。こうした仮説、検証、改善といったアクションに欠かせないのがアクセス解析です。ECサイトの改善に直結するアクセス解析をきちんと理解するために、ユーザー行動、アクセス解析レポートの基本指標、公式まとめを押さえることが重要となります。この記事では、こうした基本情報に加え、時間と手間がかかるアクセス解析レポート作りを劇的に簡素化できるアクセス解析レポートの自動化方法も紹介します。
ECサイトにおけるユーザー行動9ステップ&押さえておくべき公式
一般的なECサイトにおいて、訪問した消費者が商品購入に至るまで、約9ページを移動します。「トップページ」→「カテゴリページ」→「商品詳細ページ」→「カート内確認ページ」→「ログインおよび会員選択ページ」→「情報入力ページ」→「届け先指定・支払い方法指定ページ」→「注文確認ページ」→「決済完了ページ」といったページ移動です。
消費行動が大きく変わり、商品名検索などで商品詳細ページからカート内に移動するといったケースも増えています。上記の消費行動は一般的な消費行動のステップとして押さえておいてください。
EC業界では「ECビジネスの公式」の1つとして、コンバージョンレート(CVR)を算出する計算式「CVR(%)=購入件数 ÷集客数(セッション)×100」があります。この公式で1つ留意したいのが、ECサイトに訪問してから商品購入に至るまでのステップが考慮されていないことです。
スマートフォンやPCの使い分け、消費者のリテラシー向上などによって、公式から算出される数字ではわからないことが増えています。そのため、公式から算出した数値に加え、消費者がECサイト内でどんな動きをしているかをチェックしていくことが重要となります。
上述した消費行動のステップを踏まえて、ページごとの離脱率を把握し、離脱率の多いページのデザイン、ユーザビリティ改善といった改善行動が求められるようになっています。
離脱率を把握するためのポイント
EC業界で長らく利用されている「受注金額=集客数(訪問数(セッション))×転換率(CVR)× 客単価」という公式。
消費行動が多様化する現在、この公式を活用し、ECサイトを改善するには情報は不十分と言えるでしょう。訪問数をより具体化する必要があるのです。そこでECサイトの改善を実現するために押さえておきたいのが以下の公式です。
「受注金額=(訪問数-直帰数-途中離脱数)×客単価」
訪問数は「直帰数」「途中離脱数」「購入数」に大別されます。この訪問数を最大化するにはどうすればいいのか? 「直帰数」「途中離脱数」を減らすアクションを行うことです。
ただ、「直帰数」「途中離脱数」を減らすといっても、「どのページで」「どんな理由で」離脱しているのかを把握しなければ改善策を打つことは難しいですよね。訪問者の購入までの流れから、離脱ポイントを把握する必要があります。
この各ページの「直帰数」「途中離脱数」を把握し、改善策を考えるために重要となるのがアクセス解析と、その数値をまとめたアクセス解析レポートなのです。
サイト改善を行うために抑えておくべき解析指標
Google Analytics(GA)を使ってユーザーの訪問状況や行動を把握するために押さえておくべき指標を以下に記載しました。
ECの公式を活用するにもこの指標を理解しておかなければ、正しいサイト改善を行うことはできません。把握すべき指標の定義を理解し、公式などを通じて得た数値から正しい改善策を導くことが重要になるからです。
以下の指標は、月額2000円から利用できるECサイトのアクセス解析レポート「DeeBoard for EC」を提供するディーテラーの解説文を引用したものです。
・PV
Webページが表示された回数のことです。
・セッション(訪問数)
ユーザーがWebサイトを訪問してから離脱するまでの一連の流れ(≒ サイトに入ってからサイトを出るまで)です。Googleアナリティクスでは、同一ユーザーでも30分以上操作しなかった場合、次のアクションが新規のセッションとなるなど、定義は使用するアクセス解析ソフトによって違うため、PVやUUとはこの点が少し違います。基本的にはPVよりも少なく、UUよりも多くなります。
・ユーザー(Unique User)
ユニークユーザー数、つまりそのWebサイトに訪問したユーザー数のことです。具体的には、指定した集計期間に、サイトへ訪問した人数から重複を除いた人数のことです。
・直帰率(bounce rate)
Webサイトに訪問したユーザーが、入口となる最初の1ページだけを見てサイトから離脱してしまう割合のことです。直帰率の高いページはユーザーに対して有益な情報を提供できていない可能性があります。主要入口ページの直帰率が改善されれば、1人あたりのPVが増え、サイト全体のPVが増加する可能性があります。ただし、「1ページのみでユーザーの目的が達成される」ページであれば、直帰率が高くとも問題視する必要はありません。
