通販新聞ダイジェスト

流通総額2ケタ成長が続くECモール「Qoo10」、Z世代を取り込む次の一手は韓国食品の強化

イーベイジャパンが運営する仮想モール「Qoo10」は、韓国食品の取り扱いを拡充し、さまざまな施策を実施。販売促進につながっている。ターゲット層のZ世代の心をつかむ手法とは?

通販新聞[転載元]

2023年8月30日 8:00

仮想モールの「Qoo10」を運営するイーベイジャパンでは食品カテゴリーの強化を図っており、なかでも若年女性層との相性が高いとされる韓国グルメ商品の取り扱いを拡充することで、Z世代などの取り込みを図っている。

現状、同モール全体の流通総額は年間20~40%程度のペースで増加が続いており、とりわけ、食品カテゴリーだけでの流通規模の成長率を見ると、昨年は対前年比49%増、2023年については同31%増を見込んでいる。

韓国食品の取り扱い拡大 

もともと、同モールはコスメやファッションを軸に成長を続けてきたことから、顧客の8割近くが女性となっており、年齢層も10代~30代が約7割を占めている。

Z世代の取り込みを加速

直近では年齢層の低いZ世代の顧客層をさらに取り込むために、親和性の高いとされる韓国の食品やスイーツのカテゴリー拡大に着手してきた。これまで韓国食品の定番とされていたインスタントラーメンや総菜だけでなく、韓国ブランドの健康食品や果物などの取り扱いも強化して、売り上げを伸ばしていったという。

「Qoo10」の「韓国食品」カテゴリー(画像は「Qoo10」から編集部がキャプチャ)
「Qoo10」の「韓国食品」カテゴリー(画像は「Qoo10」から編集部がキャプチャ)

韓国食品の取り扱い拡大に向けては昨年9月に、日本の農林水産省に該当する韓国農林畜産食品部傘下の政府機関である韓国農水産食品流通公社(aT)と、日本での韓国食品販売などに関する業務協力約定を締結

韓国食品の供給ルートを拡充するだけでなく、日本での需要や具体的なニーズなどについて、情報共有を進めていった。実際に韓国で先行販売していて日本ではまだ売られていない商品について、同モールを経由して越境ECで他の売り場に先駆けて紹介したこともあったという。

限定ノベルティや希少性を訴求のフックに

特典付与で販売力強化

また、これらの施策と並行して、Z世代を意識したのが、トレンドを踏まえたノベルティ特典の展開だ。同モールの大型セールでもある年4回開催の「メガ割」に合わせて、限定の韓国食品のセット組みを販売するように該当する出店者に提案したという。

「どの年齢層にも当てはまるかもしれないが、Z世代は特にトレンドを追いかける傾向にあるため、流行の商品や俳優さんのノベルティをつけていた」(同社)と説明。

一例として、韓国の総合食品メーカーであるCJグループのCJ FOODS JAPANの公式店舗では、イメージキャラクターでもある俳優のパク・ソジュンさんの同モール限定グッズを特典として付与し、販売を伸ばしたという。「Z世代は購買意欲の高い顧客が多い。商品ページにアクセスした内、実際の購入にまで至る割合が(他の年代と比べて)高いイメージがある」(同社)とした。

売り上げが前年2倍の韓国産果物も

そのほかにも、近年の新しい韓国食品のトレンドも公開。現地ではポピュラーなウリ科のフルーツである「チャメ」の売り上げが、今年は昨年の2倍になったという。10キログラムで9900円~1万4000円と比較的高価な値段で、メイン顧客である若年女性層にとってはハードルがあると見られたが、他の売り場にはない希少性に加えて、シェア購入などで個人の負担を抑えるなど工夫しながら購入するケースが見られたとしている。

また、同社によると、食品カテゴリーにおいて他の仮想モールとは売れ筋が異なるケースもあるようで、贈答用のギフトなどよりも自家需要の用途として購入される食品が強くなると見ている。

◇◇◇

なお、7月18日に都内で開催した韓国食品の説明会では、料理家のゼン・ヒャンミさんが調理のデモンストレーションを披露(画像)。

料理家のゼン・ヒャンミさんが韓国食品の説明会に登場、調理のデモンストレーションを行った
料理家のゼン・ヒャンミさんが韓国食品の説明会に登場、調理のデモンストレーションを行った

ビビンバやコチュジャンチゲなどの定番料理をアレンジしたメニューに加え、チャメを使ったスムージーなども提供した。

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