瀧川 正実 2014/4/16 11:44

三陽商会は4月23日、ECサイトと社内在庫の完全連携を実施し、ECサイトで欠品が出た場合でも店頭などから商品を取り寄せることができるようにする。店舗とECサイト、倉庫における在庫の昼夜完全連携を実現。EC用在庫の欠品による購入機会の損失をなくし、全社を上げて商品購入率の引き上げにつなげる。

三陽商会のECサイト「SANYO iStore」に、「お取り寄せ購入機能」を構築した。NTTデータ協力のもと、店舗向け・オンラインストア向け倉庫の在庫がない場合、実店舗に置いている商品の取り寄せをECサイト上で可能とする仕組みを追加。利用者は、ECサイトで希望する商品が欠品していても、店舗に希望する商品の有無を問い合わせしたり、直接店舗へ出向いたりすることなく、商品が購入できるようになる。

まずは一部のブランドを取り扱う店頭から開始。順次、「お取り寄せ購入機能」に対応する利用店舗を拡充する。

三陽商会は2012年3月、単独の倉庫に置いていたEC用在庫を実店舗用倉庫に移管、13年2月から夜間のみEC用在庫と実店舗用在庫の連携を開始した。今回の機能追加で、社内在庫の昼夜完全連携が実現。オムニチャネル戦略を強化する体制を整えている。
アパレル業界を巡っては、ユナイテッドアローズが3月末、通販サイトから実店舗へ商品を取り寄せ、試着の予約ができるサービスを試験的に開始。「O2Oリーディングカンパニーへのチャレンジ」を経営方針に掲げ、ネットや店舗を含めた全方位マーケティングの強化を進めている。

担当編集者のコメント: 

「オムニチャネル」「O2O」というキーワードに注目が集まり始めたのは2013年頃。店舗とネットの「食い合い」や「店頭スタッフとEC担当者の衝突」を恐れる経営者が多い中、セブン&アイグループやイオンなどの流通大手、大手アパレル企業も積極的に投資を行い始めている。

オムニチャネルに対する取り組みはやはり米国が一歩先を進んでおり、店舗を構える先進企業では、店頭の壁一面や店舗を囲う外観のガラスなどに、商品よりもECサイトやフェイスブック、ピンタレストなどのURLを掲載。消費者に「ネットでも買える」といったことをアピールしているという。

この例はPR方法だが、こうした取り組みができるのも、経営者の判断次第。米国の大手アパレルグループ、ジョーンズ・グループでEコマース部門の社長をしているミルトン・パパス氏は、トップの決断の必要性を指摘している。カニバリゼーションを恐れず、全社で顧客サービスを拡充するという意識が、オムニチャネルには必要なのだろう。

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