・平均セッション時間
ユーザーの1回のサイト訪問における滞在時間の平均です。これが高い場合、ユーザーが長い時間サイトに留まってくれていると言えるため、多くの場合プラスに捉える指標です。ただし、ユーザーがサイトで迷子になっている可能性もあるため、必ずしもプラスではありません。また、Googleアナリティクスでは各ページの滞在時間は「当該ページの閲覧開始時刻」と「次に閲覧したページの閲覧開始時刻の差」で計算されるため、最後のページは滞在時間が計測されない点に注意してください(滞在時間 = 0と計算される)。
・ユーザーあたりセッション
特定の期間内に「1ユーザーが平均何回サイトに訪れたか」の指標です。この数値が低い場合は、再訪問したくなるコンテンツを制作し、メルマガやプッシュ通知、ソーシャルメディアによる情報発信などのコンテンツ改善+集客施策が必要となります。集客施策だけを行っても、一時的に数値が回復するのみとなる可能性が高いため、コンテンツ改善 → 集客施策の順番で対応することを推奨します。
・セッションあたりPV
「1回の訪問で平均何ページ見たか」の指標です。この数値が低い場合は、ユーザーが最初に訪問するLP(ランディングページ)のナビゲーションを見直したり、関連するコンテンツへの導線を加えたりすることが対策として挙げられます。
・収益
売上金額のことです。この値には、商品の金額以外に送料や税金などを計算に含める調整額が設定されている場合があります。
・注文数
決済が実行された数(購入回数)のことです。Googleアナリティクスでは「トランザクション数」と表示されます。ECサイトのコンバージョンと考えてください。
・平均注文額
1回の注文あたりの平均収益のことです。
・数量
購入された商品の数のことです。
・商品数/注文数
1回の注文で購入される平均商品種類数のことです。この値が大きいほど、1度の注文で多くの種類の商品が購入されたと言えます。同じ商品を複数購入した場合は、1カウントとなります。例えば、1度の注文で「リンゴ 2個」「バナナ 2個」を購入した場合、商品数/注文数は「2」になります(数量は4)。
・注文率
注文につながったセッションの割合のことです。Googleアナリティクスでは「eコマースのコンバージョン率」と表示されます。ECサイトのコンバージョン率と考えてください。
・カート追加数
商品がカートに追加された回数のことです。1回のカート追加時の商品の数量は考慮されません。Googleアナリティクスでは「商品がカートに追加された回数」と表示されます。
・商品注文数
商品が購入された回数(=注文数、決済数)のことです。1回の注文時の商品の数量は考慮されません。Googleアナリティクスでは「商品の決済回数」と表示されます。
・カゴ落ち率
商品がカートに追加されたにも関わらず、購入に至らなかった割合のことです。この数値が高い場合、「①送料や手数料の見直し」「②アカウント作成なしで決済させる」「③購入完了までのプロセス簡略化」「④決済手段の拡充(ペイメントサービスの導入等)」「⑤合計金額を分かりやすく提示する」「⑥クレジットカード情報を入力するに足る信頼性の訴求」などの対策が考えられます。特に①~③は、カゴ落ち率に影響する上位の要因です。
レポートをちゃんと作りたいけど……現場の現実
ECサイト運営におけるアクセス解析は、一般的なWebサイトよりも複雑です。把握すべき指標が増え、アクセス解析レポートを作るための時間や手間がかかってしまうのです。
「指標をGAで確認する作業がめんどくさい」……。こうした感覚を抱いているECサイト運営担当者は少なくありません。
GAの管理画面に毎日アクセスし、「アカウントを選択」→「プロパティとビュー選択」→「レポート画面表示」→「レポートの種類選択」→「指標とディメンションと期間の設定」だけでも、数分の時間が必要となります。これを毎日行う作業時間が「もったいない」と感じるマーケターも存在しています。
そもそもGAの操作が「わからない」「あまり理解していない」というECサイト運営担当者も少なくありません。商品開発、サイトの更新、受注処理、顧客対応……。こうした業務に追われ、GAを使いこなして正しい改善策を導こうとするアクションを採れないEC企業が多いのも事実です。
担当者の「めんどくさい」「わからない」「非効率」を解決、アクセス解析レポートを自動化する方法がある
現場のECサイト運営担当者が抱えている悩みや課題を解決するアクセス解析レポート自動化ツールがあるのをご存知ですか?
