EC決済サービス市場は2021年度に23兆円超、2026年度に約40兆円規模へ拡大
矢野経済研究所が実施した国内のEC決済サービス市場調査「2023年版 オンライン決済サービスプロバイダーの現状と将来予測」によると、2021年度のEC決済サービス市場(EC決済サービス提供事業者の取扱高ベース)は前年度比18.6%増の23兆1099億円と推計、2022年度は同19.2%増の27兆5367億円と予測している。
EC市場の拡大や、オンライン決済サービスの利用拡大を背景として、大手決済代行業者を中心にEC決済サービスの取扱高は増加している。
従来、対面取引で事業を展開していた小売事業者や飲食事業者等が、EC事業に参入するケースも見られる。
特定業種向けのEC決済サービスを提供する動きもある。教育、保険、レッスン・習い事、学会・セミナー、士業などの役務分野における事業者の集金目的としての導入拡大もあり、BtoB(企業間)領域や対面取引、オムニチャネルに関するEC決済サービスも拡大している。
こうした背景からEC決済サービス市場は今後も順調に拡大すると予測しており、2026年度には約40兆円規模に達すると見込んでいる。
BtoC(企業対消費者)領域の後払い決済サービス(BNPL)市場(後払い決済サービス提供事業者の取扱高ベース)も堅調に拡大、2021年度は1兆820億円と推計した。
今後、長期的な分割払いへの対応が広がるなど、分割払いを選択しやすい環境が一層整備されそうだ。後払い決済サービスを利用することで、現在よりも高単価の商品を購入する動きが進み、取扱高の拡大につながると見られる。
同時に、取引の幅が広がると考えられ、後払い決済サービス提供事業者には、分割払いにおける与信ノウハウの蓄積が求められる。利用環境の拡大や決済単価の向上を背景に、後払い決済サービス市場は2026年度に約2兆円まで拡大すると予測している。
調査概要
- 調査期間:2022年12月~2023年2月
- 調査対象:ECサイト向けの決済サービス提供事業者および関連事業者
- 調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)ならびに文献調査併用