通販新聞 2022/6/13 8:00

靴の製造・販売を手がけているヒラキでは2022年3月期の通販事業において、インフルエンサーを起用したSNSマーケティングを図り、EC流入者数を拡大させるなど一定の成果を挙げた。その一方で、コロナ感染拡大の影響で中国生産拠点からの商品調達が遅れたこともあり、機会損失が発生。今期は巻き返しに向けてブランディングの強化などを積極的に図っていく。

ヒラキのECサイト
ヒラキのECサイト(画像は編集部が通販サイトをキャプチャし追加)

当期の通販事業において、販促施策では「ツイッター」、「インスタグラム」、「ユーチューブ」を活用して前年度以上の規模でインフルエンサーによるPR投稿を展開した。前年度は秋冬商品についてインフルエンサー152人を起用し、合計540万フォロワーの規模で実施。再生・表示回数では550万回、「いいね数」では9万件を得ることができた。

当期については、21年秋冬商品で232人を起用し、合計1550万フォロワー規模で実施。その結果、再生・表示回数では1460万回、「いいね数」では13万件を達成するなど効果が拡大。結果的に通販サイトへの訪問者数は前年比15%増となった。

その結果、通販事業に占めるECの構成率も上がり、通販における総受注件では約75%がEC経由となって、前年比5ポイント増加。EC受注のうち、公式アプリ利用を含めたスマートフォンによるものが85%、アプリダウンロード数についても期末時点で48万件を突破している。

ヒラキの通販販売事業の概況
通販販売事業の概況(画像は編集部がIR資料からキャプチャし追加)

SNSマーケティングの流れとしては、主に数万規模でフォロワーを抱えている主婦層のインフルエンサーと連携して展開。自社ブランド商品をインフルエンサーに提供して、その使用感などを消費者の目線で写真投稿などからPRしてもらい、それぞれのフォロワーへの認知を図った。

中でも税別380円から展開している上履きに関しては、インフルエンサーと連動したスクールキャンペーンを開催。500円オフのクーポンを提供するクイズ企画において、同社の上履きをモチーフにした独自キャラクターのイラストを描いていた一般の子育て中の女性インフルエンサーに新たにイラストを描き下ろしてもらい、そのマンガをフックに同キャンペーンへの参加を促進。新入学・入園シーズン前の2~3月に行ったところ14万件の参加があったという。

また、同企画の中では参加者に対してクイズだけでなく、顧客アンケートも実施。同社では複数種類の上履きを発売しているが、地域によって学校指定のデザインや素材があるため商品ごとに売れ行きにはばらつきがあった。アンケートを通じて参加者の地域別にどのようなタイプの上履きが使われているかを汲み取り、今後の商品企画にも生かしていくとしている。

コロナ禍で商品調達に遅れ

これらの施策により、オリジナル商品の認知度やウェブでの顧客接点の拡大などに成果があった一方、受注に関しては中国国内でのコロナ感染拡大が大きな妨げとなっている。

ヒラキのビジネスモデル
ヒラキのビジネスモデル(画像は編集部がIR資料からキャプチャし追加)

同社では中国の上海を中心とした海外工場に生産を委託しており、例えば、春商品の場合は、毎年2月に新商品だけで大体300アイテムほど投入している。しかし、今期を見るとその内3分の1は何らかの形で入荷されなかったり、全部のカラーが揃わずに分納となるなど遅れが生じた。

中でも販促商品として近年の大きな売れ筋となっていた女性用バレエシューズの「ふわりっと」(税別499円)はその大きな影響を受けた。

同商品の場合、1シーズンでおおよそ15万足ほどを用意するが、この春については売れ筋であった色柄の2色分の入荷が遅延。本来であれば、各色・サイズを均等に生産して入荷されることが望ましいのだが、工場側の都合により一部の色だけが先に入荷となり、一度に15万足分を調達することができなかったという。この5月に入ってから状況は改善されつつあるものの、シーズンの予定よりも大きく出遅れた形となった。

そのほか、人気のキッズサンダルの一部のカラーについても、本来であれば3月中には入荷していなくてはいけないものが、一部の部品調達が遅れたことで、ようやく5月頃から生産が始まった段階にあるなど、生産工場のある中国の産業界では現地政府のコロナ対策を巡って例年にはない混乱が広がっているようだ。

現状、今期の秋冬商品については、コロナの感染ピーク次第では状況が改善していることも予想されるが、まだ不透明な状態。巻き返しに向けては、早めの発注など様々な工夫が必要となり、あわせて、新たな売れ筋商品の掘り起こしの強化も鍵を握る。

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