デジタルマーケティング支援のディーテラーが提供する、GAの重要指標をシンプルにまとめたアクセス解析レポート「DeeBoard」のECサイト版「DeeBoard for EC(ディーボード for EC」)」です。
「Google データポータル」で作成されたアクセス解析レポートで、GAのアカウントと連携すると、タグを設置することなくすぐに利用することができます。
「DeeBoard」はディーテラーの広告運用担当者が普段の業務におけるアクセス解析レポート作りにかける時間や手間を解消するため、自社用に開発したアクセス解析レポートツール。作業にかける時間を減らすことで、担当者の業務効率化、モチベーション向上などにつながったそうです。
こうした開発背景があるため、「DeeBoard」は月額2000円で全機能を利用することが可能。カスタマイズは1万円から対応しています。
ECのアクセス解析レポートを自動化する「DeeBoard for EC」の特徴
「DeeBoard for EC」は、「ECサマリ」「EC売上分析」「EC売上詳細」「サマリ」「PVとセッション」「ユーザーと新規ユーザー」「リピーターと質の指標」「オーガニック検索」「PV・LPランキング」という計9つのアクセス解析レポートを用意。商品別、性別、年齢別、デバイス別、曜日別、時間別、地域別の売上分析、カゴ落ち率の分析などを“シンプル”かつ“簡単に”行うことができるのが特徴です。
基本操作は「ページ切り替えのみ」という簡単さ。指標やディメンション(分析の切り口)の選択などの操作は不要。よく利用する指標と期間をあらかじめ設定しており、ページを読み進めるだけでECサイトの状況を把握することができます。
指標は数字だけでなく、円グラフや棒グラフなどでも表示。視覚的にアクセス状況を確認することも可能です。フィルタ機能には、「メディア」「参照元/メディア」「性別」「年齢」「デバイス」で集計結果を絞り込める機能を搭載。EC売上詳細のページでは、商品や商品カテゴリによるフィルタもできます。
「DeeBoard for EC」の主なレポート機能
ECサマリ
ECサイトのアクセス状況を1ページで確認することを目的としたレポート。「今月」「前月」「前々月」の「収益」「注文数」「平均注文額」「数量」「商品数/注文数」などの重要指標、その前月比をスコアカードで表示します。
利用頻度が高い「メディア」「参照元/メディア」データは右上に表示し、ECサイトの重要指標である収益と注文数をまとめています。
また、「性別」「年齢」「性別×年齢」「デバイス」「曜日」「時間」「地域」ごとの収益や注文数もページ下でまとめて表示。1ページだけで主な指標を確認し、ECサイトのアクセス状況を把握できるようにしています。
EC売上分析
確認できるのは、「今月~過去13か月」の「収益」「注文数」「平均注文額」「数量」「商品数/注文数」「注文率」。前年同月の1か月前の実績から確認できるようにしています。
今月の注文数と、前月実績の数値比較も可能。前月比較の積み上げグラフから、どの時点で売り上げのペースが伸びたのか、下がったのかが視覚的に把握できるようになっているのです。
また、「ランディングページ」「参照元/メディア」ごとの収益、注文数、注文率もまとめて表示できるようにしています。
EC売上詳細
今月から過去13か月の「カート追加数」「商品注文数」「カゴ落ち率」といった重要指標を確認することが可能。ECサイト改善の重要な指標となる「カート追加数」「商品注文数」「カゴ落ち率」を、13か月前から時系列に確認することができます。
商品ごとの「収益」「数量」「平均価格」「カゴ落ち率」を今月、前月、過去3か月、過去12か月の期間で集計する。また、「性別」「年齢」「性別×年齢」「デバイス」「曜日」「時間」「地域」ごとの「収益」「注文数」「注文率」を表示します。
ECプラットフォームとの連携も可能
「DeeBoard for EC」にはECプラットフォームも注目している。このアクセス解析レポートツールに注目したGMOペパボは、ECプラットフォーム「カラーミーショップ by GMOペパボ」 と「DeeBoard for EC」の連携を決定。「カラーミーショップ アプリストア」経由で、「DeeBoard for EC」を利用できるようにしました。
「カラーミーショップ」の利用店舗は約4万店。アクセス解析に初めて触れる担当者やGAが苦手といった人も少なくありません。「DeeBoard for EC」をEC事業者にアプリを通じて提供することで、「手軽に」「気軽に」サイト改善を行える環境を用意しているのです。
なお、ディーテラーはさまざまなECプラットフォームとの連携を行っていきたい意向があり、ショッピングカートや一元管理などとの連携も進めていきたいとしています。